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せんべいは人も鹿も大好きやからな?

今年の春から大阪のお笑い養成所に入った。
正確に言うたら芸歴は0年目というカウントになるらしい。
悩み抜いて入所してみれば、半年が凄まじいスピードで過ぎていった。ふと、来年の3月に卒業してなんか気づいたら一年過ぎてましたみたいなってる未来が容易に想像できてそれがめちゃくちゃもったいない気がした。だから、これを日記というか記録としてこれから養成所卒業の3月頃までの半年間、毎日何かしらを投稿していきますのでお付き合いください。

俺がこれから書いていく事がもし、なんか今新しい事に挑戦したいけど…って悩んでる人とかお笑い全般に興味がある人に読んでもらえたら嬉しい。

生まれも育ちも大阪で、お笑いはすごい近くにあった。俺がお笑いに強烈に惹かれて芸人の道に進むのも自然の摂理みたいなもんやった。しょうもないスクールカーストの上位になるには関西では「おもろい」という個性が必要不可欠な事は覚えておいて損はない。顔立ちの良いイケメンも運動神経の良い爽やかな子もおもろい奴には勝たれへん。そんな俺もおもろいが絶対に正義とされる学生時代を過ごした。文字通り、笑いのためやったらなんでもする愛すべきアホな人間達が俺の周りにいっぱいいた。アホさ加減には救いようがなかったが人を雑にいじるとかましてやいじめるとかは絶対になかった。遠足で奈良公園に行った時、ある友達の一人がお年玉の5千円で鹿せんべいを爆買いした。そいつは自由時間の全てを使って鹿にせんべいを食べさせていた。全盛期のキムタクを彷彿とさせるくらいそいつは鹿に四方八方を囲まれていた。帰りの電車で5千円も鹿せんべいに使うのはもったいないみたいな事を言うた俺にそいつは好きなものを食い続けられる幸せを鹿に体験させたかったからええやろと返してきた。俺はそいつのカッコよさに度肝を抜かれた。奈良の大仏なんかよりも有難い存在に見えた。そんなあほでかっこいい人間達に囲まれて生きてきた。俺はそんな人達の影響もあり、おもろいが正義という間違った価値観を形成し今もそれに縛り付けられ苦しめられている。一方でそのお陰でやりたい事が見つかって芸人になった。

余談になるが、鹿せんべいを買い占めた彼は最近めでたく結婚した。LINEで送られてきた結婚式の写真を見たが、完全にそいつには不釣り合いな綺麗な女性だった。胸糞悪い気持ちを込めて結婚祝いのタオルを送りつけた。後日、そいつからご丁寧にお祝い返しが届いた。大袈裟な装飾を開けると中身はせんべいだった。あいつはいまだにせんべいをあげるのが好きらしい。

ではまた、明日。

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