成長したひよこたち
にわとり飼い
にわとり飼ってるんだ、と言ったら思いのほかみんなが食いついてくる。
たまごから孵して、ひよこで。
で、今庭で飼ってるの。
テキストにしてしまうと、シンプルなのだが、それはすごく貴重な体験らしい。
特に都会に住む友人の反応が高かった。
北海道の田舎に移住した人の暮らし方として、イメージど真ん中なのかもしれないが、
「すごいね」「いい経験になりそう」「興味津々」
食べられるものを飼う、という経験をすることの価値を感じた。
ひよこのスペースの横に椅子とテーブルを出しての「ひよこカフェ」がわが家で流行った。
ただひよこを眺めながら食べる朝食だが、なんとものどかで良い。
休日の朝に、ひよこカフェしよう、と誰かが言い出して、テーブルといすを設置して庭に朝食を運ぶ。庭の畑のミニトマトもついでにもいで食べる。パンクズをパラパラと撒くと、喜んで食べるひよこたち。
おしゃれなメニューは一切ないが、なんとも豊かな生活だなーと思う。
わがやのエコシステム
にわとりはなんでも食べる雑食性だそうだ。
エコの意識が高い系の夫は、それも頭にあったらしい。
ひよこ時代からいろいろ食べさそうとしては、エサしか食べないと首をひねっていたが、ようやく最近成長した鳥たちが何でもかんでも食べ出したので、喜んでいる。
かぼちゃのワタ、りんごの芯、とうもろこしの芯、にんじんの皮、魚の皮、パンくずなど。
特に魚の皮を食べてくれるのは助かる。
そもそもうちの村では生ゴミはバケツに集めて堆肥用に収集されるのだが、その生ゴミの量が減った。
にわとりが食べ、糞になり、わが家の畑に還元されるという循環だ。
にわとり小屋に敷かれているのは近くの公園でもらった落ち葉。汚れたらそれごとかき出して、畑に撒けるから便利。
自然の中での暮らしはすべてに無理がない。
大人になりきれないひよこたち
8月末に生まれたひよこたちは、2ヶ月経った今、ひよこからにわとりになってきた。
ふわふわした毛は、だんだんと白い羽根に生え変わり、今ではすっかり「白い鳥」。
手でもちあげると、ずっしりとした鶏肉の重み。
見た目はぷりっとしたにわとりなのに、鳴き声だけはまだぴよぴよ言っているところは、大人になりきれない思春期の子供みたいだ。
ブロイラーはいつでもお腹を空かせているので、庭に出ると前傾姿勢で突進してくる様子がかわいい。
あわてて飛んできては、ぴよぴよぴよとエサをねだる鳥たちは、まだまだ「ひよこちゃん」な気がする。
卵を分けてくださった養鶏場の方が見に来てくれて、いい仕上がりですねーと言った。
養鶏場ならあと2ヶ月、ひとまわり大きくなったところで出荷されるのだとか。
クリスマスの頃だ。
食べることを想定して、というわけでもないのだが、名前はつけない。
四羽まとめて、ひよこちゃんまたはとりちゃんと呼ぶ。
朝、「とりちゃーん」と声をかけると一目散に走ってくる、そんな鳥たちがかわいい。
食べるのか、食べないのか。たまによぎるその疑問に答えは出さない。
ひよこを飼うまでの記事はこちら