春一番が吹いた日
春は、確実にわたしたちのすぐそばまでやってきている。そう実感したのは、ほんの数日前のこと。
時刻は、16:30。
「今日は、タイミングよく日の入りが見られそうだね」
そうつぶやいたわたしの脳裏には、師走のとある日に見た天気予報の画面が横切った。
日の入り 16:48
夏が秋になって、上着が手放せなくなったその頃から、仕事を終える17:00には外が真っ暗になっていた。仕事を終えたタイミングで外が暗いと、なんだか気分が上がらなくなってしまって、その日以降、日の入りの時刻なんて気にすることなく生きていたんじゃないかと思う。
それだというのに、目の前の友人を照らす夕暮れのぼんやりとした赤い陽は、今日は絶対に綺麗な日の入りが見られるだろう、なんて気持ちを思い出させてきた。
iPhoneを取り出して日の入り時刻を調べると、17:12。冬至から約1ヶ月半。貼るカイロをお腹と腰にペタペタと貼り続けているからか、まだまだ長い冬が終わらないような気がしていたけれど。お日さまは、少しずつ、春に向かっていた。
冬の澄み切った空気の中、足早に去っていく太陽を、パシャパシャと撮り続ける。ただ、なにも考えないで。
そんな不思議な時間を過ごした週末を終えて、バタバタと走り回る平日がやってきた。
緊急事態宣言下だというのに毎日職場に通い、真っ暗になるまでパソコン画面と格闘する。そんな現実が容赦なく訪れたもんだから、春の足音なんてすっかり夢のまた夢のような気がしていた。昨日までは。
今朝、職場について窓を開けると
バサっ
っと、カーテンが大きく翻って、部屋中に新しい空気が吹き込んだ。
春一番
そうだった、そうだった。春が、わたしたちのもうすぐそばまで、やってきているんだ。
ここ最近は、前回の記事でも書いたように論文に追われている。とてもとても追われているんだけれど、先行研究を読みながら今年度のわたしたちに足りなかったことが浮き彫りになったり、わたしたちなりに頑張ってきたことが見えてきたり。
そんなことをじっくりと振り返ることができる追われ方。案外嫌いじゃない、というかむしろこの知的好奇心が駆り立てられる時間は、わたし自身をとてもわくわくさせる時間になっているみたいで。
社会人3年目、やっと「これが好き」を見つけたような、そんな気持ちで働くことができたんじゃないかしら。
まだまだ漠然としているけれど、今日の春一番に吹かれながら
わたしの「好き」に正直になれる選択をしていこう
そう心に誓って、また仕事に戻った。
といえども、春一番が吹くとまた寒さが戻ることが多いことから「寒の戻り」なんて言われる春一番。わたしの仕事も、一年で一番忙しい時期を迎えつつあって、たぶんまた「追われている」としか表現できない日々が続いていくんじゃないかなぁとも思う。
そんな中でも、「春二番」「春三番」と続いていく風を感じながら、ふとわたしの「好き」に立ち戻る瞬間を大事に大事にしながら、春の陽気を待ちわびていこう。うん。
これは、「春二番」「春三番」に備えての、わたしの忘備録であり、備忘録。