凄いぞ地方交付税
こんにちわ。些の件です。
自治体の財政を考えた時に、地方交付税って避けては通れない。過疎関係自治体の歳入の約4割ですから。
この地方交付税制度が、地方自治や地方の活性化に悪い影響を与えているというような批判的な意見の方が多いのかなと思います。
地方公務員以外の人だと、「地方交付税制度」自体、ほぼわからないかもしれですね。
「地方交付税」って何かと言うと、総務省のホームページにしっかり載っています。一般の国民が見ること、ほぼないとは思いますが。
ホームページでも、一番最初に説明している”「国が地方に代わって徴収する地方税」(固有財源)という性格をもっています。”ってことがポイントだと思います。
お金のない地方の自治体に、お国が分け与えてあげているお金というようなイメージ強いかもしれませんが、ちょっと違うんです。
本来的には、自治体が地方税で徴収した収入だけで運営できればいいけど、現実全ての自治体がって無理ですよね。
自治体によって海があるかないか、温泉が出るか出ないか、雪が降るか降らないか、国立公園があるかないか、東京までの距離や交通手段とか、自治体によって千差万別です。
温泉観光地で宿泊税とか、名古屋市が住民税引き下げしようとしてたと思いますが、そのために、担当する職員は、研修に行ったり、財務省と打ち合わせしたり、内閣府にも行ったり。関係住民、地域経済団体との懇談会開催、理事者や市町村議員向け説明資料の作成などなど、その職員人件費や旅費いくらになるんでしょうか。著名な大学教授を数回読んで勉強会の開催、大学教授にぶら下がって付いてくるコンサル会社へのコンサル料などなど、相当な投資的経費がまず必要かなと思います。
実際に、それが運用できたとしても、運用していくために公務員の仕事もまた増えて、その人件費もまた税金です。
”地方債”のときも少し話し出してますが、私が一貫して思うことは、公務員の仕事=税金(住民・国民負担)なわけです。
「10,000千円税収増えました!」って言っても、その新制度運用のために公務員2人がほぼつきっきりでやるのであれば、その2人の人件費だけで集めた税金が消えてしまいます。
地方交付税は、国が一旦まとめて税金集めてくれています。それを公平公正かつ、それぞれの地域の実情なども加味して、かなり緻密に、かつ長年続いている制度なのでシステマチックにもなっていて、それぞれの自治体が運営していくのに必要な歳出額を割り出して、短期・長期にも計画されながら交付されています。
各自治体が本気で税制度運用していったら、地域の産業にも影響があります。それが自分の自治体の財政運営にも大きな影響を与えるだけの金額になるんだとしたら、相当な税率などの調整などが必要です。今回の新型ウィルスとか、地域内だけではどうにもならない経済状況に陥る場合もあります。地域のモノを海外に売ったり、原料を海外から仕入れていたりしていれば、国際経済の影響も受けます。
これらを一括して、国が地方に替わってやってくれる、それが交付税制度だと、私は解釈しています。
なので、地方自治体が独自の税制考えること自体、二重行政になっていて、税金の無駄だなと思います。
交付税制度が批判される理由として、交付税は財政需要額(※その自治体が運営するの掛かると見込まれる支出額)から、財政収入額(※その自治体の見込まれる税収の額)が引かれた分が、自治体運営していくのに不足している額として交付されます。
この引き算の捉え方。例えばある自治体が企業誘致に成功して、固定資産税や法人税、住民税などの税収が増えたとします。そうすると、財政収入額が増えるので、交付される交付税額は減ると捉えていると、頑張って企業誘致しても自治体財政がよくなるわけじゃない、交付税制度おかしい!と主張する方がいるようです。
でも、よく考えればわかりますが、人口増えたら、基準財政需要額も増えるんです。だから、単純に税収増えた分だけ交付税が減るわけではありません。例えば、企業誘致で急激に、子ども世帯も増えたとします。そうすると、小学校のクラスが1クラス増えるかもしれません。保育士の数も足りなくなるかもしれません。いろいろと行政コスト掛かる要因も増えますが、その増えた分の経費は基準財政需要額でみてもらえます。
交付税制度なかったら、その行政コスト増も全て、税収増額分だけで対応しないといけなくなります。
税収額がいくら増えるのか、いくら行政コストが増えるのか、そこまで計算して企業誘致できるでしょうか。社員の子どもの数や年齢まで指定して企業誘致できないと思います。
交付税制度があるおかげで、地方自治体が企業誘致などに取り組めるんだと思います。
交付税制度って凄いと思います。
だからって、万能ではりませんし、国も、この交付税財源が足りなくて、長年困っています。
だから、交付税制度のもとで、各自治体は少しリスクあっても交付額を減らすのか、地方税とか国税関係なく税収が増えるような取り組みはしていかないといけないと思います。
小規模自治体で、難しい独自の税制度考えている時間や予算あるなら、身の丈にあった地域の振興図っていった方がいいと思います。