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友人の「10年後の自分」の言葉が気になって。。。:Aストーリー(中本 剛)1

暑い夏から季節も変わり秋めいた風が吹いている。最近は、温暖化のせいなのか暑い、寒いといった気候の間が短くなり、四季の美しさを感じる時間が短くなってきた。通勤しながらそんなことを思っている。

中本 剛。ある大手システム会社の社員である。会社では、SE(システムエンジニア)として日々忙しい毎日を送っている。
彼は大学から就職の流れの中で、何となく流行りのIT業界に就職。入ってみるとそれなりに業界の面白さや可能性が分かり、仕事としてやりがいも感じている。

最近は、DX(Digital Transformation)が流行語の様にメディアに取り上げられ、中本も新しいプロジェクトに参加するなど、仕事への情熱も加速していた。

中本は、大学時代から交際していた「美咲」と卒業後も付き合い就職1年目にして結婚。その1年後に長女「未海」も授かり、自分としては、平和で幸せな人生を感じていた。

その日も朝からシステム設計の打合せがあり少し疲れ気味ながらお昼の食事をしようと思った時、大学からの友人の福本からLINEが入った。
彼とは、卒業後も時々連絡したり、飲みに行ったりしている仲だったが、最近は忙しく時間が取れず会えないでいたところだった。

福本から話したいこともあるとの事で、久々にあうこととなった。

ちょうど中本も近況を含め、福本と話したいと思っていた時でもあった。

世の中は新型コロナにより、パンデミックと呼ばれる様な世情となり、新しい常識とか今までからの変革などと騒がれている。中本の仕事は、システムエンジニアで以前から一部リモートワークも許されていたり、フレックスタイム制での出社で比較的自己都合での仕事環境を会社が用意してくれていた。
中本もこれと言った不満もなく、収入も一般的にみたら決して安い賃金ではなく、不満なく生活できている。
しかしながら、飲食業界を始め旅行業界や様々業界が多大なる打撃を受けて経済界においても復興の言葉が毎日の様に叫ばれている。

そんな中、彼は家族のことや将来においての自分の理想像をイメージし始めていた。

福本とは、いつも利用している居酒屋会の個室で会うことになった。(毎回この部屋だ!大将が気にかけてくれているんだろう。。。)

二人の会話は、福本 航の突然の報告から始まった!

(航):中本、実はおれ会社やめることにした。(剛):えっ!突然なんだよ。なんで、ね、なんで?

(航):今の環境でこのまま時間をすごして、本当に自分のやりたい事、生きがいというのを感じられるか?疑問に思ったんだよね。それで、知り合いが参加しているコミュニティに参加してみたら、なんかみんな凄いというかちゃんとしてるというかさ。。。考えさせられて、自分と向き合うというか、10年後の自分を考えてみたんだよね。。。

(剛):へ~~、それで。。。(10年後、自分の娘も中学生。。。)

(航)それでさ、今の環境に不満がないけど十分満足してるわけでなく、中途半端な自分がなんか「違う!」っていう気持ちになったんだ。。

(剛):そうなんだ。(俺もそうなんだけど。。。)それでどうすんのこれから。。。

(航):実は、ベトナムに行ってこようと思っている。

(剛):は~~、ベトナム!海外!   確かに、勢いのある国だと思うけど、そこで何すんの。。。

(航):コミュニティで知り合った方の紹介で、現地の子供の教育の仕事をやろうと思っている。親日な国だし、そこで自分が何ができるか?世界ってどう動いているかを体験したいと思っている。

(剛):そうなんだ。。。。なんか凄いな!勇気あるな!

(航):そんなことないよ、自分のことだもん。自分の人生の責任は自分しかとれないからね。それに、自分たちが育った子供のころや学生のころとは時代が違うっていうかさ。。。別に海外でなくてもよかったんだけど、知り合いの話聞いていたら、その気になった。。。

大学時代の友人:福本の退職の報告。彼が言った「10年後の自分」に何か引っかかった。。。

福本は、ベトナムのハノイへ子供達の教育という畑違いの仕事に「夢」を感じて行ってしまった。

それからというもの中本は、「10年後の自分」「10年後の家族」「その先は。。。」頭の中に自問自答を行い、結論がでるわけでもなく日々を過ごしていた。

それから2週間くらい過ぎたころ、そういえば、「航(福本)」がコミュニティに参加して変わったことを思い出した剛(中本)は、「航」の言っていた、コミュニティが気になりだす。

