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コンビニ傘


日記


肩に掛けたエコバッグの重さによろけそうになった。中身はジャックダニエル2本、ウィルキンソンの炭酸12本、ノンアルコールビール6本、チーズ…etc

昨日は、11月の観測史上、過去最高の大雨だった。
スーパーへ仕入れに行くのをためらっていたけど、そんな事も言っていられなかった。土曜日なんだから。
玄関のドアを開けると叩きつけるような大粒の雨。車に乗り込むほんの数十秒の間に、着ていた服が濡れるほどだった。
エンジンを掛けるとクレイジーケンバンドの「香港グランプリ」が流れてきた。


そう言えば先日、友達の超美女 Kちゃんに
「え?今どき、車にCDセットしてるの?(笑)」
と笑われた。彼女は白と黒のレクサスを1台づつ所有している。
いいじゃない。アナログなやり方も…
そう反論しようと思って止めた。

忙しなく動くワイパーに負けない雨が、私の視界を曇らせていく。数分で着いたスーパーの駐車場から、コンビニで買ったビニール傘を差して、足早に中へ入った。入り口には傘立てと傘を持ち歩く人のための長いビニール袋が置かれていた。

どうせ大荷物になるんだから…

私は店の仕入れの時は店内へ傘を持ち入れない。だから忘れてもいいように、こんな時はコンビニ傘にしている。

傘立てには、似たようなビニール傘ばかりが何本も突っ込まれていた。私は自分の傘が直ぐに分かるように「一番右端の一番手前」に入れた。

仕入れが終わって、エコバッグの重さに踏ん張りながら、一番右端の一番手前の傘を手に取った。
外へ出ると、さっきよりも更に酷い雨が降っていた。
左の肩に重いエコバッグを掛けて、右手で自動傘の下ハジキを押した。

「えっ?」

開かない。仕方なく手で押し開いて車へ向かおうとした時だった。

バンッ

音を立てて白い柄のコンビニ傘が壊れて、石づきからビニールが剥がれ落ちた。ぐっちゃぐちゃのビニールの塊のようになったモノ。

でも、ないよりはマシ?

恥ずかしいなんて言っていられるような雨ではなかった。そのまま傘の役目を放棄した傘を差して車へ走った。冷たい雨が、私の全身を下着まで、ずぶ濡れにした。

助手席側のフロアマットに潰れた傘を置いて、よく見ると中棒が茶色く錆びついていて、

私の傘ではなかった。


あぁ、こんな雨の日に間違えられた?それとも、すり替えられちゃった?


ちょっと悲しくなって、この話を夜、店の相棒のミユにすると

「あのさ、sanngoちゃん!何故、怒らないのよ?」
「はっ?」
「相手は故意に不燃物に捨てる予定の傘をそこですり替えたんでしょ?」
「あ〜、そうかもね…」
「ったく〜」

私の代わりに怒ってくれた(笑)
でも、もしもお婆さんとかが間違えて持って行って、雨に濡れなかったのなら、それはそれでいいかも。

また新しいコンビニ傘を買わなくちゃ。


意地悪はするより、された方がマシ(笑)

#なんのはなしですか





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