『レッド・デッド・リデンプション2』ネタバレ全開の感想
※RDR1&2ネタバレ全開です
レッド・デッド・リデンプション2、スタッフロールまでクリアしました。完璧でした。完璧。パーフェクト。
ゲーム的なダルさはもちろん感じてます。
ファストトラベルできない移動。
いちいちウェイトが発生する各種アクション。
賢そうで全然賢くないNPCのAI。
んでも、んなこたぁ解ってるしどうでもいい。
8年前に前作をプレイした時も全く同じダルさを感じたし、それはある意味で、西部開拓時代という文明化直前の世界を再現したこのゲームの、味の一つだった。
そして、そんな欠点さえどうでもいいと感じさせる、エンディングの強烈なインパクトとカタルシス。
ああ、確かにこれは、レッドデッドリデンプション(赤き死の償い)を描いた物語なのだと納得させるキャラクターとストーリーで、前作RDR1は私の大好きなタイトルの一つでした。
前作クリア後、私は某動画サイトに「次回作ではワルだった頃のジョンがみたいなあ」とコメントを書き込んだのを覚えてます。
今作レッド・デッド・リデンプション2は、その願いを完璧に、それ以上に叶えてくれた。
前作よりも前の時代の、つまり受け手が結末を知っている物語を、前作以上のインパクトで描くことがどれだけ難しいかを考えれば、これは偉業と呼んでさえいいと、そう思えます。
RDR2本編におけるジョン・マーストンは、とにかく頼りない。
しょっぱな獣に襲われて雪山で遭難しかけてるわ、妻子を放って家出した過去をバラされるわ、息子を攫われるわ、自分が捕まってアーサーに助けてもらうわ、列車から転げ落ちて肝心な時にフェードアウトするわと、ちょっと笑っちゃうくらいヒドい。
とはいえ、今作の主人公は作中でも有能と評されているアーサー・モーガンであって、しかも助けられる側のジョンは渦中にあって生き残ることが完全に判っているので、活躍しなくてガッカリとは感じさせないあたり、魅せ方が上手いなぁと。
そのアーサーが、なぜジョンを差し置いてまで主人公なのかを考えれば。
そして、このゲームのタイトルが『レッド・デッド・リデンプション』であることを考えれば。
アーサーという人物の結末は、簡単に想像ができてしまう。
ダッチギャングの仲間達でさえ、幸せな結末を迎えないであろうことは最初から前提のようについて回るのです。
だからこそ序盤の、まだ現状を認識できずに気楽に振る舞っている彼らの日常を思い返せば尊かったと思えるし、その絆が壊れていく様を見るのは余りに胸が痛かった。
前作のジョンがあまりに悲しい末路だったので、アーサーも同じかそれ以上、例えばダッチに裏切られてピンカートンに捕まってリンチされたあと絞首台…とかそんなレベルを覚悟していたのですが、ジョンを助ける目的を果たした上に撃たれるでもなく朝日の中で眠れるなんて、これはもうハッピーエンドと解釈して良いのでは…というか、解釈した。
この後のジョンに比べりゃまだまだ幸せなんじゃないかなぁ、と。
今まで大勢の人生を狂わせた上に、最期にその罪を自覚してしまったアーサーにとっては、死んでも眼の前にある家族、つまりマーストン一家の人生を守ることが『赤き死の償い』であり、そのアーサーにチャンスを貰った過去があるからこそ、ジョンもまたRDR1における『赤き死の償い』を受け入れた。
アーサー・モーガンという、ギャングとしては余りにも繊細で脆い男が最期に残せたものが、RDR1の物語であったと思うと、それを知っただけでRDR2をやって良かったと、そう想った、のですが。
そして、エピローグですよ。
ジョンが主人公になって叫んだ。マジかと。
思い返せば容易に想像できたはずなんだけど、なぜか予想外で、しかもこれがもう、尽くエモーショナルで。
ジョンが牧場でララミーギャングとのトラブルに巻き込まれていく中、時折繰り返されるSEがどっかで聞いたことあるぞ~とか想ってると、ララミーギャングへのカチコミ時には完全に前作のメインテーマになるのですよ。
8年間、サウンドトラックで聴き倒してたあのメインテーマに(私事)。
そしてララミーギャングに対して初めてショットガンを撃つカットは、明らかにRDR1のパッケージのメインビジュアルと同じ構図、同じ武器。
ああ、私の知ってる、ヒーローとしてのジョン・マーストンが戻ってきた。
そして、RDR2の物語を経た今、ジョンがヒーロー、主人公であることには前作以上に強い説得力がある。
この状態でジョンを再び操作し、しかも前作メインテーマがジャンジャカ鳴る中、今作の主人公アーサーの仇マイカを追いかけ倒すという、ファンサービスの熱さよ。
100点でも足りない。
RDR1におけるストーリー最後のデッドアイは、ジャックとクソッタレ捜査官のロスとの決闘でした。
『赤き死の償い』の為に殺されたジョンの仇を討つため、どうやったか父親ばりのガンマンとなったジャックが、ロスに対して『赤き死の償い』を与える。
そして勝利後、『RED DEAD REDEMPTION』のエンドタイトルが表示されて、物語のタイトル、そしてテーマは完璧な形で回収されました。
