滑舌練習なら、令和のいまでも「外郎売り」
こんにちは、nakataeです。
滑舌練習はアマチュアでもプロになってからでもずっと必要なもの。
話すことを生業とする人が必ず通る道、「外郎売り」についてお話ししていきます。
「外郎売り」とは
読み方は「ういろう」です。げろうではありません。
俳優・声優・ナレーターなど、人前で話す表現を目指す方向けに、必ず教材として使われています。
歌舞伎の劇中で、外郎ってこんなに効能があるんですよーと外郎売りが早口言葉を交えて話すせりふ芸なんですが、たとえば
京のなま鱈(だら)奈良なま学鰹(まながつお)
ちょと四五〆目(しごかんめ)
おちゃたちょ茶立ちょ、ちゃっとたちょ、茶立ちょ
青竹茶煎(あおだけちゃせん)でお茶ちゃとたちゃ
など、舌がもつれそうなせりふがどんどん続きます。
だいたいウォーミングアップとして、授業がスタートする前に全員で暗唱というパターンが多いでしょうか。
授業で外郎売りを習いはじめたときに、同級生がういろうのお菓子を持ってきてくれた記憶がありますが、ういろうにはお菓子と薬の2つがあるんですね。
当時はセリフを覚えることに必死でしたが、改めて調べてみるとまた発見があるものです。
外郎売り応用編
外郎売りって全文を覚えていてもリズムが狂うと後のセリフが出てこないときがあるんですよねー。
いろんなシーンや場面を想定して慣らしていきたいものです。
ちなみに私が通っていた養成所では、映画のワンシーンのセリフを全部外郎売りに置き変えて演じる、というものがありました。
(ちなみに、使われたのは『ラブ・アクチュアリー』でした)
これ、本当に上手な方が演じると、話している言葉は外郎売りなのに、イメージとしてその映画のワンシーンとリンクしていくんですよね。
私たちの授業の見学か何かで、卒業された先輩(声優の現場にも出ていた方)がいらっしゃっていたんですが、同じようにシチュエーションテーマを与えられて即興で私たちの前で実演されました。
これは実際に見ないとなかなかすごさを分かってもらうのが難しいですが。。
私たちはただ”日本語”という言語だけで相手の気持ちや背景を理解しているわけではないんだなというのを感じられるワークでした。
「嬉しい」「悲しい」といった感情さえ先にあれば、言葉は日本語でも外郎売りでも英語でもなんでもいい。
という感じです。
アクセントにはじゅうぶん注意を
私は関西出身なのですが、外郎売りを習った専門学校時代は、講師の先生も関西人で…。
そのせいか、今いろいろなところで耳にする外郎売りとはアクセントがけっこう違いました。
元NHKアナウンサーの方が発信しているYouTubeで外郎売りをはじめて聞いたときは、
「え!?アクセントが全然違う!?」
と、驚いて思わず口上がストップしてしまいました。
授業では、
「アクセントが場合によって違うこともあるんやけど、大事なのはその時々に応じて、臨機応変にアクセントやスピードを変えられることですよ」
と言われていました。
はい先生、それはごもっともなんですわ。
現場では、正しくないアクセントでもクライアントさんから求められたアクセントで喋ることができるのがプロです。
でも先生。
これだけ使用頻度の高いものを、最初に間違ったイントネーションで覚えてしまうと、年齢を重ねるほどになおすの大変なんですわ。。
今はプロのアナウンサーやナレーターさんたちが発信するコンテンツも充実していて、真似て覚えれば、正しく綺麗な音で外郎売りを覚えられる環境が揃っています。
これから外郎売りを覚えて習得したいという方は、ぜひ最初のうちから正しいアクセントを身に付けてくださいね…!!(訳:私のようにならないで…!!)
参考:プロが実践する外郎売り
声優:梶裕貴さん
元NHKアナウンサー しまえりこさん
他にも、北原白秋の「五十音(通称:あめんぼの歌)」(あめんぼあかいなあいうえお…)や、「寿限無」(じゅげむじゅげむごこうのすりきれ…)なども、養成所のレッスンでよく使われます。
気になる方はそちらも練習してみてください。
コンデションによっては、息継ぎが苦しくなったり、舌がまだ本調子じゃないかもな、などと自分の調子を把握するのに役立ちますよ。
それでは!
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