そのコミュニティをネットやSNSなどで検索し、関連する記事をネットで拾い読みするなど自分なりに調べてみる。

参加されているメンバーが老若男女、いろんな職業の方が参加しており、評判も悪くないことから一度オブザーバーでの参加することにしてみた。

そのコミュニティは、毎月開催されているもので、18時半開始で2時間ほど開催され、約60人位の参加者が集まっていた。
初参加ということで、とても気おくれしたどこかアウェイ感を感じるのではとの心配もあった。

コミュニティに参加して、すぐに主催者の佐倉と挨拶をした。するとすぐに2人の方を紹介され、気軽に参加できる様に配慮してくれた。

会場は、着席型のスタイルで席も決まっていた。ドリンクも飲み放題で料理はコース料理が運ばれて来た。
なんか、結婚式みたいだ。。。。(会場も結婚式場だった。。。)

そこには色々な業種の人が参加していたが、半分以上は独立した経営者が中心に集まっている様だった。

そこで、同じテーブルで紹介された自分より若い25才の若き経営者と話をしてみた。

彼は学生時代に起業して、WEBの会社を経営しながら複数の起業のアドバイザーやコンサルティングをやっているとのことだった。25才にして。。。。

自分より若くて勢いがある。そして、自分の人生や先の事、今後の世の中のこと、これから自分が何を社会に提供できるのかとの話に面食らった剛だった。

また、35才の女性の経営者は、美容サロンを3店舗経営し、オリジナルブランドの商品をネットや卸販売で事業展開しているとのことだった。

その他にも、同じ世代や自分より歳上の世代の経営者の話を聞くことができた。

良い話ばかりでなく、失敗談や今苦しい状況の話も聞いた。でも今から次に進んでリベンジする前向きの姿も見受けられた。

結構、刺激的な時間だった。 

自分は、愛する妻と可愛い娘を授かり、幸せで満足しているが、将来のことはどれくらい考えているのだろう。自分のことだけでなく、家族の将来や世の中のことをどれくらい考えているのだろう。。。
自分の将来!妻との人生!娘の将来! 色々と考える機会にもなった。

コミュニティに参加してから1ヶ月ほどが経過した。その間に機会をみつけては、ネット検索や本屋に行って世の中の起業の様子や環境などを調べる様になった。

Youtubeやネット動画配信なども気になり視聴したりしてみた。

確かに納得することも多いが、本当にそうなのか?いいことばかりではないはず!という思いが頭を駆け巡った。

そして、参加したコミュニティの事が頭に浮かんだ。。。

あのコミュニティには、成功者ばかりが集まっているわけでなく、失敗したり今苦戦していたりする人の話も聞けた。色々な情報の集まる場所なのではないか?

ネットでは、「異業種交流会なんか言っても無駄」とか「変な勧誘とかにあったりする」とかの掲載も目にしたが、あそこは「コミュニティ」だから、いわゆる「異業種交流会」とは違うのではないか?

主催の佐倉氏も「ここは、コミュニティなので、情報も集まるし人も集まる。それをどう自分スタイルに利用するかは自分次第なんです」って話してた。

そこで、思い切って主催者の佐倉に会うことにしてみた。
名刺をもらっていたので、メールで挨拶をして電話でアポイントをとらせてもらった。

その日は、リモートワークで自宅で開発作業を行っていた徹は、15時に仕事を切り上げ、約束した佐倉の会社を訪問することにした。

アポイントは、とってある。ただ、心のどこかに気おくれした気持ちを抱えながら佐倉の会社に着いた。

佐倉の会社は、結構大きなビルの7Fにあった。受付で挨拶して、会議室に通された。

暫くすると、女性の方がコーヒーをもって来てくれたが、それとほぼ同時くらいに佐倉が会議室に入って来た。

(佐倉):中本さん、先日はご参加ありがとうございました。今日は、お忙しいところご来社頂きありがとうございます。先日は参加されてみて如何だったですか?

