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「徳島愛」を武器に、事業成長に貢献〜新卒3年目が仕掛けた、阿波おどり×Sansanの奇跡〜
Sansanは2010年、徳島県神山町に「Sansan神山ラボ」を開設しました。当時はまだ珍しかったサテライトオフィスの先駆けであり、私たちの働き方の実験場として活用を続けてきました。それ以降も、2023年に開校した神山まるごと高等専門学校の設立支援や、徳島大学発ベンチャーとして創業した株式会社 言語理解研究所のグループ化など、徳島県との絆を深めてきました。
2024年、この関係がさらに進展。8月に徳島の伝統芸能「2024 阿波おどり」への協賛を実施し、11月には東京・渋谷への本社移転を記念して「渋谷阿波おどり」を開催しました。
この物語の中心にいるのが、徳島生まれ、徳島育ちの河野です。2022年にSansanへ新卒入社した彼女は現在、神山まるごと高専へ出向し、パートナー・リレーションを担当。同時に、2024 阿波おどりへの協賛施策の推進や、渋谷阿波おどりでの演舞プログラムの企画構成やキャスティングなどを手がけました。
地方と都会、伝統と革新。一見相反するものを結びつけながら、新しい価値を生み出していく。その舞台裏には、どんな思いや選択があったのでしょうか。河野の言葉を通じて、その物語をお届けします。
東京への憧れ
私は徳島県石井町という場所で生まれ育ちました。Sansanがサテライトオフィスを持つ神山町の隣町で、静かで自然豊かな環境でした。みんなが顔見知りのような小さな町で、両親が教師だったこともあり、常に「河野先生の娘」というラベリングがついて回るような感覚があり、当時はそのことに強い息苦しさを感じていました。
いとこが関東に住んでいて、たびたび遊びに行く機会があり、高層ビルが立ち並ぶ街並み、誰もが自分の人生を自分らしく生きているように見える都会の空気に、子ども心に強く魅了されました。とにかく早く徳島を出て、東京で暮らしたいと思っていましたね。
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高校時代に1年間、アメリカのテキサス州エルパソへの留学を経験しました。メキシコとの国境に近いエルパソは、様々な文化が交わる多様性に富んだ街でした。異なるバックグラウンドを持つ人々が互いを受け入れ、共存している姿を目の当たりにし、自分の価値観が大きく広がりました。「河野先生の娘」という枠に収まらない、新しい自分との出会いがそこにはありました。
この経験は、後に地方と都会をつなぐ仕事に携わる際の基盤となった気がします。進学先は、ずっと憧れていた東京か、海外のどちらかにしようと決めました。
コロナ禍と、地元の価値の再発見
念願かなって東京の大学に進学しました。しかし、就活を始めた2年生の終わり頃、コロナ禍がやってきました。授業は全てオンラインになってしまい、家族も東京にいることを心配していたので、いったん徳島へ帰らなくてはいけなくなったんです。
ずっと憧れていた東京へ行けたのに、自分にはどうしようもできない理由で突然徳島に帰ることに。
ただ、当時は後退のように感じたこの出来事が、振り返ると大きな転換点となりました。
東京の生活を経てから徳島での日々を過ごす中で、価値観が変化していることに気が付きました。かつて窮屈に感じていた地元の環境が、違った形で見えてきたんです。東京ならではの良くも悪くもライトな人間関係に、知らず知らずのうちに孤独を感じていたのかもしれません。地元の人々の温かさや、顔の見える関係性の大切さを実感するようになりました。満員電車に揺られる毎日から解放され、豊かな自然に囲まれた環境で過ごす中で、新しい価値観に気づくことができたんです。
地方には都会にはない、独自の魅力と可能性が眠っていると感じ、卒業後は徳島で働くという選択肢もあるかもしれないと考えるようになりました。
一方で地元の企業は就活のスタートも遅く、スピード感をもって成長できるのか不安がありました。悩んだ末、まず新卒では東京の会社で働き、成長した状態で徳島のためにできることを探そうと決めました。そのため、スピード感がある、成長機会が多そう、といったことを軸にして企業を見始めました。
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Sansanとの出会い
化粧品会社など、to C領域の企業を多く受ける中で出会ったのがSansanです。小学生のころ、東京のIT企業が神山町にサテライトオフィスを作ったということで、代表の寺田さんが地元のテレビのニュースに出ていたことは覚えていました。私にとって神山は、遠足で森林公園に行ったり、夏になると川に泳ぎに行くようなところだったので、子どもながらに「そんなところにオフィスを作るなんて不思議な会社だな」と思った記憶があります。この時期、「神山まるごと高専」の設立支援を行うという発表もあり、徳島との縁に惹かれ、Sansanを受けることに決めました。
入社後は、マーケティング部でオフラインイベントを担当することになりました。全国各地での展示会やイベントを通じて、様々な地域の企業や人々との出会いがあり、さらに社内でも本当に様々な部署や人が関わるので、社内外ともにどんどん人脈が広がり、すごくやりがいがありましたね。
