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【お別れする時間の大切さに気づきました】新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の葬儀 vol.2

こんにちは。燦さんホールディングス公式noteです。
前回の投稿で公益社にて行っている新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の葬儀についてお話しましたが、実際のお通夜と告別式の様子、スタッフの感想、ご遺族の方のコメントを紹介させていただきます。

葬儀ができるんですか??

このご遺族はご親族が新型コロナウイルス感染症で亡くなったので半分あきらめモードでお電話をいただきました。
実はちょうど前日よりエンバーミングを行って顔を見てお別れをすることができる、とお話すると大変に喜ばれていました。
ご高齢ではありましたが、突然のお別れだったので、ご親族や会社関係の方々など非常に多くの方がお通夜にも葬儀にもお見えになりました。

椅子は満席になりました

多くの方が何度もお棺の故人のお顔を見られて

ご遺族は故人が新型コロナウイルス感染症で亡くなられたことも、今回エンバーミングを行ったことにより葬儀をされることも訃報の時点で伝えておられました。
もしかするとその情報でお見えにならない方などがいらっしゃるかも、と思ったのは杞憂で、前述したようにお通夜も葬儀も本当に多くの方がお見えになりました。それだけ生前は人望ある故人でおられたのかと思いますが、
お棺の小窓から拝顔ができるんですよ、と喪主の方がおっしゃられると
多くの方が故人のお顔を見られてお別れの言葉を伝えていました。

通常では当たり前のお通夜の風景なのですが、エンバーミングを実施しなければお通夜もできず、火葬をすることになっていたと思うと故人もですが
この多くの方がお別れができてよかった、と思いました。

最後のお別れではお花入れも

これはエンバーミング後に実施する顔と手の新型コロナウイルスの検査結果次第ではありますが、その結果が陰性であれば最後の出棺前に棺のふたをあけてお別れとお花入れをしていただけます。

この故人はお花入れもしていただけました。本当に棺からあふれてしまうのではないかしらというお花の量に故人をしのぶ人の多さだな、と感じました。お子さんもお孫さんも最後にあいさつをしてお別れをされていました。

きちんとお別れができてよかった

上のご遺族以外でも、すでに21件(12月26日現在)新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方のエンバーミング、葬儀を行っていますが、みなさんが
「(故人と)きちんとお別れできて本当によかった」
とおっしゃられています。火葬場の状況にもよりますが、開始当初は大阪市に限定しておりました。今は大阪府内にエリアを広げて対応しています。

思いを残したままのお別れは「やるだけのことをやった」と思うお別れよりも、のこされた方の悲しみが長引いてしまうので、我々としても本当によかったという思いです。

「顔を見てお別れしたい」という気持ちに、これでようやくお応えすることができる 葬儀担当者の思い

葬儀を担当している公益社 1級葬祭ディレクター奥野剛士に
葬儀をされたお客様の様子やご感想などを伺いました。

今まで新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方のすべてのご家族様が本当に安堵しておられます。

2件目に対応したお客様は、数日前まで元気だったのに、介護施設にて感染されてしまい、病院へ搬送後2~3日で逝去されたというケースでした。

故人の奥様を始め娘様やお孫様は、大変悲しんでおられるなかで、エンバーミングを行うことで通常の葬儀が可能であるという話をさせていただいた結果、皆さん涙を流して頷いておられました

病院でも亡くなられた後は顔を見ることなく先に火葬するような内容の説明を受けておられ、故人がこのままお孫さんに会えないのでは…と、とても心配されていたこともあり、本当に「エンバーミング」というサービスの価値を皆様に感じていただくことができました。

まだ(新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方へのエンバーミングを)始めたばかりということもありましたので、私も説明を慎重におこない、万が一新型コロナウイルスの検査が陽性の場合は小窓からの拝顔となる事を説明しましたが、家族からすると、小窓からでも顔を見ることができれば十分ですと言われていました。

結果は陰性でしたので、お別れのタイミングで蓋を開けて花をたくさん入れていただき大変満足していただけたと思います。

故人に結婚の報告ができました

お孫さんの一人が結婚を予定されており、その婚約者が初めて故人(おじいさま)に挨拶に来られておられました。

棺の前で結婚指輪を故人に見せている光景を見ているその他の家族の方を見ておりましたが和やかな雰囲気で良かったです。

今回お亡くなりになられたことは非常に残念な事でありますが、私達が新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方にエンバーミングを実施できるようにしてきたことが、家族の方にとっての救いになったのだとつくづく感じました。

葬儀が終わった後も、何度もご家族皆様から感謝の言葉を頂戴したことは葬儀社冥利に尽きるなと感じさせていただくことができました。

大切な家族を亡くされたお客様へ寄り添うことを大切にしている公益社だからこそできる。また自社でエンバーマーがいるから実現できたことだと思います。

「コロナ死で更なる悲嘆に触れているご家族のために、役に立てないか」  エンバーミングスタッフの思い

一方でエンバーマーはどのような気持ちでエンバーミングを実施しているのか、エンバーマーの金子さくら子に話を伺いました。

「コロナ死で更なる悲嘆に触れているご家族のために、役に立てないか」
そんな気持ちを抱き続けていたエンバーマーにとって、エンバーミングで通常のお葬式ができるようになったことは万感の思いです。

ご遺族、参列者そしてスタッフの安全性を確保する必要性


エンバーミング薬液に含まれる消毒成分は、新型コロナウイルスを含めた微生物に効果があるとされています。弊社では、エンバーミング後の新型コロナウイルスの検査が陰性であれば、ご遺族や参列者、弊社スタッフが安心して葬儀を行える指標とさせて頂いています。

国内外の事例では、エンバーミング後のご遺体で新型コロナウイルスのPCR検査をしたところ、陽性と判定された事例もあります。
しかし、PCR検査は新型コロナウイルスのRNAという核酸を検出する感度の高い検査になるのでエンバーミング処理でウイルスが無くなっても、ウイルスの残骸が体内に残っていればPCR検査は陽性になる場合があります。抗原検査はPCR検査とは異なり、生存しているウイルスがいるかを確認する検査であり、今回、エンバーミング前後でPCR検査と組み合わせることで、ご遺体のウイルスが減ったのかどうか考える指標にしています。

検査機関を探していたところやっと協力先が見つかる

つまり、感染の危険を否定するためには、ご家族が触れる可能性がある箇所にウイルスの残骸も検知されないような処置方法が要求されます。また、それを確認するための検査受託機関も必要となります。弊社で検査をしてくれる受託機関をさがしていたのですが、中々見つからず途方に暮れていた矢先、弊社の産業医から大阪大学大学院医学系研究科感染制御学講座にご相談し、協力して頂くことになりました。

いつも以上に感染対策を徹底しながらのエンバーミングは、通常より手間と人手と時間がかかる上に、陰性化するまでの緊張感は並大抵なものではありません。
しかし、納体袋越しの少し息苦しそうな姿から、ご家族が選ばれた衣装を着て穏やかなお顔で布団に横たわる姿に変わった故人様を見ると、ここまで苦労してきた甲斐があったなとホッと安堵します。
葬儀の担当者から「ご家族が、すごく感謝してましたよ」と教えていただいた時は、お役に立てる日が来て良かったとしみじみ感じますし、大阪大学の先生方をはじめとする関係者やエンバーミングセンタースタッフの御協力あってのものと皆様には心から感謝しております。

このたびの取組みは、お客様の心に寄り添い、お葬式に関わるすべての方々の安全を徹底して守る公益社だからこそ実現できたものだと思っています。