遺族サポート「ひだまりの会」 20周年イベントレポート
こんにちは、燦ホールディングスnote編集部の祖父江です。
3月17日、燦ホールディングスグループ(公益社・タルイ)の遺族サポート「ひだまりの会」の20周年記念イベントが、大阪市内で行われました。
遺族サポート「ひだまりの会」について
本題に入る前に「ひだまりの会」の概要について、以下なるべく簡潔に説明をさせていただきます。
「ひだまりの会」過去最大級のリアルイベントを開催
「ひだまりの会」の月例会には、2003年の発足から現在まで累計1,100名以上の方々にご参加いただきました。コロナ禍の時期においてはオンラインによる開催形式へと切り替えながら、現在では対面とオンラインを併用し、公益社の大阪本社と東京本社で二元開催を行なっています。
今回は設立20周年の記念イベントということで、過去に「ひだまりの会」へのご参加を経験され、現在元気に過ごされている方々など、より多くの方々にお越しいただけるような企画を実施。おかげさまで本イベントは、申し込みの開始からわずか5日間で定員の100名を超え、最終的には142名の方にお申込みをいただきました。
記念講演「よりよく生きるために」
今回のイベントの記念講演では、佛心宗大叢山福厳寺 第31代住職である、大愚 元勝(たいぐ げんしょう)様に、ご講話をいただきました。
(※以下、記事内では"大愚和尚"と呼ばせていただきます)
大愚和尚は、僧侶、事業家、セラピスト、空手家と4つの顔を持ち、運営するYouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」は、現在64万人以上の登録者を獲得していらっしゃる、仏教界のインフルエンサーのひとりでもあります。
今回私は、お坊さんのお話ということで「説法=仏教の教えを説く」という先入観を持って話を聞き始めたのですが、アメリカインディアンに伝わる諺(ことわざ)の話から始まり、ご自身の生い立ちや、17歳で実家の寺から家出をした過去、会社経営を経て僧侶として再び歩み出すこととなった経緯、新しい宗派を興したり、YouTubeを始められた理由…などなど、多岐にわたるエピソードを交えた軽妙な語り口は、良い意味で予想を裏切られた内容でした。
日本仏教では「故人が亡くなってから50年経つと仏国土に行くことができる」と考えられており、亡くなった直後に唱える枕経から始まり、通夜、葬式、初七日、四十九日、一周忌、三回忌…と五十回忌まで、供養の儀式は続きます。
これら一連の儀式には「遺された方が悲しみを乗り越え、如何に生きていくか? どのように時間をかけて癒していくか?」というグリーフケアの本質が詰まっているとも言えますが、一部の檀家さんからは「こんなにたくさんお布施を貰う機会があって、坊主丸儲けでええなぁ…」と、心無い言葉を言われるようなことも。そのような経験もあり、
「仏教は、現代の世の中に求められているのだろうか?」
「時代に即して、仏教もアップデートを続けなくてはならないのでは?」
このような問いかけに対して答えを出すべく、時代に即したさまざまな活動に挑戦し続けている大愚和尚。先に紹介したYouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」もその一つ。
「見ず知らずの人にだからこそ、話せたり、相談できたりすることもある」という信念のもとに門戸を開かれているという点については、僭越ではありますが、私ども「ひだまりの会」との共通点があるのかもしれません。
講話の締めくくりに「“わたしは生きた、精一杯生きた!”と、あの世で先に待っている人へ挨拶ができるよう、本日ここに来られた方々には生きていただきたい」と仰られていた言葉が、私の心にも深く残りました。
会員様のスピーチより
次に会員を代表して、赤尾ひとみさんより「ひだまりの会」の体験談をお話しいただきました。
5年前に夫をがんで亡くされた赤尾さん。悲嘆に暮れ、食事がのどを通らないほどに憔悴するご遺族の方々も多い中、私は逆に「よく食べ、よく眠れ、活発になった」とのことで、もしかしたら自身の心や体はおかしいのではないか?と疑問に感じ「ひだまりの会」の扉を叩いたとのこと。
月例会の中で、専門家の先生に相談した際に「過食や過活動は、グリーフ(悲嘆)の典型的な症状のひとつです」と言われたことや「3年間、ただ生き続けることをまずは目標にしてください」と先生に言われた言葉が、当時の自分に対して「"生きつづけるハードル"を下げていただいた感じがして、心が非常に楽になった」と、そのときの気持ちを振り返っておられました。
また「安心して自分の気持ちを吐き出せる環境が整っていること」も、参加が続けられた一因だと語っており「もしも、この会に参加していなかったら、まだ悲嘆のさなかにいたかもしれません」とも仰っていただけました。
ご遺族に”寄り添う”葬儀社として
赤尾さんのスピーチが終わり、設立以来「ひだまりの会」の運営に携わってくださったグリーフケア研究の諸先生方による挨拶や、音楽鑑賞や唱歌を楽しんだのち、式の締めくくりとして「ひだまりの会」事務局長の宇屋より挨拶を行いました。
コロナ禍によって、一時は月例会の存続も危ぶまれた時期がありながらも、オンライン開催といった新たな挑戦も行いつつ続けてきた「ひだまりの会」。民間の企業が運営することもあり、最初の頃は「参加したら、仏壇かなにかを売り付けられるのではないか?」と警戒され、思うように参加者が集まらなかった苦い経験もありました。
それでも、ここまで活動を継続することができた理由は「ご遺族が私たちに正直なお気持ちやストレートな思いを打ち明けてくださったから」だと言います。
特に「安心して話して、泣ける場を提供すること」「故人様の尊厳を守ること」については、設立当初から頑なに守り続けており、月例会の後にはスタッフ間で毎回必ず反省会を実施。アンケートにもくまなく目を通し、必要に応じて電話でフォローを行うなど、一人ひとりに寄り添った対応を行うよう心掛けているとのこと。
さらには、グリーフケアの専門家・研究者や臨床心理士、精神科医、緩和医療の先生など、さまざまな学識者と連携を取りながら試行錯誤を重ね、学術的な還元も視野に入れた活動を行っていることについても言及しておりました。
「私たちは皆様の悲しみを癒すことはできないのかもしれませんが、悲しみとどう付き合うか?ということについて、共に考え、取り組みつづけてまいります」
…という締めくくりの言葉が、いっそう力強く感じられる内容でした。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
この記事をお読みいただき、私どもの遺族サポートの活動について、少しでもご興味&ご理解をいただけたのであれば、嬉しく思います。
「ひだまりの会」月例会へのご参加は、燦ホールディングスグループ各社(公益社、タルイ)でご葬儀を行われたご遺族の方々をはじめ、それ以外の方のご参加も可能です。
大切な方を亡くされた悲しみから抜け出すため、何かきっかけが欲しいと思っていらっしゃる方は、一度扉を叩いてみてください。