サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!第1051号『ゲーランダ・サンヒター3:32』

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  サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2022.06.07.◆第1051号◇

  目次 

     ◎ ゲーランダ・サンヒター 3:32
◆ 本文 
◆ 単語の切れ目・意味
◆ 原文の語順訳
◆ 日本語訳
◆ ポイント解説
◆ 編集後記


=◎ ゲーランダ・サンヒター 3:32================

◆ 本文(原文)

画像1

navanītaṃ ghṛtaṃ kṣīraṃ dadhitakramadhūni ca
drākṣārasañca pīyūṣaṃ jāyate rasanodakam (32)

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◆ 単語の意味(連声を切った後の、各単語の意味)

navanītam 新鮮なバター
ghṛtam 牛酪、ギー
kṣīram 乳
dadhi 酸乳、凝乳、ヨーグルト
takra 同量の水と混ぜた酸漿、バターミルク
madhūni はちみつ
ca また
 
drākṣā 葡萄
rasam 草木の汁、液、液体、心髄、味、風味、樹脂、舌
ca また
pīyūṣam 初乳、乳脂、液汁、甘露、不死の飲料
jāyate 生じる、産する
rasana 草木の汁、液、液体、心髄、味、風味、樹脂、舌
udakam 水

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 ◆ 原文の語順訳(原文を原文の語順と発想のままで読むための訳)
  
   新鮮なバター、ギー、乳、凝乳、酸漿、蜂蜜、また、
   葡萄、汁が、また、不死の飲料が、生じる、味・水が。


 ◆ 便宜的な意味(上の訳を自然な日本語の語順、流れになおした訳)

新鮮なバター、ギー、乳、凝乳、酸漿、また蜂蜜、
葡萄水、また不死の飲料の味の水が生じる。

 ◆ ポイント解説

ケーチャリー解説の続きにして最後の節です。前節では種々の味が生じると説かれていましたが、総括的な分類としての味でした。それがここではより具体的に物質の名称を挙げてその味を解説しています。

多くは乳製品となっていて、個々の違いが微妙なものと思いますが、最後に葡萄水、さらに不死の飲料としたpīyūṣaが挙げられています。

この部分の語り始めにrasaが味なのか、それともソーマのような同義語として語られているのかと疑問を呈しましたが、ここでよりはっきりと不死の飲料としての名前が挙げられています。

この語はゲーランダでは初出ですが、プラディーピカーではジャーランダラバンダやマハームドラー解説で登場しており、明らかにこのムドラー系の行法に登場する語になっていますね。ムドラーと大いに関係すると読み取れるかもしれません。

こうしてケーチャリー解説が終わったのですが、やはりプラディーピカーの方が内容がわかりやすく丁寧な印象がありますが、いかがでしょうか。

さて、最後にこのケーチャリー解説の冒頭で裏テーマとして取り上げたことがありました。それが佐保田さんの訳のケーチャリー解説の冒頭にカッコして記載されている(空中飛行のムドラー)についてですね。

今までこのケーチャリーについて読んできて、空中飛行の要素があったでしょうか?そもそも佐保田さんが何をもって空中飛行としているのかがよくわかりませんが、これが空中浮揚のように、このムドラーによって空中に浮くことが達成できる、ということでしたら、どこにもその要素が無かったように思いますが、いかがでしょうか。

ではなぜ佐保田さんはわざわざ原文にないこの文を付け加えたのでしょうか?

これはこちらゲーランダではわかりにくいですが、プラディーピカーではこのケーチャリーの語源的な解説をしてくれており、それを読むとわかりやすいと思います。

すなわち、ケーチャリーという名前は、「カに赴く」という意味があるのですね。「カ」というのは「虚空」などの意味ですが、舌を「カ」に届かせるために「ケーチャリー」と呼ぶ、ということです。さらにプラディーピカーでは舌を「カ」の届かせる意味も非常に的確に説いてくれています。やはりケーチャリーに関してはプラディーピカーの方が解説が細かくまた優れているように見受けます。

というわけで、ケーチャリーとは、舌を虚空に届かせる行法なのですが、もしかしたら佐保田さんはそれを自身の身体が空中に飛ぶ、という勘違いをなさったのでしょうか?それともケーチャリーにはそのような効用もあるのでしょうか?それをまた今一度テーマとして提出してこの項を読み終わりたいと思います。

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  詳細解説はブログで

  https://note.com/sanskrit/n/n4ede84f58576

                       (第1051号 完)
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  サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!
         発行者  誠  samskritamakoto@gmail.com

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