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一体いつから,ワニは劇的に死ぬと錯覚していた?:カウントダウン式連載に着目した『100日後に死ぬワニ』の一考察

こんにちは,さんぱちです.今日は『100日後に死ぬワニ』のことを書きます.

『100日後に死ぬワニ』って?

Twitterでは有名ですが,要は「擬人化された動物が主人公の日常系4コマ漫画」です.よくありそうな設定ですが,めっちゃバズっています.

作者は「きくちゆうき」さん.Twitterで当作品を毎日投稿されていました.

作品は以下のサイト等いろんな所でまとめて読めます.

当作品の最大の特徴は,主人公のワニが100日後に死ぬということが明示されたうえで「1話(4コマ)=1日」としてストーリーが進んでいく点です.本記事ではこの特徴をカウントダウン式連載という手法として捉えることにします.

通常の連載漫画では,「作戦開始までXX日」のような物語内でのイベント発生に向けたカウントダウンは見かけますが,「主人公が死ぬ」という連載終了を示唆するカウントダウンは殆ど行われません.

その大きな理由は,例えば雑誌連載の漫画であれば,連載を続けるか否かを判断する権利は作者には(原則)無いからです.つまりカウントダウン式連載は,個人の活動として行っている連載だからこそ実現可能な手法と言えます.

では,この手法は『100日後に死ぬワニ』のバズり方にどんな効果をもたらしたのでしょうか?

『100日後に死ぬワニ』は藍染の鏡花水月である

これが私の結論です.以下,2つのポイントに分けて説明していきます.ですがその前に,

藍染??鏡花水月??

と思った方は,ニコニコ大百科様を参照ください(ブン投げ).とはいえ簡単に説明すると,鏡花水月とはBLEACHという漫画に登場する藍染惣右介というキャラクターの能力で,鏡花水月が発動した状態を一度でも見た者は催眠状態になり藍染の支配下に置かれてしまうというチートです.

(1)カウントダウンが無ければ超普通の日常漫画

つまり,カウントダウン式連載という手法を取っているからこそ,『100日後に死ぬワニ』は『100日後に死ぬワニ』なのです.もちろん「100日後に死ぬ…」というタイトルも重要ですが.

試しに,以下(第2話)を「死まであと98日」の部分を隠して読んでみてください.

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超超普通ですよね?個人的には普通の日常漫画も大好きですけど....

(2)「ワニが100日後に死ぬ」と知った時点で読者は作者の支配下にある

これが,「『100日後に死ぬワニ』は藍染の鏡花水月である」という結論につながります.

「死まであとXX日」という文字を見て,読者は何を思うでしょう?

ワニ君はどんな死に方をするんだろう?

と思いませんか?もちろん他にも色々考えたりすると思いますが,死に方を少しでも予想してしまった人は多いはずです.

そして多くの人が,劇的な死に方(結末)を予想します.これは,Twitterで検索してみてもわかりますし,以下の記事からもわかります.

病気,事故,自死,他殺,死なないなど,色々ですね.

さらにさらに,

死に方を当てたい

と考える人も多いはずです.それが何故なのかと言われると難しいところですが,人間ってそういうところありますよねw

すると何が起こるかというと,

予想・考察合戦

です.伏線(と考えられる描写)を基に,あーでもないこーでもないと議論し放題です.Twitterというメディア上の作品であるという点も,議論の発生しやすさに影響していると思います.また,作品は毎日更新されていましたので,1日1回議論素材が増えます.

この時点で,とっくに読者は催眠状態です.内容としては超普通の4コマ漫画に対して,毎日議論しています.LINEスタンプを買ったりもします.

そして議論が議論を生み,拡散され,作品の知名度がどんどん上がっていきます.つまり催眠状態の人間が爆発的に増えていきます.

当然ですが,漫画は作者が書いています.なので,Twitter上の予想・考察を考慮して結末を変えることもできます.つまり,ワニの死に方は作者の手の元で可変です.そういう意味では,ワニの死に方を予想するのは無駄なのです.しかし,読者はそこに価値を見出し,日々,フィクションな存在であるワニ君の人生を考えることに時間を使います.

このような現象自体は,別の漫画でも起こります.例えばワンピースがどういう結末を迎えるのかに関する予想は漫画ファンの間では熱いです.しかしワンピ―スのような超絶人気漫画は,その実績があってこそ,予想・考察合戦が起こるわけです.つまり通常の漫画は,長い期間をかけて知名度を上げ,人気になり,そこで初めて議論が起こります.

一方『100日後に死ぬワニ』は,歴史が浅くても,読者が「ワニは100日後に死ぬ」という未来のイベント発生を認知することがトリガーとなって議論が発生しました.

この点が,能力発動を一度でも見た者が催眠状態になる,という鏡花水月の効果と酷似しています.

すなわち,

『100日後に死ぬワニ』は藍染の鏡花水月

なのです!ちょっと無理矢理なのは承知していますがw

また,100日間という長期間にわたって催眠が続いたのも凄いですよね.

ちなみに実際の結末は既に公開されています.まだ読んでいないという方はぜひ.

最終回を読んだ人は,予想が当たったり外れたり色々だったと思いますが,劇的な結末を予想していたであろう多数派の読者は「!?」となったのではないでしょうか.この終わり方が,また議論を呼んでいましたね.

特殊能力が無くても,人は人を催眠状態にできる

鏡花水月は漫画の中に登場する特殊能力ですが,100日後に死ぬワニが成功した理由は,作者である「きくちゆうき」さんのアイディアに他なりません.つまり,漫画キャラのような特殊能力を持っていなくても,アイディア次第で人は人をコントロールできるんですよね.もちろん人を騙すのはいけないことですが,きくちゆうきさんは,100日間,読者の生活に潤いをもたらしたと言えるのではないでしょうか.つまり,良い催眠だったのだと思います.

おわりに

以上,Twitterで話題の『100日後に死ぬワニ』について,その連載形式に着目して考察してみました.実は,最終回直後の作品に関する色んな発表が色々と話題になっていますが,そこについては本記事では触れませんでした.また機会があれば書いてみようと思います.

わたくし「さんぱち」は普段は「過不足なく努力して大きな成果を得る」ためのノウハウについて発信しています!特に学生さんに有益な情報が多いので,ぜひぜひ他の記事にも遊びに来てください!

Twitterでも色々書いていきます!ぜひ!

あーあ,俺にも何か良いアイディア降ってこないかなーw


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