なんでもない日常の、でも誰かにとって大切なことを残したい。
学生の頃、高速バスで片道6時間かけた道を、新幹線1時間半で移動できるようになった。おかげで、仕事を終えて夜ご飯を実家で食べて、お風呂にも入り終えている。お金で時間を買うとは、なんと幸せなことだろう。
明日は、毎年楽しみにしている後輩たちの文化祭。それも、週に一回家庭教師としてお家に訪問していた女の子にとって、最後の文化祭。前々からこの日は絶対に仙台に帰ると決めていた。
仕事帰りそのままだからね。
ちょっとお腹に入れるものが欲しかったのよ。
なんて思っていたら、あっという間に仙台。池袋-江ノ島間と乗車時間変わらないことに気付いて慄く。(もちろん、チケット代は全く違う)
降りると見慣れた景色が。
どのエスカレーターが近道かもわかるし、どこにATMがあるのかもどこにドラッグストアがあるのかもわかる安心感。
旅とはまた違った心持ちで歩くわたしがいる。
家に着くと、おじいちゃんがお寿司を買って待っていた。わたしがこの家を出てからというものの、帰省初日は必ず北辰のお寿司。
いつもはにぎり寿司だけれど、最近少食気味なわたしのことを考えてちらし寿司にしてみた、とのこと。ありがとう。
醤油をあけるだけで、にこにこなおじいちゃん。
ひいおばあちゃんとおばあちゃんとおじいちゃんとわたし。4人で暮らしていた日々が4年もあったというのに、実は4人の生活を残した写真がほとんどない。
病気が分かってからの写真は何枚かあるんだけれど、晩年の元気な写真があまりにもなくてお葬式の後唖然とした。
そんなことをふと思い出して。なんでもない日常の、でも誰かにとって大切なことを残していこう。そう思って写真をはじめた。
だから、おじいちゃんの写真もね、そして、大好きな地元仙台の街並みも、わたしなりに残していけたらいいな、なんて思いながらおじいちゃんにカメラを向けてシャッターを切る。
そんなこんなで、 #sanmari撮りっぷ がはじまりました。