(剛):こちらこそ、お忙しいのに時間をとって頂きありがとうございます。先日は、楽しい時間を過ごさせて頂き、刺激も沢山頂きました。ありがとうございました。

(佐倉):それは、良かった。中本さんは、確か福本さんのお知り合いというお話でしたね。

(剛):はい、福本は大学からの友人で、仲良くしてます。ハノイに行ってしまいましたが。。。ただ、その報告の時に、コミュニティの話を聞きまして、先日思い切って参加させて頂きました。

(佐倉)そうだったんですね。色々な方がいらっしゃったでしょう。率直にご意見を聞かせて頂ければ嬉しいのですが。。。

(剛):はい。始めは参加して、アウェイ感とか場違いなのかと思いましたが、佐倉さんからすぐ紹介頂いた方々から別の方を紹介して頂き、色々なお話しを聞くことができました。なんか、ウェルカムというか凄く親切に受け入れて頂いた感じで、感激と驚きを感じました。

(佐倉):そうでしたか。皆さん、素敵な方ですよ。始めはみんな同じ思いで初参加されていることを経験しているので、中本さんの事も受け入れて頂けたのでしょうね?それに、皆さん本当に仲がよいので、気軽にお話しできる雰囲気になるんです。

(剛):なるほど。。。素敵ですね。

(佐倉):さて、今日はご相談というお話だったと思いますが、どの様なことですか?よかったらざっくばらんにお話し頂けると嬉しいです。気軽にお話しください。

(剛):ありがとうございます。それでは、遠慮なく。。。。コミュニティでは、とても凄いというか経営者として成功しているというか。。。そんな方もいらっしゃいましたが、今苦戦を強いられている方のお話もお聞きしました。また、佐倉さんからは、「情報と人」が集まる場所というお話もお聞きしました。実は、福本の話や行動を見ていて、彼が「10年後の自分」について話してくれて、わたしもなんか気になっていたんです。

(佐倉):なるほど。。。それで、中本さんも独立したいとかですか?

(剛):それも選択肢ですが、なんか色々と考えてしまって。。。。

(佐倉):そうですね。起業することは悪いことではないです。むしろ今は、起業することが流行りみたい言われる時代でもあります。でも私は、その人に応じて起業が必要でれば起業すべきですし、そうでなければ、お勧めしません。

(剛)え!そうなんですか? 

(佐倉):はい。起業というのは、大きな決断だと思いますし、責任が伴います。自分や家族だけでなく、社会に対する責任も伴います。ですから、その「覚悟」ができてなければ、起業はお勧めしません。むしろ、今の会社でそれなりの会社の資本で仕事をこなし、実力で幹部や社長になることも素敵な決断だと思います。今は、法律(会社法)も変わり簡単に株式会社とか合同会社とか作れる様になりました。会社をつくると「社長」と呼ばれ、周りにも威厳みたいなものを感じさせると自分も錯覚に陥ります。しかし、法人になることは、会社という人格をつくることで社会に対しても義務と責任が発生します。その上で権利が成り立つからです。税金も納めなければならないし、一度作ったら継続することが、クライアントやお客様への責任にもなります。また、法律や求められることも時代に応じて変わっていくので、変化に対応して行く必要があります。

(剛)なるほど。その覚悟なないといけないということですね。

(佐倉)はい。会社を作ってもその後、どうやって売上を上げて利益を確保するか。保証は自分の計画と行動しかありませんからね。そして、そこに自分スタイルの環境をつくる必要があります。意外とこの環境作りを勘違いされたりすると結果が上手くいかないことに繋がって行きます。

(剛)その「自分スタイルの環境」ということが、前回もお聞きしたので、気になってました。

剛は、佐倉の話を聞いて、少し驚きを感じた。福本の独立のこともあったので、独立を勧められるのではないかと思っていたこともあったが、会社というものを簡単に考えたところもあっと思った。

経営者が楽でかっこいいとまでは思っていなかったが、「義務と責任」その上での「権利」という言葉に重みを感じだ。
剛は、ますます「自分スタイルの環境」という言葉が気になって来た。

**友人の福本の決断を聞いて「10年後の自分」という言葉が気になった中本は、福本が影響を受けたというコミュニティに思い切って参加してみた。そこには、色々な業種の経営者やビジネスマンが集まっており、話を聞いてみると皆が先のことを考えて行動していることに自分自身を振り返る機会となった。「10年後の自分」を考えなくはなかったが、漠然とした思いだけで、具体的に考えることもその為に行動することをしていなかった自分を認識することができた。そして、自分と向き合って「10年後の自分」と向き合い始めた中本は、興味のあることや色々な選択肢を求めて、自分なりに情報を集めていく中で、コミュニティの存在が気になり主催者の佐倉と会うことにした。そこでは、「自分スタイルの環境」という言葉と出会う。「自分スタイルの環境」とは、何なのか?自分のスタイルと環境とは。。。。**

(次回:自分でつくる「自分スタイルの環境」。。。)

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