栄光

回る地球と転がる私

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回る地球と転がる私

マガジン

  • 日常的ショートストーリー

    そのへん、このへん、あのへん、の人達の切実で、されどありきたりな小噺。

  • 『エッセー』いつも何かを考えていた

    雑記、昔のこと、ふと思ったこと、考えたこと、とりとめのないことです。

  • 日記2022.11

    記録というのはいつだって自分のためにあるから尊い。けれど、そうした誰かの日々の断片が別の誰かの記憶や思考と交差することもまた尊い。

最近の記事

カレーうどん

「服が汚れるからよしなよ」 連れ合いが言葉とは裏腹に笑みを浮かべて忠告してくれる。 どうしてか昔から白いTシャツを着ている時ほど服が汚れるものを食べたくなる。喫茶店のナポリタン、イタリアンでのワイン、洋食屋のハンバーグ、そしてなんと言っても蕎麦屋での『カレーうどん』。 ふと休みの日に知らない街で気取らない地元の蕎麦屋といった風体の蕎麦屋を見つけると入ってみたくなる。 だいたい店構えがしっかりしているところは春なら旬菜蕎麦、夏ならおろし蕎麦、秋なら山菜蕎麦、冬なら鍋焼きうど

    • 仕事疲れ

      タイトル通り、仕事をすることに疲れている。残業は毎日30分ほどだし、有給はちゃんと取れているし、休職前の職場に比べれば労働環境は良くなった。休みと給与が低いことを除けば。 昨晩仕事を終えて地下鉄に揺られている最中に何だかイライラが募ってしまった。これから彼女とお泊まりデートだというのにこの心情はよくないだろうと思うけれど、どうにも自制が効いていない。 入社して半年、仕事はできる方ではないけれどそれなりに慣れてきてだからこそどの職場に行っても悩むことにぶち当たっていた。 『

      • 気づけば終わりが見えない夏

        夏になっていた。というのは嘘だ。明らかに暑い日が続いている。 休職期間の日記をつけようとしてnoteをインストールし直したはずなのに復職して半年が経とうとしている。 労働ってやつをしていると、日々が過ぎ去るのが早い。当たり前のことなのだけれど、僕は人から見れば体力がないらしくいつの間にか時が過ぎている。 半年前に始めた仕事には慣れてきたけど、なんだかいつも疲れている。 そんな中でも花火を見に行ったり、熱海に旅行に行ったりとそれなりに夏を楽しんでいる。 そんなありきたりの日

        • 最近の事

          久しぶりのnoteになってしまった。ひどい怠慢でここ数日は朝、身体を起こすことすら億劫であり、何かを書き付けようという気はさらさら起きなかったのだ。情けない限りである。 年齢なのかしばらく途絶えていた旧友からの連絡がここ数ヶ月つづいた。上京して以来地元の知人との接触は極力控えいるので、今回も断った。さして面白い事など期待できないからだ。結婚や出産、出世などをしてふと「そういえばアイツ何やってるかな」と思うのは自然なことのように思われる。しかし、大抵そうした場では余程信頼関係

        カレーうどん

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        • 日常的ショートストーリー
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          21本

        記事

          月と散文を読む

          毎晩、寝る前に読んでいた又吉直樹さん著『月と散文』を読み終えた。 このところZINEばかり読んでいたものだから、単行本で読むということの良さを噛み締めて読むことができたように思う。やはり単行本は文と向き合うにはとてもよい、紙の重みを感じその質量が文にも質量を持たせているように感じられる。 『月と散文』は又吉直樹オフィシャルコミュニティ『月と散文』に2021年8月から2023年1月までに投稿された文章を加筆・修正したエッセイ集だ。 まこの本と向き合うとき、松本大洋さんの描

          月と散文を読む

          日記

          皆さんは自分の最初の記憶を覚えていますか? 話は随分とんでしまうのだけれど、休職期間が終わって無職になった。なのでこれから日記を書いたとしてもそれは休職日記ではなくて無職日記となってしまうように思う。 先に経緯を話せば自分は「適応障害」らしい。 先日ニュースを見ていたら天皇陛下のお妃様つまり雅子皇后が長らく患っていたものと同じ診断名となる。「あっ、同じや」とニュースを見ながら思って、どこと比べてんねん、と頭の中でセルフでつっこんで、でもそんな困ってへんけどね、とわけわから

          世田谷ピンポンズ

          私は、この人の喫茶店の愛し方が一等好きだ。 読み終えてそう思った。 文フリの数日前、古書ビビビで行われた氏のインストアライブに初めて赴いた。Twitterでのみ氏の存在は数年前から知っており、最初の頃はこの人はどうも京都に住んでいるらしいし、ピンポンズと名乗っているようだが1人で活動しているようだ。「何者なんだこの人は」と思っていたが流れゆくタイムラインを数ヶ月眺めているとどうやらフォークシンガーであることがわかった。 変な人もいるものだなと、しばらく氏の存在は意識の外にあ

