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【イベントレポ】ストグラ・ロールプレイ・ライブ #3(2024年11月開催)


※本文にネタバレがありますのでご注意ください
※2024年11月時点の内容をもとに執筆しています

2024年11月16日にぴあアリーナMMにて開催されたストグラ「ロールプレイ・ライブ」をストグラの1ファンである私が観劇した極めて主観的な感想をまとめたものである。なお、ここでは、「ストグラ」自体の説明は割愛する。

ぴあアリーナMM

今回の会場は、横浜のみなとみらい地区にあるぴあアリーナMM。2020年に完成した新しい施設だ。その名前から、ぴあがネーミングライツで欄無理スポンサーになっているかと思いきや、ぴあ株式会社が自身が、土地を三菱地所から定期借地として借り受け、運営している施設とのこと。施設内のどこか仮設のようなつくりからも、恒久的な施設でないことが伝わってくる。

2024年1月に行われた1回目の会場は約1500人、5月の2回目は約5000人。そして、今回のアリーナの収容人数は、約10000人。すべて今年行われた公演で、この短期間にこれだけ会場が拡大したのは、それだけストグラが注目され、人気の高いコンテンツであることを表している。

今回、私が指定された席に着いた16:20頃。会場周辺には、人が集まり、入場に時間を要するように見えたが、大量の入場者にも関わらず、10分程度で中に入ることができた。

なお、今回の席はR側の2階席。チケトレで直前にのんびり入手した割には、ステージが見やすく、とてもいい席だった。適度に高さもあり、アリーナ席よりも観覧しやすかったように感じた。

なお、公演開始直前の時点でざっと眺めた感じでは、空席はほぼないように見えた。また、男女比率は3:7くらいで女性が多いように感じた。

会場入り口付近の様子

会場がこれまでよりも収容人数が多い分、当然ながらステージも広くなっていた。また、ディスプレイがメインとサイド2面の合計3面の巨大ディスプレイが設置されており、サイドの2面では、演者のクローズアップが映されており、広い会場に合わせて見やすさが工夫されていた。

Zepp Shinjuku(1回目会場)

Zepp Shinjuku

東京国際フォーラム(2回目会場)

東京国際フォーラム

ぴあアリーナMM(今回の会場)

ぴあアリーナMM(今回)
2階席から見たステージ
2階席から見たアリーナ席(今回)
2階席からアリーナ後方(今回)

2階ロビーには、キャラクターのパネルも数多く展示されており、長蛇の列ができていた。混雑がひとかったので、見ることはできなかったが、観測者によるフラスタも展示されていたようだ。グッズ販売にも長蛇の列ができていたとのこと。

キャラクターパネル

3回目のロールプレイ・ライブ(RPL)

正直に言えば、これまでに1回目、2回目も鑑賞して、あの熱狂的な雰囲気と興奮はおおよそ想像がついたので、3度目はいいかな、と考えていた。それでも足を運んでみようと思ったのは、いくつか理由がある。

  • 初出演の演者の演技を見てみたかった

  • 中村悠一さんのナレーションを聴いてみたかった

  • 1万人の会場を体験してみたかった

  • 何かサプライズがあるような予感がした(やはりあった!)

今回の参加者は以下のとおり。参加者も増え、初参加の演者も増えた。参加者が増えることで自ずと、物語にも厚みが増し、自ずと場面の転換がこれまでよりも多かったように感じた。

赤ちゃんキャップ(ましゃかり)
安倍霊明(アベレージ) 【初参加】
アルフォートウェスカー・後藤れむ(ごっちゃんマイキー) 
いわさきそす(Sosu) 【初参加】
ヴァンダーマー(番田長助) 
鬼野ねね(寧々丸) 【初参加】
キャプテンわきを(わきを) 
キングスターダイヤモンドズズ(ズズ) 
こはならみ(こはならむ) 【初参加】
椎名圧(ねろちゃん) 【初参加】
ジャック馬ウアー(馬人) 
鳥野ぎん(こるぺん)
バーバリアン田中(たけお)
二十日ネル・宿無おきる(二十日ネル)
花沢まるん(marunnn)
マクドナルド(ライト)
三階堂キミトス(キミトス) 【初参加】
ミンドリー(Middleee) 【初参加】
雷堂ましろ(空衣御侍)
山下ひろし(しょぼすけ) 【初参加】

