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2018年7月の記事一覧
ビッグデータと取次番線ーー倒産する出版社に就職する方法・第19回
出版社にかかってくる電話はさまざまで、著者はもちろん、書店、取次、印刷所、デザイナー、そして読者からの注文や問い合わせ、さらには抗議電話や原稿の売り込みまで多岐にわたります。
電話の作法、その3「的確に」。
電話を受けたものは、多岐にわたる関係者からの用件を瞬時に判断し、担当部署にスムーズに回し、的確に意図を伝達すること。
ちなみに前回(第18回)、私の耳に「かぁだ」と聞こえたのは、山岳写真家・
電話の作法ーー倒産する出版社に就職する方法・第18回
2000年5月当時、三五館は編集部2名、総務部2名、営業部1名、そしてH社長という6名体制でした。ここに私が加わることになります。
このくらいの少人数でやっていますから、肩書きは編集部所属とはいえ、業務は雑務全般です。
まずは電話受けがその第一歩です。
第一歩ですが、単なる第一歩ではありません。三五館において、電話受けはそんな簡単なものではないのです。足に鉄球を括り付けられての第一歩なのです
編集者 今日から俺も 編集者 ーー倒産する出版社に就職する方法・第17回
(第13回からの続き)
かくして私は、2000年のゴールデンウイーク明けから、アルバイトとして三五館編集部に加わることとなりました。
言い渡された採用条件は、「社会保険なし、残業手当なし、月20万円」だったと記憶しています。
えっ、そんなにくれるのかよ?
就職活動に失敗し、心のひとつもわかりあえぬ大人たちを睨み、家を出てアルバイト生活をしていたころ(連載第2回で実家を出て、第7回で再就職活
ジョコビッチ完全復活の朝にーー倒産する出版社に就職する方法・第16回
「はい、もちろん大丈夫です。ぜひお使いください」
私は浮き足立ちました。
担当者の話によると、母国セルビアを代表してリオオリンピックに出場するジョコビッチに取材時間をとることができ、テレビ朝日のオリンピックレポーターとして派遣される松岡修造が直接インタビューすることになった。いろいろな話題をふる中のひとつとして、本人の著作が日本でベストセラーになっていることも質問してみたい、ついては書籍を使わ
ジョコビッチと生まれ変わった男――倒産する出版社に就職する方法・第15回
「ああ、はいはい、ジョコビッチですね」
スポーツ選手だということはわかっていたものの、そのジョコビッチとやらの競技がなんだったかは少々手探り状態でした。
テニスだったっけか、たしか……その程度の認識で、編集部に突如電話してきて、そのジョコビッチとやらの著作『SERVE TO WIN』について早口で捲くし立てる男と実際に会ってみることにしたのです。2015年1月上旬のことです。
男の名はタカ大
倒産する出版社に就職する方法・第1回
1998年春、就職氷河期とうたわれた時代。
麹町にある文藝春秋社での一次面接の結果は、電話でかかってくることになっていました。ケータイを部屋のすぐに目につくところに置いておきつつも、私がケータイを注視していることをケータイに悟られぬよう、テレビを見たり、本を読んだり…。
年末恒例のTBS「プロ野球戦力外通告」でおなじみの、呼び出し音がなるとともに過剰に手振れしたカメラがケータイにフォーカスし、満
倒産する出版社に就職する方法・第2回
メロスは激怒した。
いや、俺だって激怒した。
こんなに何社も何社も受けているのに、なぜ採用されない!
30社も受けてるんだから、一社くらい、「君、いいね!」とか言ってくれるところあってもよくない?
ただの一社もないもんかね?
こんなにやる気みなぎっていて、なんでもやります!って言っているのに!
給料要らないから出版社で働きたい!とまで言っている人間をなぜ採らない!?
怒り。
それにしても、
当たり屋就活記……S社との邂逅ーー倒産する出版社に就職する方法・第7回
オッス!オラの相棒、グラストラッカービックボーイ! 連載のつながりとか時系列とか起承転結とか完全無視して、過去と現在を自在に行き来できるすげえやつなんだ。心が清くないと乗れねえけどな。頼むぜ相棒。そんじゃ、ここまでの流れを無視して2000年4月にレッツゴー!
出版社設立資金300万円貯金を目的としたアルバイト生活を2000年3月いっぱいで打ち切った私は、再び出版社に入る決意を固めます。
「人生
サイババと、膝のゆらぎーー倒産する出版社に就職する方法・第8回
ガクガクガクガク……。
あっ、これ、私の膝の震えです。
2000年当時、三五館といって私が真っ先に思い浮かべたのは、アフロヘアのインド人、サイババでした。
覚えてますか、サイババ。
私が高校生のころ、手のひらから聖なる灰とか貴金属とか時計とかを出現させる「物質化現象」を起こすというサイババは、ゴールデンタイムに何度も特別番組が組まれるほどの話題を集めていました。
その火付け役となったのが
約束の日:sentimental Ver.――倒産する出版社に就職する方法・第9回
約束の日。
まだ4月だというのに日中30度近くまで上昇した気温がその勢いを翳らしはじめたころ、俺は家を出る。
もう後戻りはしない。振り返るな。泥道に足跡など残っちゃいない。
俺は俺に言い聞かせる。
「今日、決める」
15:××、京成線に乗り込む。念のため、京成線と都営浅草線と総武線、中央線すべてが遅延し、三五館の場所がなかなか見つからなかった場合を想定したタイムスケジュールで四谷へ。遅刻
折りと祈りーー倒産する出版社に就職する方法・第12回
およそ1週間後、電話で再訪日を指示された私は、ふたたび四谷を訪れます。
(あっ、前の第11回から読んだ方、つながりありませんので。連載第10回から今回につながります。2000年の話です。なんで私が過去と現在を頻繁に行き来できる能力を手に入れたかについては連載第3回と第7回あたりを参照)
この時点で私は自分の処遇がどうなるのかを知らされていません。
「忙しいのに、わざわざ時間つくって呼び出して
なぜ出版をやるんですか?ーー倒産する出版社に就職する方法・第13回
2000年4月20日(木)、予定の17時をずいぶん過ぎて始まったH社長との2回目の面接。すぐに採用か不採用かを知らされることになると思っていましたが、どういうわけか話題はなかなか核心に至らず、周辺をぐるぐる回るだけの雑談が続きます。
しばらくのちに気づくことになるわけですが、これはH社長独特の会話術(?)で、打ち合わせのメインテーマをすぐに持ち出さず、しばらく雑談に努めるんですね。あえて獲物の周