感覚というものは、なかなか言葉にすることができないから at BE KOBE
女子という生き物は、バッグというものがとにかく好きな生き物だと思う。
その日のコーディネートを考えながら、行く先を考えながら、バッグを選ぶのもコーディネートのうち。通勤用にリュックに、美術館に持っていくようなハンドバッグ、夏のカゴバッグに、アクティブに動く日用のショルダーバッグ、バレエのお稽古に持っていくトートバッグ、あとお着物に合わせる和装バッグ……用途に合わせて最低限しか持っていないつもりだけれど、それでも出かける先を考えながら荷物を移し替える作業が、好きだ。
ハンカチにポーチ、お財布にiPhoneにモバイルバッテリーにおうちの鍵……それから、カメラ。iPhoneにだってカメラ機能は付いているし、それで事足りるかもしれない。
それでも、わたしのお出かけには、カメラが欠かせない。
わたしの相棒は、FUJIFILM X-T30というとにかく愛らしいフォルムのミラーレス一眼カメラ。彼と出会ってもう2年半。
気合を入れてパッキングする旅行からほんのちょっと近所へお散歩に行くときまで、いつもわたしのそばにいてくれる。一眼レフカメラというと、重くて大きいから、「よしっ!写真を撮るぞ‼︎」みたいな気合が必要。だけど、T30はそんなに重くないから、出番がなかった日があったとしても「まぁ、そんな日もあるよな」と思えるお手軽さなのが、また良い。
だから、バッグを新調しようと思うとまず「T30が入るか?」というものさしで探し始める。小さめバッグが流行っているここ数年は、わたしの気にいるデザインかつT30の入る容量のあるバッグというものがそんなに多く存在しないこともあって、バッグを持ちすぎる心配をしなくて良いのが正直助かるところ。
カメラを始めた理由は割と単純で、ボーナスでインド行きの航空券を購入したからそのついでに、旅の思い出を切り取りたいな……という理由で中古のカメラ屋さんに入って、店員さんにオススメされたカメラを購入したこと。
あれからこんなにカメラにハマって、好きな色味やフォルムというものができて、次のボーナスで新品のT30を購入して今に至る。
(ちなみに、わたしの一台目LUMIXちゃんはいま、母の手元で生き生きと活躍しています)
あの日わたしと一緒に中古カメラ屋に行った友人は「買っちゃいなよ〜」と言ったものの冷やかし半分だったらしく、どこに行くにもカメラを連れて歩くわたしに会うたびに「そんなにハマるものだったんだ……」とびっくりしている。
けど、「買うように勧めたのはわたしだから」とカメラ旅にいつも付き合ってくれるし、わたしが写真を撮っている間はずっと待っててくれる。
今回の旅ももちろん、まずはカメラが入るバッグを選ぶところからスタートして、朝のヒカリが気持ち良い時間に生田神社へ行き
空が真っ青になるタイミングで兵庫県立美術館へ行き
小腹が空いたらクレープ休憩をして
日没のハーバーランドを眺めてきた。
カメラが相棒になって、ヒカリの入り方や、画角を意識して周りを眺めるようになって(レンズは基本 XF23mmF2 という単焦点レンズ)旅も日常も平熱からちょっぴり微熱くらいのちょうど良い温度感がファインダーに写る気がしていて、その感覚をわたしの周りの大切な人たちと共有できたらもっと嬉しいな……
そんなことを考えながら日没を待っていたら隣からこんな言葉をかけてもらって、カメラが益々好きになってしまった。
「sanmariの撮る写真って、現実よりちょっぴり世界が透きとおって見えるよね。それが、すごく好き。」
感覚というものはなかなか言葉にすることができないけれども、写真はそれを可能にするのかもしれない。
これからも、どんなに小さいバッグが流行ろうと、わたしは彼の入るサイズ感のバッグを探し求め続けようと心に誓った日没の思い出。