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ちょっとマニアックな話

週に一度、家に面した道路を熊手でさらう。
”熊手”ってわかりますか?
今の若い世代の人たちは知らないかも⁈

熊の手の形をした庭具。
落ち葉や、草取りの後の雑草を集めたりするときに使います。

私が現在住んでいる家の敷地には、大きなどんぐりの木が何本かあって、その枝が道路の方まで伸びているので、日々、葉や小枝などが落ちます。
それらを週一回お掃除するのが私たちの習慣。

シャリ、シャリ、シャリ。。。。
熊手とアスファルトが触れ合って奏でる実に心地の良い音。
シャリ、シャリ、シャリ。。。。
熊手から手に伝わってくる心地の良い振動。
シャリ、シャリ、シャリ。。。。
何も考えずに、ただただ心地よい音と、手から伝わってくる振動を全身で感じる。

この作業、実は長いこと夫が担当していた。
側から見ていた私は、それを随分とアナログな作業だな、と思っていた。

こちらでは多くの家はガーデナー(庭師、兼、お掃除屋さん)を週一とか隔週で頼んでいることが多い。
彼らは家周りのゴミや落ち葉などをお掃除するとき、ブロワーという機械を使う。
これはゴミなどを空気で吹き飛ばしながら1カ所に集めるためのもの。
ブロワーはモーターで動かしているので、とてもうるさいのと埃っぽくなるのが難点。
どのくらいうるさいかと言うと、土手の草を刈るときに使う草刈機くらいうるさい。
(結構うるさいよね!)
みんな使っているので、苦情とかにはならないが、あの音を好む人はいないと思う。

当然、私たちは手作業を選んでいた。
あるとき、夫に尋ねてみた。
”庭掃き、手作業だから結構時間かかるし、大変だよね。”
すると彼はこういった。
”それがね、あの熊手で落ち葉をさらうって結構いい時間なんだよ。無になれるって言うのかな。禅修行をしている感覚。苦になると言うよりは、気持ちが落ち着いて peaceful になれるんだよね。”

へ〜、そうなんだぁ。。。
私も今度やってみようかな。

そして、試しに庭掃きをしてみて直ぐに、夫の言っていた意味がわかった。
本当にびっくりするくらい心が落ち着く。頭の中が空っぽになる。無になる。。。

そして、私はすっかりハマってしまった。
週一の庭掃きが、待ち遠しくさえ感じる。
”あ、私庭掃きしてくるね!何カ所か山にしておくから、後で片付けといてくれる?”

ずるいな、私。
いいとこ取り!

私の庭掃きのもう一つの楽しみは、長靴を履くこと。
お気に入りの長靴を持っているが、ここは雨がほとんど降らない地域なので、これまで長靴の出番はなかった。
それが庭掃きを初めてから、毎週長靴の出番がある。
庭掃きは埃っぽくなるから、長靴がちょうどいいのだ。

そんなわけで、この超アナログな作業は、今や私の週末の密かな楽しみになっている。




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