名古屋聾学校インターンシップレポ
こんにちは!三幸電機です。
1月24日から1月28日にかけて、名古屋聾学校さんのインターンシップを実施しました。
なにからなにまで初めての経験だったので、記録のためにも準備から本番まで簡単にレポートしていきます。
突如決まったインターンシップの受け入れ
2021年10月に名古屋聾学校さんへ訪問、同年11月には進路指導担当の先生に当社の三重工場にご来工いただきました。
先生から三重工場の設備やシステムについてもったいないほどのお褒めのお言葉をいただき、私たちも「名古屋聾学校の生徒さんと三重工場で一緒に働けたらいいなぁ」なんて考えていました。
しかし、三重工場の近くにお住まいの生徒さんがいらっしゃらず、通勤距離の壁が立ちはだかりました……。
そこで、先生からこんな提案が。
「名古屋の本社でも受け入れていただけると大変ありがたいのですがいかがでしょう?通勤距離のこともありますが、事務職を希望する生徒も最近増えてきているのです」
個人差はあるでしょうが、聴覚障害の方々への作業手順の説明などは文章のみではなく絵や図を用いた視覚支援が重要らしいのです。
聴覚障害の方々に向いている作業や働きやすい環境が整っているのは三重工場で、本社での受け入れは正直考えていませんでした。
うーむと考えながら三重工場から帰る車の中でひらめきました。
「“図面管理業務”ならいけるのでは?」
“図面管理業務”とは、お客様や当社が発行した図面を電子化したり、図面情報を専用システムに登録したり、協力会社に図面を配布する業務です。
管理対象の図面そのものが絵や図が中心で、おのずと作業手順も絵や図で説明することになります。図面に記載されている情報もある程度パターン化できているため、他の業務よりもとっつきやすいのではないかと考えました。
筆者が以前担当していて現在も監督している業務の一つのため受け入れやすいということも決断ポイントでした。
その後名古屋聾学校さんから正式にインターンシップ受け入れの依頼をいただき受け入れ準備に取りかかりました。
ちなみに、インターンシップを体験される生徒さんは比較的聴こえがよく、口話でのコミュニケーションが十分可能とのことでした。
インターンシップ受け入れ準備
今回準備したものがこちら。
・生徒さん用PC(実習に必要なシステムやプリンターを使用する)
・実習用システム(実務に影響しないテスト環境が必要)
・タイムカード(実際に働いているような臨場感を出すアイテムその1)
・制服ジャンパー(実際に働いているような臨場感を出すアイテムその2)
・マニュアル類(視覚支援特化型)
上4つは管轄部門にお願いしただけですが、マニュアル類の作成が大変でした。比較的とっつきやすい業務とはいえ専門用語に溢れていますし、「図面とは」といったことから説明しないといけません。
既存のマニュアル類は使わずに、会社説明資料・業務説明資料・作業手順マニュアル・用語一覧表などを一から作成しました。
でもこれらはもっと前から作成しておくべきだったと反省しました。
中途入社の社員でも製造業未経験だと分からないことだらけですし……。
5日間のインターンシップ
1月24日、いよいよインターンシップが始まりました。
名古屋聾学校さんの希望で、実習時間は本社の勤務時間と同じく8時半から17時半です。
1ヶ月ほど前に事前打ち合わせで顔合わせなどは行っていましたが、生徒さんも私たちも緊張を隠せません……。
会社説明や業務説明を行ってから実習に入りましたが、生徒さんの理解度を測りながら進めることがなかなか難しくていきなり生徒さんに少し負荷をかけてしまいました。さっそく反省です。
それからはさらにスローペースに、事前に担任の先生から伺っていた生徒さんの様子をより意識しながら、説明と作業をじっくりと繰り返し行いました。
メインの作業は、図面のPDFと図面に記載されている情報を専用のシステムに登録していくものです。
最初は極度の緊張のなか初めての作業と環境に苦しそうにしていた生徒さんですが、作業を何度も繰り返していくうちに少しずつ理解を深めていってくれているのを実感しました。
通常の新人教育でも当たり前のことですが、一回の説明で相手が理解してくれると思ってはいけないのですよね。自分も最初はそうだったはず。
相手がどこに躓いているのか、どういう表現で説明するとピンと来やすいのか、一つ一つの言葉のチョイスと生徒さんの反応に気を遣いながらコミュニケーションを続けました。
「分からなかったことが分かるようになるのが楽しい」
生徒さんがぽつりとこぼした嬉しい言葉です。
しばらく緊張状態が続いていた生徒さんですが途中から少し心を開いてくれたのか、話題に沿ったエピソードや学校の様子を自ら話してくれたり話題を振ってくれるようになりました。お姉さん嬉しかったな。
最後に……
最終日に生徒さんにインターンシップの感想を聞いたところ「楽しかった」と言ってくれました。うん、それが一番です。
苦手に感じていたパソコンの操作にもかなり興味を持ってくれました。
進路の選択肢が少しでも広がったのなら幸いです。
この5日間は私たちにとっても勉強になりました。
課題もたくさん見つかりました。
今回来てくださった生徒さんは口話でのコミュニケーションが可能でしたが、聴覚障害の方々の聴力は全員バラバラです。柔軟な受け入れ体制の構築が必要だと強く感じました。
今回インターンシップ先に三幸電機を選んでくださった名古屋聾学校の先生方と生徒さん。5日間慣れない環境で慣れない作業を頑張ってくださった生徒さん。本当にありがとうございました。
……一つ心残りなのが、和菓子好きの生徒さん用に買ったバカでかいどら焼きを引き出しに入れたまま渡し忘れたことです……5日間頑張ったご褒美にしたかったのに。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
またお会いしましょう。