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『異世界サムライ』レビュー
どうもおはこんばんにちは、三時のおやつです。最近は、涼しくなってきたなと思った次の日には唐突な猛暑で、日々頭を悩ませているところです。まあ、頭を悩ませるといっても外に出るのが嫌すぎて、常にお家という名のエデンに引きこもってアニメを垂れ流しながら漫画とゲームをむさぼりたいなというくそどうでもいいことしか考えていないのですが…
さて、前置きはここまでにしておいて、今回ご紹介させていただくのは『異世界サムライ』(MFC(KADOKAWA)/著 齋藤勁吾)でございます。この異世界サムライといえば、漫画好きの皆さんであれはお気づきでしょうが、改めまして『次に来るマンガ大賞2024』におけるWebマンガ部門で14位にランクインし、Global特別賞を受賞した漫画です。かくいう私も、次に来るマンガ大賞でこの作品を知り、読ませていただいた次第です。今年の次に来るマンガ大賞では、ほかには前から注目していた作品としては、やはりコミックス部門で1位を受賞した『カグラバチ』(JUNP COMICS(集英社)/著 外薗健)は連載開始時から読ませていただいており、たいっっ…へん素晴らしい作品となっておりますので、今後レビューさせていただこうと考えています。また、Webマンガ部門で2位を獲得した、週刊少年ジャンプからジャンププラスへ移行した『ルリドラゴン』(JUNP COMICS+(集英社)/著 眞藤 雅興)も、1巻発売後からの長期の休載期間を経て、今年連載を再開し、期待の作品となっています。
というわけで、さっそく『異世界サムライ』についてレビューしていきましょう。異世界サムライのあらすじは、主人公である月鍔ギンコちゃんは剣の天才で、侍という生き様にあこがれていました。その生きざまとは「戦いの中で生き、戦いの中で死ぬこと」でした。そうして、父親を師とし、ついに卒業の証として師である父親を殺します。その後、関ケ原での合戦に参戦し、初めての合戦を経験します。しかし、剣の天才であるギンコちゃんは刀一つで敵を切り伏せていくのですが、ついに火縄銃使いと相対します。そこでギンコちゃんの意識は途絶え、目を覚ますとそこに広がっていたのは敵味方ともに誰一人として生きてはいない、まさに地獄のような光景でした。「戦いの中で生き、戦いの中で死ぬ」ことを望んでいたギンコちゃんにとっては、足元に転がる武士たちは、まさにギンコちゃんの望む最高の死を遂げた姿でした。そのうちの一体になることができなかったギンコちゃんは絶望し、死ぬべき場所で死ぬことができなかった己の身を呪い、「死に場所」を失ったギンコちゃんは、侍としての最高の死に場所を求め、腕に自信のある侍と死合いをひたすら繰り返していました。しかし、ギンコちゃんを殺すことができる侍はついぞ現れず、とうとうギンコちゃんは『転生寺』で宗教に頼ることにしました。しかし、大仏の前で祈っていると、「いいよ」と聞こえ、気づけばそこにはオークが無残に人を蹂躙する光景が広がっており、さらにはドラゴンまでいるではありませんか。その光景に目を輝かせるギンコちゃんが異世界でサムライとして無双する…といったお話となっております。この漫画のストーリーから見たポイントは、ギンコちゃんの侍としての矜持がかなり偏執的といえばいいのでしょうか、敵を殺すという面においてグロい部分もありながら、この漫画の異世界はそこまでグロくないなか、ギンコちゃんのこの侍としての矜持と異世界の世界観との対比がいい塩梅にかみ合っており、このたとえをするのは自分でもどうかと思うのですが、甘いものとしょっぱいものを交互に食べているような感覚になり、とてもわくわくしながら読み進めることができます。また、作画の観点から見ると、影などの描写にあまりトーンを使用せずに、基本的には白か黒、影のつなぎは基本手書きの線画でグラデーションをつけているのがまるで筆で書いているような荒々しさを感じさせ、和を感じさせるような、独特な作画になっているなと感じました(個人的にめっちゃ好きです)。この作画が異世界をよりポップな感じに引き立て、反対にギンコちゃんをより侍らしく引き立てるのがとても不思議で、戦闘シーンではそのマッチ感がより顕著に表れており、作画・ストーリーともに世界観にとてもマッチして、読んでいて楽しいです。今現在4巻まで発売されており、今この漫画を知ったよという方でもとても手を出しやすいタイミングだと思うので、ファンタジーアクションものを好む方には読んでいて損はない作品になっていると思いますので、ぜひ手に取って読んでみてください。
ここからは客観的な感想になります。『異世界サムライ』を読んでみて、思っていたよりちょっとグロいなと感じました。ギンコちゃんが人を殺すシーンや、侍として自然に人を殺すということが「日常」に組み込まれているギンコちゃんの思想が、異世界という舞台で「魔物」という絶対悪と戦う「人対人」という概念が存在しない世界の中で、ギンコちゃんの異質さが限りなく引き立てられ、よりグロさが引き立つので、少し苦手な方もいらっしゃるかな~、と思ったりしました。また、主人公が女の子であるはずなのに、女の子にあるまじき怪力や戦い方が若干の違和感を生んでいます。まあでも最近の異世界物にはあるあるなので私は好きですが、あんまり好きじゃないかも、、、という方もいらっしゃるかもしれません。また、作画もかなり独特なので作画に関しては好みがかなり分かれることが予想されます。しかし、表紙を見て「あっ、私これ好きかも」という方は是非お手に取って読んでみてください。多分はまります。はまらなかったらごめんなさい。このぐらいにはお勧めできる作品になっておりますので、このレビューをきっかけに一人でも多くの方に読んでいただけたら本望であります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。