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【エッセイ】日常会話がショートな夫婦
夫は口数が少ない。本当に少ない。
昭和の、和服を着ながら腕組みをして口をへの字口にして「茶」というおじさんを想像してもらえばいい。そんな感じの夫である。
ある日の会話がこうだ。
夫「今日、サッカー」
私「Jリーグ?」
夫「新潟」
私「ホーム?アウェイ?」
夫「19時から」
私「DAZN?」
夫「見れない」
![](https://assets.st-note.com/img/1728636978-8MfmQZGbyJojizV4s7kWpYBE.png)
全くもって会話のキャッチボールができていないと感じるかもしれない。そうだろう。単語しかしゃべってない。ここに15年以上寄り添った夫婦の脳内の言葉を加えて再生してみよう。
夫「今日、サッカー(の試合あるよ)」
私「Jリーグ?」
夫「(いや。対戦相手はアルビレックス)新潟(だね)」
私「ホーム?アウェイ?」
夫「(チケット取ってないんだからアウェイに決まってるでしょ。ちなみに試合開始は)19時から(だよ)」
私「DAZN(で見れる)?」
夫「見れない。(ルヴァンカップだからね。それにしても今日も子どもたちはかわいいし君はきれいだ。ボクは幸せだよ。いつも家のことありがとう。君と結婚できて幸せだよ。オーハニー)」
言葉にしないと伝わらないこともあるんだよ、とか言いたくもなるかもしれない。
夫はたぶん、100考えているうちの1~2しか口にしていない。ん?どこかでこんなこと書いたな。言いたいことが100あるのに、極限まで削って削って既定の文字数に落とし込む。大事なところだけ。あとは想像する。言葉から得られる情報を膨らませて、自分で広げて肉付けして、それを返す。
さらに夫は人の長い話を聞くのも好きじゃない。
人の話を長く聞くのが好きじゃない人に話を聞いてもらうにはどうしたらいいか。それは一言目にかかっている。
続きが聞きたくなるような一言目を用意して、こちらに耳を傾ける姿勢を作ってから大事な話をする。そうじゃなきゃ聞いてもらえないから。私は夫相手にはいつもこうしている。
「あなたの一票で決まる。親子丼か、オムライスか。」
と夕飯のメニューを聞いたりする。
「小学校と、保育園、どっち行く?」
と聞いたりする。「何が?」と質問が返ってきてから遠足と参観日の日程がかぶっていることを伝えたりもする。
もしも私が
「ねーちょっと聞いて―。来週の火曜日に保育園の遠足とー小学校の参観日が同じ日にあるんだけどー日程かぶってるんだよね。どっちか行ける?もし行けなければ私がどっちか行って、どっちかは休むしかないんだけどどうしたらいいかな~?」と言ったらきっとねー聞いてーの先は聞いてない。
めんどくさい夫婦かもしれない。変な夫婦って言われるかもしれないけれど。
だけど私は15年この生活をしていて「一言目にいかにこちらを振り向かせるか」を訓練してきたともいえる。訓練の成果が出ているとは言えないけれど、これは「書くこと」にもつながるんじゃないか?なんてことを最近思うようになった。
振り向かせる一言と、出来るだけ削った言葉。私たち夫婦の会話はショートショートなのかもしれない。
![](https://assets.st-note.com/img/1728680040-lNY6kfSbzcAe72Br8HROFs4K.png)
ちなみに、これと全く逆のこともまた、創作の魅力である。
たった2文字で伝わる事を、
— あいみょん 🦭 (@aimyonGtter) November 9, 2020
わざわざ500文字にする事が作詞の楽しいところなのかもしれないです。
▼夫の話はこちらも
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