南インドでわたしは②-インド英語は、奥が深い-
ことばをうしなった。
そして、目に涙が溜まってきた。目の前が霞んで、でも、こぼれ落ちない涙。
インド初日、かの有名なシヴァ神がいらっしゃるカーパーレーシュワラ寺院やセント・ジョージ教会の観光を終えて、最後にやってきたのがここ。
Fort museum(セント・ジョージ要塞博物館)。
ここには、東インド会社の設立や世界大戦、英仏大戦の記録が残っている。
ここを案内してくれたのは、今回の旅の専属ドライバー。valsalanさん。
ホントはドライバーだけの契約なんだけど、わたしがあまりにもインドを歩くには危なっかしいらしく基本的についてきてくれるようになったのだ。勿論彼の入館料はわたしもち。
彼の入館料が25ルピー、観光客であるわたしの入館料が300ルピーなことに最初ちょっと戸惑ったけど、それくらい払う価値のある感動体験。
ここの展示で一際目を引いたのが、イギリス人たちがベンガル湾から次々とインドへ上陸してくる様子を描いた絵。そう。南インドは、元イギリス領。東インド会社が設立されて、大戦に参加した。
この絵を見て、思わず息を飲んだ。
ことばをうしなった。
そして、目に涙が溜まってきた。目の前が霞んで、でも、こぼれ落ちない程度の涙。
あ、そっか。。。
この人たちは、現地語云々ではなく、ただ英語を覚えざるを得ない、使わざるを得ない状況に直面していたんだ。
わたしには日本語という母語があり、手話という第二言語がある。どれもわたしが生きやすさにつながる生活言語。「覚えなきゃ」と習得したわけではない。
昨日のnoteで紹介した女性も、valsalanさんも英語が堪能だ。museumの説明書きの多くも、現地語ではなく英語で記されていた。
その状況だけを見てわたしは
「英語使えるなんてかっこいいな」
「よし、わたしもいっちょ勉強してみよっかな」
なんて考えていた。
でも、あの絵を見たときにいろんなことがぐわっと頭に浮かんだ。
「覚えたい」「かっこいい」
云々ではない歴史が、このチェンナイには残っている。
普段は博物館なんてあんまり興味がなくてさらっと飛ばしちゃいがちだけど、valsalanさんにガイドをしてもらいながらFort museumに行ってよかった。自分の考えが浅はかすぎて自分で自分にすごい衝撃を受けたけど、あんまりにも衝撃を受けるとことばをうしなって涙が出る、そんな心の動く体験ができてよかった。
どうやら、インドは奥が深いみたいだぞ。