RDR2においてジョンがマイカを撃つ最後のデッドアイは、RDR1でのその体験に重なる、作中の時系列に合わせて言うならば未来を予見させる、絶対に忘れられない一発でありました。
思うに、レッド・デッド・リデンプションとは単なる『赤き死の償い』の物語なのではなく『連鎖する』赤き死の償いの物語なのであろうと。
アーサー、マイカ、ジョン、ダッチ、ロス、そして恐らく、いずれジャックと繋がっていく逃れられない報いの運命に、どの様に向き合うのか。
過ちを犯し、もうどう足掻いても償えないと判った上で尚、それがたとえ真似事に過ぎないとしても尚、みずからの死を懸けて過ちを償おうとするアーサーやジョンは、人として欠点だらけでもなお美しい。
それは彼らが絶望的に救いのない運命にさえ真っ向から立ち向かう、本当のヒーロー足り得るからなのでしょう。
マイカを倒した後に始まる最後のチャプター名は「終わらない夏」。
その最初にジョンとアビゲイルが立っている場所は、RDR1で二人とおじさんが葬られ、主人公となったジャックが最初に立っている場所。
この後のジョンには逃れられない『赤き死の償い』が待っているのだと否応なしに思い出させた上で、同時にプレイヤーが一歩を踏み出さない限りは、その時は来ないのだと示すクエスト名。
前作よりも前の時間を描いたゲームとして、これ以上の終わらせ方は、私にはちょっと想像できません。
そもそも前作の時点で思い出深い大好きなゲームだったし、このRDR2はその好きをもっと深めてくれる素晴らしい続編だった。
そういう意味で、完璧。これ以上は要望しようがない。
なんならこれ以上の続編さえ、いらないかもしれない。
それくらい、こんなに『やってよかった、待ってよかった』と思える続編は無かったかもしれない。
そんな、RDR2の感想でした。
【ここから↓は、雑多になっちゃう一部好きなキャラの所感】
ダッチギャングについて、みんな面白い奴だけどRDR1をプレイしてれば、彼らに幸せな未来なんてまず有り得無いと判ってしまう。
では、コイツは死ぬのか? 死ぬにしてもどんなふうに?
と、ある意味で物語に緊張感をもたせる一番の要素でしたね。
一番好きだったのはホゼアで、冷静な参謀ジジイみたいなキャラクターはもともと好きなんだけど、それだけに死亡フラグの立ち方が半端ない。そもそも、ホゼアが死ななければダッチはあそこまで壊れなかっただろうというのも、はっきりと伝わってきますしね。あっさり捕まってあっさり殺されたのはショッキングだったし、でもやっぱりそういう世界なんだよね…と。ダッチとアーサーと三人で釣りしてボートで歌ってたりとか、うさんくさすぎる詐欺師ムーブとか、楽しい思い出が多くて余計胸が痛い。
レニーも好きだったし、アーサーもレニーは特別気に入ってる節があった様に思う。素直だし有能だしね。ホゼアと同じタイミングで、同じ様にあっさりと死んでしまって、悲しい感覚が麻痺していくのが生々しかった。アーサーはレニーの死体の側で数秒立ち止まるけど、レニーの事を気に入っていた上に、偶々アーサーより先行したから死んでしまった可能性もあるしと、その数秒で考える事が多すぎて重い。
チャールズはこのゲームの良心だった。あの別れ方してから仲間を埋葬するためにわざわざ殺し合いの現場に戻ってくるとかどんだけ良い奴なんだよ。
実のところ彼がエピローグ(ジョン編)に登場する必要は、プロットだけ見たらあんまり無いように見えるんだけど、それでも登場するのはジョンをして「当然頼りになる」と言わせる安心感と、かつプレイヤーに「死なないでほしい」と思わせる不安感もあって、つまり居るだけでもストーリーにメリハリをつけられる稀有な立ち位置だからかなとか。
セイディについては、後半の化けっぷりもさることながら、一つの妄想が浮かぶ。ジャックはジョンの死後3年で父親並のガンマンに成長するが、では銃の扱いはどうやって覚えたのだろうという疑問があった。あるいは、復讐に燃えるジャックがセイディを見つけて師事した世界線もあったら、熱いよね。
おじさんは、RDR2のストーリーだけ見てると本当にクソジジイなんだけど、RDR1をやってると最初から好感度MAXで、だらけてる姿もなんとなく微笑ましいのでズルい。でも完成したばかりのジョンの家をいきなり酒とゲロか何かで汚しまくっているのは、そら糞ジジイ呼ばわりされますわ。
ティリーは女の子の中では一番好きだった。冷静で気丈でモラルもあるのがいい。幸せになってくれたようで嬉しい。
スーザン、ティリーが攫われた時にガチギレしていたのが逆に好感度高かった。あと湖のキャンプでは朝方必ず湖畔に佇んていたのが印象的。
ピアソン、飯ができたぞ~的な事を叫ぶのが和む。ワニの卵うまいぞ~とかはしゃいでるのも和む。癒やし。
アーサーは絵も字もキレイでマメに絵日記つけてて、アンタ女の子ですか?って感じなのにジョン編になったとたん字も絵もヘタクソになって、でもジョンが絵日記つけてるのはそれを託したアーサーを見習ってるんだよね、と思うと本当に微笑ましい。