見出し画像

鹿島槍天狗尾根遭難を総括する(遭難)(原文)③

学習院大学山岳部 昭和34年卒 右川清夫

雪崩と遭難の原因

 この雪崩は根雪の少ない急斜面に数メートルに及ぶ新雪が積もり、旧と新の雪面が不安定な状況のところに、雪を押しのけるようにして斜面を降る4人の力が加わったことによって発生した表層雪崩とみられる。

 天狗の鼻はマカリ沢本谷の源頭にそそり立つピークで、マカリ沢側に斜面は40度を超えるきわめて急峻な絶壁である。 4人が天狗の鼻幕営地から下降する際、天幕地から下山ルートの尾根にとりつくまでの間に、視界が効かぬ中、厳しいラッセルのため進むべきルートから外れてしまったことに原因がある、と小谷は想っている。

 彼らが行動を起こす前2日間は、連日猛烈な降雪で異常な積雪を記録した。 30日午前9時の天気図は本州付近の等圧線は間隔が狭く強風。 この前後の寒冷前線の通過により大雪がもたらされた。 入山時のルートと違ったルートを下ってしまった可能性が高い。

 昭和31年1月4日、遭難後初めてテント撤収のために天狗の鼻に登った、山崎徹、江間俊一、設楽美徳、井ケ田傅一が第2クロワールを登り切ったところから眺めた天狗の鼻直下に、厚さ約1~2m、幅20mほどの亀裂崩落の跡を見ている。 その後救助隊として5日、舟橋明賢OB、ガイド星野貢氏が捜索のためマカリ沢の屈曲点に降りたところで、雪の断層崩落による大量のデブリを見ている。

「鹿島槍天狗尾根遭難を総括する(遭難)(原文)②」から

「鹿島槍天狗尾根遭難を総括する(遭難)(原文)④」へ

#学習院大学 #学習院大学山岳部 #学習院山岳部 #学習院山桜会 #山桜会 #大学山岳部 #遭難 #鹿島槍ヶ岳 #鹿島槍ヶ岳天狗尾根

いいなと思ったら応援しよう!