          世田谷ピンポンズ

          30歳

          午前1時40分。寝付くことができずMacBookを立ち上げて気怠さを覚えながら文字を打ち込んでいる。 来月私は無職になり、再来月には誕生日を迎え28歳になる。 あと数年で30歳。私の青年期もほんの数年で終わろうとしている。20代を総括するにはまだ早い。けれど、自身の人生の航路を決める猶予として残された時間が多いとは言えない。 村上春樹さんが小説を書き始めたのが29歳。デビューが30歳。又吉直樹さんが「火花」を書き上げ出版したのが35歳。滝口悠生さんがデビューしたのが29

          30歳

          yorimichi

          なんてことのない偶然に意味を見出すのは人間らしい行いのように感づる。 まったく知らずに立ち話をして印象が残った方から読んでいたが、道草舎さんの次に手を取った本はyorimichiさんの『WHITE』だった。 「道草」の次は「寄り道」か…。どうも私自身露頭に迷っているからかそうした文章を惹き寄せていることがわかった。自身の人生の枝葉として本を作る人がいる。その行為は視覚化や数値化できるような明確な生産性と呼ばれるものはないのかもしれない。けれど、もし人生が一本の樹木であるな

          yorimichi

          道草舎②

          昨日はよく眠れなかった。久しぶりに文章を書いたからかもしれない。昨日書いた文章をざっと読む返してみると出来の悪いファンレターのようになっていた。 読んでいてつくづく自分は自分を出発点としてしかものを考えられないのだなと思う。何かを見たり聞いたりしたときに自身の記憶や想いが想起され、そこに囚われる。 文芸誌などを買って様々な書評を読むと対象との距離の取り方があまりに自然で、器用で驚く。誰かに読まれるために書かれた文章なのだと感心する。 当然、商業として成り立っているものな

          道草舎②

          道草舎➀

          MOE HIRAISHI、MISUKZU NAKANOさん2名のアーティストが2人で何かできないかと考え「道草舎」という名前で今回の文フリから活動し始めた。 「文フリで買った本をすべて読みきったことがない」 久しぶりに訪れた文フリは私の知っているものではなかった。人でごった返しており、その空間にいるだけで私をとてもつかれさせた。 人混みは苦手だ。大学進学とともに上京し、今年で10年目になる。上京してからはコミックマーケットやデザインフェスタなど、の同人誌のイベントには何

          道草舎➀

          ふるえ

          異変を感じたのは、職場の同僚との飲み会へ向かう道中だった。 新宿末廣亭で数年ぶりに寄席を堪能し、自宅へ帰る電車内でLINEが一件届いた。 「今日暇だったら飲めない?他にも何人か誘ったからさ」 職場はシフト制だから、同僚とはあまり飲みに行ったことがない。 せっかくの機会だし……。 最寄駅に着きバスに乗って指定された駅へと向かった。しかし、どうも具合が良くない。小雨の降る中、バスを待ったのでそれで体調を崩したのかとはじめは思った。けれど、手足は冷え、手先の痺れがおこり、中

          ふるえ

          2022年11月30日

          今日で11月が終わり。日記も終わろうと思う。正直やめてしまったら書けなくなるのではないかという不安はある。けれど、少しでもしんどくなったらやめようと思っていたのでおそらくこれが一番良いやめ時のように思う。 最後に何を書こうかと考えていた。でもそんなに特別なことなんてないから特に何でもなくいつも通り書こうと思う。 今日は『すずめの戸締まり』を観てきた。最後の日記はその一文だけで良いかもしれない。 そうだ、そうしよう。私は11月30日すずめの戸締まりを観てきた。 来月は12

          2022年11月30日

          日記明日でひとまず終わります。理由は色々あるけれど、始めた理由も何となくだったので終わる理由も何となくで良いのかなと思ったこと。あと、普段ならやめるときは面倒になってやめてしまうので今回は自分から初めて選択してやめるということにしたかったので。

          日記明日でひとまず終わります。理由は色々あるけれど、始めた理由も何となくだったので終わる理由も何となくで良いのかなと思ったこと。あと、普段ならやめるときは面倒になってやめてしまうので今回は自分から初めて選択してやめるということにしたかったので。

          2022年11月27日及び28日

          酔った。大いに酔った。昨日は早番で仕事終わりに上司の家でFIFAワールドカップのコスタリカ🇨🇷vs日本🇯🇵戦を観戦した。 上司はユニフォームを着て準備万端でシャンパンとビールを用意してくれていた。宅配のピザもありつつ他の上司も伊勢丹で生春巻きやフィナンシェを買ってきており、何となく自分の手土産のビアサラミが貧相に感じられたがまあ仕方ない。自分も今度からもっと工夫をこなせるようにしよう。それも一つの学びだ。 キックオフまでの間に腹を膨らませておこうというわけで食べ始め割ともう出

          2022年11月27日及び28日

          我孫子にて

          2022年11月26日天候曇り。いつものように日記として記そうと思っていたのだが、今日はだらだらとながく書きそうだなというのときっといつかこの文章もネットに上げている以上消えてしまうのだから他と判別しやすいように見出しも変えて自身読み返してもいいように記そうとそう考えたわけだ。前置きを引き延ばしても仕方がないからこの辺にしていつものように時系列にけれど寄り道して文章を紡ぐことにしようと思う。 10時半起床。本当は不燃ゴミの回収の日であったから8時には起きようと思っていたがど

          我孫子にて