順不同、敬称略


今回のストーリーは、ギャングのアンブレラがDEPに依頼した「甘いモノが食べたくなるウィルス」を巡る内容。ストグラの街と同じように、ギャング(anbrella、MOZU、GBC)、警察、救急隊によるドタバタ劇。

劇の合間には、中村悠一さんのナレーションが入り、合唱やコントが披露される。劇はステージだけでなく、アリーナ前半部エリアの周囲の通路も使って行われた。場面によっては観測者の席の近くまで演者がやってくるファンにはうれしいシーンもあった。また、ゲーム中に登場するスマホをうまく利用したサプライズもあり、終始盛り上がっていた。

楽曲は、いずれもオリジナル曲で、これはおそらくサプライズで発表された配信での放映を考慮したものだと推測している。なお、これまでの公演では、カバー曲による合唱が大半だった。ファンにとっては、どちらでもよいのかもしれない。ただ、どうせなら今回のようにあの街で生まれた楽曲を披露した方が、あの街の再現度も高くなり、よいと思う。

主催のライトさんが、当日の様子をXで連投していており、またYouTubeにて公演後のアフタートークも配信しているので、そちらで雰囲気が伝わると思う。

サプライズ

今回のいわゆる「サプライズ」は以下の通り。時前予告のなかったものは、その瞬間、歓声が上がり盛り上がったのは、言うまでもない。

  • ナレーションは声優の中村悠一さん ※事前予告あり

  • 無馬かな(叶)の通話の音声で出演(録音)

  • ももみ(小花衣ももみ)の通話の音声で出演(ライブ?)

  • つぼ浦匠(ぐちつぼ)の通話の音声で出演(録音)

  • 今回の公演は、HuluにてPPV配信される

Hulu

過去2回のRPLでは、いずれも配信はなかった。これは、生のライブの一回性を重視し、敢えて配信はしないポリシーがあるように考えていたので、Huluによる配信があることに文字通り驚いた。

Huluは2011年にサービスインした定額制動画配信サービスである。2024年現在現在、Hulu(米国)のウォルト・ディズニー・カンパニーにより運営されている。一方、Hulu(日本)はHJホールディングス合同会社によって運営されており、株主には日本テレビをはじめとする企業が並んでいる。

PPV配信ができるプラットフォームはいくつも存在するが、そのなかでHuluが選択されたのはなぜか。サービス内容なのもかしれないし、費用面かもしれない、今後の展開を踏まえたものなのかもしれない。そういった経緯を考察してみるのも面白い。

HJホールディングス合同会社主要株主

ファンとしての願望

今後のRPLがどのように展開されるかはわからない。もし、今後も開催されるようであれば、一ファンとしてこんなことを望みたい。

開演前の演出

配信者たちがストグラの街にログインする時、ローディング画面が表示され、そこには、ファンアートがスライドショーのように流れる。観測者の誰もが知っているであろうこの「演出」を会場の大画面に映すのはどうだろう。来場しているファンアートの作者にも喜んでもらえるし、舞台で再現される「街」への導入の演出としてこれほどうってつけのものはないと思う。あたかも自宅で配信を見ているように、大きな会場で他の観測者とそれを眺め、一緒に街に入る。

ストーリー

舞台となっているGTAVの世界が、ギャングと警察を中心として構成されているため、やむを得ないところはあるが、今回も含め毎回、ドラッグやウィルスを契機とした物語なので、それ以外の物語にも期待したいところ。

ただ、どの回にも、初めてRPLを観劇する観測者は存在していることを考えると、これが街のドラバタ劇の「テンプレート」になるのもよいかもしれない。あたかも映画「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」のように。

GTAVとの接続

おそらく、RPLという興行において、GTVというゲームタイトルを使うことは権利の都合で難しいのだと思う(あくまで想像)。これまでのRPLではGTVにまつわる意匠は全く登場しない。

