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#blackbox を読んで

恐ろしい。とにかく、読んでいて恐ろしかった。

解説で竹田砂鉄氏が触れていた、どっちもどっちという思いを抱いてしまった自分自身が。

こういった空気が社会に蔓延しないように、性被害者である伊藤詩織さんは本書を綴ったにもかかわらず、加害者の山口氏が作り上げたストーリーに幾分か真実が含まれているように感じてしまい、その思いが膨らんだり萎んだり…。

伊藤詩織さんだけが例外ではなく、同じような被害にあった方々は、私が抱いたような思いが生む心無い言葉、それも顔が見えない人の刃に苦しんだはずだ。現在進行形で苦しんでもいるだろう。

私も、その1人である。私の場合は、理不尽なパワハラを受けた。暴力である。

伊藤詩織さんが被害を受けた時と同様に、その瞬間、頭が真っ白になり、また不思議と怒りが湧くことはなく、とにかく整理できない思いや感情に包まれた。

伊藤詩織さんも記しているように、なぜ?どうして私が…その答えはわからない。それらしき事は考えられるが、明確にそれと言い切れないし、私は被害者なので加害者の思いなど知る由もないし、知りたくもない。

私が受けたことを話す機会がある。怒り、悲しむ人がいる一方で、私に落ち度があったのでは?と訝しむ人も、冒頭で触れたようにどっちもどっちと捉える人もいた。

そう対応されると、私にも非があるのでは?私が悪かったかも…と自己否定に陥った。

しかし、違うのだ。たとえ何かあったにしても、暴力に訴える、しかも組織において上の立場の人間がそうした手段に出れば、下の人間は抵抗できない。

立場を利用した悪質さは、本書と酷似している。男性間でも、そうしたことは起きている。これは個人的な感覚でしかないが、男性が受けた被害は女性よりも顕在化されていないように思う。

強くあらねば…男性だから…男の子は泣かない…そんな教育が少なからず影響しているように思う。

私が悔やんでいるのは、直属の上司に訴えたにも関わらず、自分から問題を大きくしないようにしてしまったことだ。

同じような被害に遭う人が出てこないように会社として対応して欲しい。そう伝えるに留めてしまった。私が組織を去っても体質は変わっていないそうだ。

声を上げれば、その声をかき消そうとする声が生じる。それを払い除けるのが被害者ではなく、私たちである社会になることを願う。

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