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アニメ低賃金の悪者は製作委員会!?

僕はアニメPをやってきましたので、度々悪者にされる製作委員会について、実際どんな仕組みで成り立っているのかを説明しようと思います。
※筆者にはどちらが悪いなどの思想はありません

委員会について絞って説明しますので、いろいろと省きます。

▢製作委員会ってナニ?

作品の出資者の集まりです。
大体は出版社、レコード会社、企画会社、広告代理店、テレビ局、グッズ会社、遊技機などなど、その辺で構成されます。
みんなでお金を出し合って、制作会社に発注するわけです。
例えば1億の予算だったら、そこから広告宣伝費を引いた金額をすべて制作会社に渡します。

□どうやって儲けてるの?

ざっくり2パターンあります。
・作品の売り上げ×出資比率=利益
 売り上げ5000万円で、1000万円出資した場合
 →1000万円÷1億=0.1
 →5000万円×0.1=500万円 みたいな感じ
・窓口手数料+窓口利益
 グッズ会社が出資した場合、グッズに関してはこの会社が行います。
 自社のリソースを使って作品の利益に貢献するわけですから、ちょっと
 利益を上乗せしましょう。が窓口手数料。
 そして、グッズの利益はグッズ制作費を先に引いて、残った利益をもらえ 
 ます。利率は状況によって違うので割愛します。

□ピンハネしてるんじゃない?

構造的にピンハネし辛いのです。やれるとしたらお金を集めた幹事会社。
要はこのプロジェクトを主導するリーダーですね。
ただ、リーダーは出資比率が一番多い会社がなるので、必然的にピンハネするより沢山売った方が利益率が高くなります。
そしてみんなに感謝され、次の企画もやりやすくなります。
なのでピンハネはほぼ無意味ですね。これは普通の感覚なので、やってる会社が無いとは言い切れませんが・・・

□じゃあなんでアニメーターにお金がいかないの!

これは結構単純な話と悲しい現実があります。

・単純な話

アニメを作るのはとっても人数が必要で、テレビシリーズを作るのには数百人規模の方がかかわって作られます。
人が多い分、一人ひとりの取り分が減るのは当然なんです。
同じ1億でも、500人で分けるか100人で分けるかでは全然違いますよね。

・悲しい現実

制作会社の儲けは基本的に制作費の何%かを会社に残すようなやり方になります。どれくらいかは会社によります。
沢山会社に残せば制作費が減りクオリティが下がります。
そして、1話丸々ほかの会社に出すグロス出しがあります。
その会社も何%か残します。ひどいとさらにそこから外部の会社に出すと・・・なんて事はざらです。

□製作委員会が悪者にされるのはおかしい!

こと、制作費に関しては年々上がっていて、10年前から比べると2倍近く膨れています。先ほどの流れでいうと基本的には制作費に手を付けられないのです。というか手を付けるとクオリティが下がり売れなくなり、結果自分の首が締まるという事です。

制作委員会の最大の悪い仕組みは、売れなかった時、出資比率が高い会社が一番最初に助かる事。
これは何なのかというと、出資比率が一番多いということは、一番売れる窓口を先に確保ができるということです。
昨今でいうとアニメの売り上げはほぼNetflixなどの配信の売り上げです。
そこであまり売れなくてほかの会社が赤字でも、窓口手数料が上乗せされているので、なんとか自社だけ助かっちゃったりします。
じゃあほかの会社も窓口で!とはいえ、blu-rayは売れないしグッズも企画によるし、遊技機も昨今かなり厳しいので、ミッションインポッシブルって感じです。

結論

アニメを沢山いっぺんに作りすぎて、大量に人員が必要だから賃金が低い。
少人数で作れるように工夫が必要。
製作委員会の敵は製作委員会なので、あまり関係ないかも。
闇が深い事には変わりないかな

少人数で頑張って作ってる会社があったら応援してあげてください。
なんとなくでは実現しない大変な事をしている可能性があります。


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