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【化学メーカーDXの歴史】Be a Trailblazer 旭化成編
化学メーカーのMI活用やDX推進を盛り上げたいサンカク製作所です。
大手化学メーカーの中でも数少ない研究開発費1000億円越えの企業である「旭化成」。
今回は、「旭化成」のMI活用/DX推進の経緯や現状を公開情報からまとめました。
自社のMI/DX推進や、就職先の参考等にご参考ください。
企業概要
「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」を主要セグメントとする国内最大級の化学メーカーの一角。
売上高(2023年3月期):約2兆7265億円(連結)
研究開発費の売上に対する割合(2023年3月期):3.9%
従業員数:連結46,751人(2022年3月末現在)
【参考】
MI活用/DX推進の推移
概要
他の大手化学メーカーと同様に2016年ごろから活動を本格的に開始している。
AGCと同様に自前でAWSを活用したクラウドのプラットフォームを構築している。
他の企業と異なるのは「デザイン思考」や「アジャイル開発」といった言葉が出てきており、よりモダンな開発を指向しているように見られる。
三菱ケミカルやAGCと同様にレベル別教育プログラムを設定して人材育成に励んでいる。ただしこの教育は自己啓発であり、人事評価には反映されない模様。
AGCと同様に現場メンバーが広くデータサイエンスやデジタルへの理解を向上するような広報を行っている。一方で、三菱ケミカルと同様に日本IBMから人材を招へいしており、トップとボトム両方の強化を行っているようだ。
年別の活動内容
2016年
デジタル導入期
400のデジタルテーマ
IPランドスケープ
デジタル専門人材育成
2018年
ポリエチレンの原料の製造に必要な触媒開発においてMI活用で効果
2020年
デジタル展開期
DX Vision 2030策定
ビジョンムービーを作成
デジタル共創本部
日本IBMの元CTOである久世氏が入社
デジタル人財4万人育成
DXオープンバッジ制度で5段階のレベルを設定し、全員の到達度を2023年にレベル3以上に設定。
jupyerlabなどにより機械学習やpythonを学べる環境「MI-Hub」を構築。
2021年
日本IBMの元CTOである久世氏が専務執行役員 兼 デジタル共創本部長に就任。
Tableau導入
「スマートファクトリー成熟度診断」を各工場で開始
2022年に新素材の組成検討から実験・評価までの一連の材料探索を全自動で行う「スマートラボ」を稼働すると発表。無機材料系からの検討とのこと。
2022年
デジタル創造期
Asahi Kasei Garage
IBM社の「IBM Garage」を適用した「Asahi Kasei Garage」。
Garageを実行推進するチームを立ち上げ。
DXオープンバッジレベル3が15,392人に。
2023年
秘密計算技術を活用してデータを安全に連携できる分析基盤をNECと構築
2024年
デジタルノーマル期
デジタルを活用するのが当たり前になることを目指すとのこと。
旭化成出身者が代表のMI系ベンチャー
参考資料
旭化成グループが歩む「デジタル変革のロードマップ」 | Japan Innovation Review powered by JBpress (ismedia.jp), 2022.2.22
旭化成とNEC、秘密計算技術を活用して企業間のデータを安全に連携できる分析基盤を構築, 旭化成HP, 2023.3.28
旭化成が「MI人材」を600人育成へ、材料開発をAIで加速 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com), 2021.10.07
旭化成がマテリアルズ・インフォマティクス導入、AI活用で材料を高速開発 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
新素材の探索を実験まで全自動化!旭化成が稼働する「スマートラボ」の全貌|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp)
中期経営計画におけるDX戦略, 旭化成HP
旭化成における「デジタル×共創」によるビジネス変革,旭化成HP
旭化成が実践 従業員が自律的に学ぶ「DXオープンバッジ」制度|『日本の人事部 HRテクノロジー』 (jinjibu.jp)
製造IoTプラットフォームを自前で構築、旭化成が目指す「良い工場」とは? | Japan Innovation Review powered by JBpress (ismedia.jp)