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音の世界と音のない世界の狭間で

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聴覚障害のこと。わたしのきこえのことを、つらつらと。
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2023年4月の記事一覧

ホワイトレディ

中途半端な時間にカフェに入ってしまったので、お腹は空いていないけれども、そのまま帰るのはなんだか名残惜しい春の夜。ちょっと冒険してみようと、ホテルのバーラウンジへ。 わたしはカクテルを。もう一人は、ウィスキーを。お供には、チョコレートを。 夜も更けたホテルのバーラウンジは、一人でゆっくりと過ごすお姉様もいれば、カップルもいれば、大人の家族連れも。みんなが、それぞれに思い思いの時間を過ごしている。 聴覚障害のあるわたしは、自分の声のボリュームを調整することが難しい。補聴器

聴覚障害者のわたしが、選挙に行くワケ。

週末はポカポカ陽気だったので、朝から洗濯をして、投票所まで歩いて選挙に行ってきた。わたしの家からは期日前投票の会場の方が近いから、選挙のたびに「昨日までに行ってくればよかった……」と思いながらちょっと遠い公立幼稚園に向かう。 思い返せば、わたしの30年も生きていない人生において、政治に一番興味があったのは高校生のとき。政経の先生が毎週時事問題の小テストをするもんだから、毎日夜のニュースを見てはあれやこれやと考えていた。 大人になってからはテレビも持っていないし新聞もとって

こちら側のドア

今の補聴器にも慣れてきて、最近はアナウンスの音声も聴き取れることが増えてきた。電車の駅、車内、バスの車内……それからエレベーターでも。 「こちら側のドアが開きます」 なんてアナウンスがあって、入ったときと反対側のドアが開いたりする。 止まる階が二つしかないときは、入ってきたときと反対側が開くというのは暗黙の了解なので、今までは聴き取れなくてもそんなに困らなかった。だけれども、聴き取れるようになってから不思議だなぁと思うことがある。 それが「こちら側のドアが開きます」と

電子レンジ

「電子レンジでチンする」は、温めるということ。 オノマトペが動詞化して生活用語になったものたちは、この世界にどれだけあるのだろう。とりあえず、電子レンジはチンと鳴るものだと小さい頃からそう教わってきた。 いざ寮暮らしをしてみたり誰かのお家を訪ねたりするようになると、実は「チン」だけじゃなくて「ピー」だったり「タラリラー」だったりいろんな音があることを少しずつ知った。けれど、たいてい高音域であることが多いので、わたしの耳では聴き取れないことも多い。 じゃあ、お家でどうやっ

電池兄弟

わたしの使っている補聴器は、空気電池を入れて使っている。今は充電式のものも出ているらしいんだけれども、相変わらず電池式のものを使っている。 おなじみの細長いアルカリ電池は、太さによって単三とか単四とか電池の種類が分けられている。それと同じように、補聴器の電池は直径の大きさごとに黄色の10A、茶色の312、オレンジの13、青色の675の4種類。 補聴器の大きさによって、使う電池がかわってくる。経験的に、電池が大きいほうが持ちも良い気がしている。 今日も、外出先で電池が切れ