役所の「おくやみコーナー」が超絶に便利だった件について
こんにちは、燦ホールディングスnote編集部の祖父江です。
家族が亡くなると、向こう数か月間は仏事や相続手続きなど、やるべきことが目白押しとなり、慌ただしく過ごさざるを得なくなります。その中には「さまざまな行政の手続き」というものがもれなく含まれ、種類も多いことから相応の手間がかかります。
葬儀が終わるとほどなくして、故人のお住まいだった地域の役所・役場に赴き、手続きの種別ごとに担当部署のカウンターを巡る必要があるのですが、場合によっては
「この手続きは、どの窓口へ行けばよいのか…」
わからずに迷ってしまったり、
「その手続、実は必要だったのか…」
という抜け漏れに、自宅に帰って後から気づくなど、面倒な経験をすることもしばしば。
そこで、これら手続きの煩わしさや抜け漏れをなくすべく、自治体側が窓口サポートしてくれるのが「おくやみコーナー」です。
【体験談】私の住まいの市区町村の場合
父親が亡くなってから一週間、ちょうど葬儀が終わった翌日くらいでしょうか?役所からの封書が一通、自宅のポストに投函されていました。おそらく、死亡届の提出を行ったことから発送されたのでしょう。
開封してみると「おくやみガイド」という、家族の死亡後の各種手続きについての説明案内がまとまった、20ページ程の小冊子が入っておりました。
■便利ポイント①:「やることリスト」を事前に用意してくれている
この「おくやみガイド」、私の住まいの市区町村では、以下のような目次構成となっていました。
予約から来所までの流れ
役所で必要となる手続き、および持参すべき書類の一覧
役所以外で行うべき手続き、およびその窓口連絡先の一覧
弁護士や司法書士、行政書士への相談案内
手続きを委任する際の注意書きと、委任状のフォーマット
特に、2と3については、必要となる手続き一覧(いつまでに、なにをしなければならないか?、必要な書類は何か?)が箇条書きで網羅されているため、これから行うべき手続きをゼロから自分で調べ上げる必要がなく、ガイド冊子を見て、ひとつづつチェックしながら行っていけばよいだけなので、非常に助かりました。
ちなみに、私の市区町村のガイドによると、役所で行うべき主な死亡後の諸手続きには、これだけの種類があるようです。
世帯主の変更
故人のマイナンバーカード、住基カード、印鑑登録証の返納
国民年金の手続き(死亡一時金や、未支給の年金請求)
健康保険、介護保険の被保険者資格喪失の手続き
葬祭費補助の支給申請
福祉手帳の返還手続き
保育所や幼稚園の手続き(手当受給者の変更など)
農地の相続届出
道路や水路の占有者の名義変更
犬の飼い主の名義変更
固定資産税に関する申告手続き
軽自動車や原付車輛に対する納税義務の継承手続き
もしもガイド冊子がなく、これだけの項目を自分で一つづつ調べながら、漏れなく手続きしなければならなかったと思うと、ちょっとゾッとします。
■便利ポイント②:ワンストップで手続きができる
ガイドを見ると、おくやみコーナーの利用は事前予約制とのこと。早速電話で予約を行い、当日は指定された会議室へと赴きました。
おくやみコーナーの利用経験は初めてのため、どのように事が進むのか?何もわからずに椅子に腰かけていると、住民課→保険年金課→環境課→税務収納課…と、会議室にいる私のところまで担当者が順番に足を運んで来てくれて、必要となる手続きをその場で説明・処理してくれるではありませんか!
これには、良い意味での衝撃を受けました。
つまり、役所に訪れて…
担当窓口を探し回ったり…
混雑で待たされたり…
たらい回しにされたり…
手続きの一部を行いそびれて、帰ってきてしまったり…
という煩わしさが一切なく、必要な手続きがもれなく完了するのです。
なんという素晴らしいサービスでしょう。
これまで、住民票や印鑑証明の取得がコンビニなどで請求できるようになったときには「便利になったなぁ…」と感じたことはありますが、享受対象者は限定されるものの、ちょっと運用に工夫をするだけで、住民側の満足度を大きく向上させる施策として非常に画期的なサービスなのでは、と個人的には感じました。
ただし、すべての自治体にあるわけではないのが残念…
この取り組みは、政府の「死亡・相続ワンストップサービス」方策により2018年から各自治体で始まったようですが、残念ながら全国すべての自治体に普及しているわけではないとのこと(※少し古い統計ですが、2020年度末現在では全国1,728の自治体中、169自治体(9.8%)が設置済)。
この記事を書いている現在(2023年秋)、上記よりもはるかに多くの自治体にて窓口の設置が進んでいるとはいえ、まだまだ普及途上とのこと。よりよい高齢化社会を迎えるにあたり、今後も各自治体に普及していくといいな、と個人的に期待しています。
もしも、サービスを使うようなことが起きた際には、ぜひ利用したほうが良いですよ。