6月6日
その日は朝からいつもと違った。
つけようとしたお気に入りのネックレスが壊れた。昨日まで元気だったお花は萎れ始めてたし、出がけに白いトップスにリップをつけて汚した。
会社に行くまでもひどくて目の前でバスは行ってしまうし、電車も遅延。
「なんで今日に限って…」
そう思わず口から溢れていた。
どうにかして会社に着いて一息をついていたら一本の電話がかかってきた。
取引先からのお怒り電話。
一日中目が回るほど対応に追われた。
「どうして今日なんだろう…」
またもや不満が口から漏れていた。
気がついたら夜の9:00。
やっとの思いで家に着き、電気をつける。
、、がつかない。
パチパチと確認するが、つかない。
「はあ…」とため息とともに涙が出そうになったその瞬間、
ぽうっと灯る火が目に飛び込んで来た。
「26」という形のろうそくがささった、
大きなケーキを持って彼が現れたのだ。
「おかえり!急に停電になって焦った〜」
そう困りながら微笑む彼をろうそくが照らしている。
そんな中私は、
部屋が暗いおかげで情けなくうれし泣きしている顔を見られずにすんだし、
携帯には取引先からのお礼のメールが来ていたし、
電車の遅延の原因が線路に迷い込んだ猫の救出だったって話だし
乗り遅れて乗れなかったバスが故障で動かなかったって話だし
汚したトップスが同僚と被ってたらしいし、
花瓶には一足早いひまわりが新しくささっていて
何とも私好みのネックレスを彼が私の首につけくれたから、
あれ、今日すごくいい日じゃない?って思い始めていた。
そして極め付けには笑顔の彼からの一言。
「お誕生日おめでとう!」
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