まるで僕らはエイリアンズ
『#あなたに聴かせたい歌があるんだ』を観て振り返る17歳と27歳
燃え殻さんブームが一向に終わりを見せないボク。ついに、Huluに加入してスペシャルドラマ『#あなたに聴かせたい歌があるんだ』を視聴してしまいました。
映画、ドラマ、書籍のレビューを書くとネタバレになるので、書かないようにしています。今回も書きません。
ただ、ドラマを観てグッと来たことはお伝えしておきます。テーマ曲がキリンジの『エイリアンズ』だったことも、ボクにとってはたまらなかったのです。
キリンジは学生時代のフットサルサークルのキャプテンが好きだったのですが、当時のボクはもっとメジャーな歌手にばかり目が行き、どこか馬鹿にしていました。そんな当時のボクに張り手を食らわせたいくらいに、今はキリンジが好きです。
さてさて、ドラマは全8話で構成されています。各回の主人公が17歳の時、ある日の英語の授業中に英語教師が流した、キリンジの『エイリアンズ』を起点に10年後の27歳を描くストーリー。
どの回も好きだけれど、敢えて挙げるならば3話です。小説家を目指す主人公・片桐晃(#藤原季節)に自分を重ねたところがあったからです。
※ここからネタバレを含みます。ご注意ください。
悶々としまくっていた17歳
ボクの17歳を振り返ると、とてつもない劣等感が蘇ります。高校2年生……生徒会に入らされ、そこは今で言う”意識高い系”の人々ばかりでした。
みんな信じられないほど仲が良かったけど、ボクは日々、劣等感を抱いていました。夢を語る人が多かったからです。
特に、女性陣は夢製造機でした。毎日のように夢を語り、夢に向かい邁進。
他人に引きずられがちなボクは、その夢を聞いては悶々として焦ってばかりいました。将来、成りたいものはコロコロ変わっていました。
国連職員、理学療法士、作家などなど。誰かが口にしたことが良いと思えば、それを進路指導の紙に書いていました。
まったく主体性はなく、ただ偏差値が高い学校を経由してなれるもの、資格試験が難しいものばかりに食い付いていました。そんな軸のないボクに、先を見据えていた女性陣はダメ出しの嵐。放課後が訪れるたびに心は粉々に。
今にして思えば、他人から進路も将来も口出される筋合いはなかったけど、当時のボクは夢に向けて歩んでいる人があまりにも眩しくて何も言えませんでした。何も見つからない。だから、良いと言われる大学へ、とりあえず進む。そんな17歳でした。
憂鬱で、音楽と読書が救いで……今とそれほど変わらないと言えばそうなのですが、どうやって未来へ向けて進めばいいのか分からない思いが募っていました。悶々とした日々の中で彼女もいましたが、その彼女が”意識高い系”のトップランナーだったので、付き合っていても楽しくなかったなあ。
とびきりの美人だったけど、一緒にいるのが苦痛だった。ボクも夢を持っているか、もしくはもっと青春を謳歌していれば楽だったのだけど、そんな性格ではないので、ただただ苦しかった、悶々としていた。
だから、ドラマのように27歳を教師に語られても、なにも描けなかっただろうなあ。それはドラマの主人公たちも同じなのだけれど。
夢にがむしゃらだった27歳
鬱屈した17歳の、青春という時期を過ごしたボクは27歳になり、10年前がウソのように溌溂と夢に邁進していました。
ツテも、根拠もなかったけど、有り余るほどの自信だけはあった。それをガソリンに、スポーツライターになるためにがむしゃらでした。
何から何まで分からない。だから、止まることなく走り続けた。その先には、信じられないことが待っていた。
そう夢が叶ったのです。夢もなく、他人に左右されてばかりいたボクは、諦めることをしなかったおかげで、スポーツライターにたどり着いたのです。
当時、夢を叶えるためには……と問われると、諦めないこと、諦めが悪いこと、と答えていました。何度も挫折しそうになったし、夢を途絶えさせようとする妨害にもあいました。でも、続けました。
他にやることがなかったと言えばそれまでですが、書くこと、サッカーに携わることが好きで好きで、その気持ちは誰も邪魔できず、またボク自身も抑えきれなかったことで夢に届いたのです。
届いても届かなくても……
ドラマ『#あなたに聴かせたい歌があるんだ』の主人公たちは、夢に破れます。これをどう解釈するか。ボクは夢を見たこと、それに向けて行動したことに価値があると思っています。ボクが夢叶えたからそう思うわけではありません。
有名な女性歌手が「夢なんてみるもんじゃない。叶えるものだから」と歌っていたボクらの時代、たしかにそうなんだけども、その歌に励まされていた人もいれば、息苦しさを感じた人もいたんじゃないのかなって。
夢なんて見るもんじゃないのはそうかもしれないけど、語ってもいいし、叶わなくっても良くて。叶えるためにどうするか考えて、もがいて、あがくことが大切だと思うんです。
行動しなければ成功も失敗もないわけで。失敗ってないと思うんですよね。失敗も人生の栄養だと捉えれば、それは何かの糧になるはずだと信じています。
ROLANDの「俺か、俺以外か」ではないですが、「やるか・やらないか」だと思います。ボクもまだまだチャレンジしています。挫けそうになることもあるし、実際に気分が落ちたり、不安に飲み込まれそうになることもあります。
それでも進むしかないので、えいやっと歩いています。歩き続けることは、生き続けること。そう捉えて、これからものらりくらりと歩いていきます。
おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!