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何かが導いた最強バイタル――若き日のゾーン体験記
若い頃の話です。まだホームレスになるずっと前のこと。
一時期、とんでもないバイタルを持って日々生活をしていた時期があります。
高校を卒業して就職し、約3年で退職。その後、フラフラとアルバイトや契約社員で暮らしていた頃の話です。
当時、医療系の営業職で働いていて、朝10時頃に出社し、夜中の11時や12時頃に帰ってくるような毎日を過ごしていました。
仕事が終わり家に帰るとサウナスーツに着替え、夜道を一人で5キロほどランニング。戻ってくると筋トレを始め、晩ご飯もろくに食べずに午前2時や3時に就寝する……そんな生活をしばらく続けていました。
プロボクサーを目指していたわけでも、健康志向だったわけでもありません。
理由は「性欲」でした。
そのころの私は若く、性欲が盛んで、不特定多数の女性と関係を持っていました。すこし不潔な話ですが。
毎日毎日「ヤリたい」で頭がいっぱい。休みの日にはクラブへ出かけ、ひっきりなしに女性をナンパしていました。
しかし、ある問題を抱えていたのです。
それは体力がないこと。
行為中にすぐ疲れてしまい、脳が発する性欲に体が追いつきません。
これを改善すべく、体力作りを始めたのです。なんとも単純な動機ですが、実際に体力がつき始めると成果はあからさまに表れ、ますますトレーニングに励むようになりました。
事情を知らない人から見れば「意識の高い人」だったのかもしれませんが、理由はあくまで「性欲」です。
仕事が終わると女を部屋に呼びつけ、一人でランニングへ出かけ、帰ってヤって寝る。そんな毎日でした。
それでも体は健康そのもので、仕事も捗るし、人間関係も良好。遊びも充実していて、毎日が無敵状態でした。
よくスポーツ選手が「ゾーンに入る」と言いますが、まさにあの状態。集中力が研ぎ澄まされていたんです。
スポーツ選手も同じような理由なのではないか? 違うか。
今ではそんなバイタルは持ち合わせていません。
毎日、猫と仲睦まじく生活しています。
欲に忠実に生きていたあの頃を懐かしみ、もう一度、あのときのように研ぎ澄まされた毎日を過ごしたいと思っています。
もう少し、自分の欲と向き合い、対話をすることにしました。
皆様もぜひ、もう一度自分の欲を見つめ直してみてください。