#133 明和地所はなぜ建設を断念したのか? ⑤ 日影問題
高層マンションによる日影の問題。明和地所はこの件について住民説明会の場で時間をかけて説明をした。陰に入ってしまう家屋とその時間帯が分かる視覚的資料を作り、日影の問題を法的にクリヤーしていることを主張した。日影の問題をクリヤーするためにペンシルビルにしたことが理解できた。日陰に入ってしまう十数軒の家屋の住民は、そんなものなのかなぁと受け止めた。
更に明和地所の担当者は、相模国分寺跡の広場に落ちる影についても、住宅と同様であるとの説明をした。影は一箇所に留まるわけではなく刻々と動く。だから、法的にもクリヤーしていると。
住民・市民は最初はそんなものかなぁとの思いをもったが、そのうち、別な思いをもつようになっていった。相模国分寺跡南側隣接地に14階の高層マンションが建ったら、日の出から日没まで、相模国分寺跡の広場のどこかに高層マンションの影が落ちてくることになるのだ。冬、影は広場の中央付近にまで及ぶ。これらのことは現状と大きく異なることではないか。太陽の光を受け、明るく広々としている空間が、そうではないものになってしまう。
住民・市民は、建設が予定されていた高層マンションのことを「壁」と呼ぶようになった。「ここに壁が立ったら広場に影ができるよねぇ〜」「冬は寒いよぉ〜」
法的にクリヤーされていることではあろうが、公園という公共性を考えると、ちょっと待ってくれ! と言いたくなる。それが住民・市民の、自然で率直な思いだった。
公共の憩いの場である公園に、日の出から日没まで影を落とす。例え法律をクリヤーしていようとも、部分的に移動する影であろうとも、それをやってしまうのか? 住民・市民の、「公園の環境を守りたい」という気持ちが強くなっていった。
(24.3.31)