神山まるごと高専への出向
配属になって1年ほどたったころ、神山まるごと高専でパートナー(寄付企業)とのリレーション担当を探しているということで、私のバックグラウンドを知った上で興味がないかと声をかけてもらいました。マーケティング部の業務も慣れてきて、これからもっと色々なことにチャレンジしたいとワクワクしていたタイミングでもあったので、少し悩みましたが、寺田さんとも話をし、徳島に関わる仕事がしたいという気持ちに立ち返り、出向することを決めました。
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パートナー担当として働く上で、徳島ならではの文化や空気感がわかる、共通言語があるということは、特に地元の企業の皆さんとコミュニケーションを取る上で大きな後押しになりました。実は両親だけでなく祖父も教育者で、神山町の学校で校長先生をしていたことがあり、そのことを知ってくれている方にも出会いました。
かつて「河野先生の娘」というラベリングに息苦しさを感じていましたが、今ではそのバックグラウンドが、地域の方々との信頼関係構築に大きな力となっています。
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東京の企業で働きながら、徳島で夢を実現する
出向して間もなく、徳島でベンチャー企業の創業メンバーだった経験を持つ西郷さんというメンバーがSansanへ入社しました。すぐに意気投合し、働く場所は違えど頻繁にSlackで情報交換をしていました。そんな時、2024年の阿波おどりの有料演舞場の命名権を取得できる「ネーミングライツ・パートナー協賛」の募集がスタートするというニュースを私がシェアしたところ、話だけでも聞いてみようということになったんです。マーケティング部での経験から、ビジネスイベントの相場感に置き換えて考えた時、出せるインパクトを想像したら充分な費用対効果が見込めるなと思いました。
徳島県民にとって阿波おどりといえば、1年でいちばん大規模かつ大切な行事だといえるのではないでしょうか。私も、生まれてから東京に住んでいた時期を含めて参加しなかった年はありません。Sansanに入社してからは、社内の部活動として2016年に結成された「Sansan連」としても踊りました。
そこからは思っていた以上のスピードでものごとが進んでいきました。マネジャーに相談したところ、すぐに寺田さんにも話をしてもらい、急いで提案資料を準備。経営会議でエグゼクティブ向けのマーケティング施策として実施承認を得ることができました。ここまでで相談してから2営業日くらいだったと思います。
阿波おどりへ協賛することは決まったものの、オーナーシップを持つのは新卒3年目の私と、中途入社したばかりの西郷さん。あらゆることが初めての試みだったこともあり、どう進めていけばよいのかとにかく手探りでしたが、この取り組みは事業成長の後押しになると信じ、マーケティングや営業、広報、クリエイティブのメンバーを巻き込んで、一気に形にしていきました。
当日の光景は忘れられません。Sansanが命名権を取得したのは、藍場浜演舞場という、いちばん大きな演舞場です。そこがSansanブルーに染まり、「出会いは」「Sansan」という掛け合いから2024年の阿波おどりが幕を開けたんです。
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「古きを祭り、新しきコト起こしの学校をめぐる」というコンセプトで、400年続く伝統芸能である阿波おどりへ参加し、神山まるごと高専を見学するというツアーをお客さまに体験いただきました。
参加いただいたお客さまの満足度は非常に高く、単なるスポンサーシップを超えて、地域の伝統文化と企業活動の新しい形の協働ができたのではないかと考えています。
地域活性化と事業成長の両立
さらに11月には、本社移転という記念すべき機会に合わせて「渋谷阿波おどり」の開催も実現。協賛企業は数百社にのぼり、当日の会場は人でごった返すほどの大盛況で、新天地である渋谷サクラステージの開業を盛り上げることができました。徳島から始まった取り組みが、事業貢献へつながったことが本当に嬉しいです。
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今後は、神山まるごと高専のパートナーリレーションという仕事に向き合いながら、徳島はもちろん、あらゆる地域の企業にSansanのサービスを拡大することにも貢献していきたいです。神山まるごと高専では、SansanのDXサービスを活用して大幅な業務効率化を実現しました。地域の活性化と事業の成長、その両立を目指してこれからも進んでいきたいです。
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本当に、望んでもなかなかないキャリアのチャンスをたくさんもらっていると実感しています。何らかの形で地元だったり、思い入れがある地域のために働きたいと考えている方にとって、新しいキャリアの形のヒントになれば嬉しいですね。
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