ストグラはGTAVの日本国内での販売にも多少なりとも貢献していると思われるので、ストグラやRPLは、いっそのこと販売元のロックスター・ゲームス公認となり、舞台の大画面でゲーム画面も登場させ、ゲームコンテンツと舞台のハイブリッドで演出できると面白いかもしれない。ゲーム画面も活用して、キャラクターで「出演」する。今回のサプライズ出演したキャラクターが電話でなく、ゲームシーンとともにキャラクターが登場して演じる。万が一、テクニカルなトラブルが発生しても問題はない。それは「歪み」として許容される。

いくつか述べたが、おそらく主催者が大事にしているのは、生身の人間がストグラという世界を演ずること。それを普段、モニターで観測している観測者にみてもらい、一緒に楽しむこと。そして、参加している各プレイヤーの良さを再発見できる場を提供すること。観測者とのつながりを強化すること。プレイー(配信者)に配信以外の新しい機会を提供すること、そういったところなのだと想像している。

今後のRPLとストグラ

この1年という短い期間で、興行の規模がここまで大きくなったのは、ストグラの人気もさることなら、2023年7月に火がついてから、その上昇気流を逃さなかったライト氏の判断とそれを実行する手腕によるところが大きいと思う。ただ、短期間にここまで大規模化したRPLを、今後単にアップスケールするだけなのか、全く新しい試みがされるのか、どう展開していくのかとても興味があるし、楽しみである。

今後のストグラ界隈では、どんなことが起こるだろう。今回のRPLも界隈から発生した一つの試みである。

「ストグラ」自体は知的財産(IP)化されていないと思われるが、ストグラをひとつのキャラクターIPとして考えた場合、いろいろな活用方法がある。すでにいくつか実施されているものもあるが、ストグラが注目されている今、今後も色々な試みがされることだろう。

参考)キャラクターIPの活用例

街に必要なもの

以下のグラフは、TwitchでGTAVを扱った配信チャンネルのチャンネル数、視聴者数の統計情報である。2023年7月以降のグラフが急激に伸びているのは、ストグラとVCRGTAが注目されたことによるものだ。

このグラフは必ずしもストグラだけを表すものではないが、ストグラと相関関係があると仮定してみると、右肩上がり傾向もやや鈍化し、落ち着いてきているようにも見える。

TwitchにおけるGTAVのチャンネル数の推移(言語は日本のみ。ストグラ以外も含む)
TwitchにおけるGTAVの視聴者数の推移(言語は日本のみ、ストグラ以外も含む)

昨今、配信界隈では、決まったトップ配信者らがかつての地上波でのお笑い番組を模倣したような陳腐なコンテンツが増え、テレビ番組化しているように見える。

それに比べると「ストグラ」はとても興味深いコンテンツであり、「現象」であると思う。例えば、最近観測した範囲では、歌手デビューを夢の世界(現実)ではなく、このロスサントスで行うことを画策しているプレイヤーもいるようだ。

ストグラという物語には、明確な主人公はいない。参加者ひとりひとりが主人公である。多くの登場人物がいるという点で、ストグラは水滸伝や三国志にも通ずる物語であるようにも感じる。

ストグラには、参加条件はあるものの、街への出入りは基本的に自由。新しく参加したプレイヤーも街に入った時点で、主人公として街で過ごすことになる。この街の物語が長く継続するための必須条件は、新規プレイヤーの流入が継続的にあり、彼らがこの街を新鮮で面白いと感じるその感覚である。一方で長く街にいる参加者は、時間の経過とともに新鮮さを感じなくなり減少してゆく。それによって、街に新陳代謝が起きる。それがある限り、この街は生き続けることができると思う。

先日(2024年11月)行われたアメリカ大統領選挙。民主党の敗北が確定した後に、アメリカ合衆国第44代大統領のバラク・オバマのポストがストグラの街づくりにも通ずるところがあるように感じたので、引用したい。

(略)
私たちのように広く多様な国では、全ての点で同意することはありません。しかし、進歩のためには、たとえ深く意見が異なる人々に対しても、善意と寛容さをもって臨むことが求められます。私たちはこれまでその姿勢で歩んできましたし、これからもそれが、公平で正義に満ち、より平等で自由な国を築く方法なのです。

バラク・オバマのポストより




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