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まだ早いって、誰が決めたの

先日娘(4歳3ヶ月)が、夕方がっつり昼寝をしてしまい、案の定夜、眠れない眠れないと言っていた。

母は、作り物の仕事があったので、別部屋でフェルトをチクチク縫っていたら、パパの寝かしつけを掻い潜り、そっと起き出した娘がやってきた。

ぬいぬいしてるの?何を作ってるの?針は痛いから触らないんだよねぇ。まち針はいいかなぁ。大きくなったら娘ちゃんもヌイヌイできる?

見るなりの弾丸トーク。
あ、こりゃ、触っちゃいけないと分かっていながらも、気になって気になって仕方がないあれですな。

大きくなったら

そうだね。

大きくなったら

5さいか6さいになったらね。

以前にも、そんなやり取りがあったのを娘は覚えていて、まだ出来ないと分かっていた。

私は、何歳になったら、と言う度に迷っていた。自分が初めて裁縫をやったのはいつだったか……小学生だったような気がする。
おもちゃの針の、縫うセットならまだしも、本物の針と糸は、とりあえず少なくとも年少さん、3歳児にはまだ早いと思っていた。

静かになったと思ったら、となりのソファーで横になりながら、「入れて、出して引っ張る。入れて出してひっぱる。」
と、小さなシュミレーションする声が聞こえてきた。「練習してるの」というのを見ていると、不意にたまらなくなった。

「こっちおいで、やってみる?」
私がそういうと、え、いいの?と弾むように膝に乗ってきた。
手近の小さなフェルトと、2本取りの糸通した針。
持ち方を教えて、フェルトに針を刺す時に指を刺さないように気を付けるポイントを伝え、最初だけやって見せ、渡す。

娘の目が真剣な目になっている。

上の写真が生まれて初めての、裁縫。(青い○)線の大きさはバラバラだし、向きもいろいろだが、縫えてる縫えてる!

それなのに、もう娘は
「今度は四角いフェルトの回りを縫ってチケットにしたい」
などとのたまう。

イメージ出来上がりすぎじゃない!?
そんなに具体的に言われたら、準備するしかない。

母は、自分の宿題を放棄して、フェルトを言われるままに切ってみて渡す。

時々、絡まっちゃった!とか、変なになっちゃった!とか、なりながら、娘はいつの間にか、まっすぐ並縫いすることを覚えていた。

彼女が「出来た!」と笑顔を見せたとき、私はショックを受けていた。
……できるじゃん。

誰だ、年少さんにはまだ早いと思ってたの。

『やりたいときがやらせどき』だと思っていたはずなのに、絵の具もハサミも包丁も、結局は今までの保育士経験や、先人の助言から、「いける」と判断していた。
なんだ、私の判断なんてそんなもんか。

彼女はちゃんとイメージトレーニングも集中力も、指先もそれからやる気もできてたのだ。
むやみに指に針を刺すこともなく。というか、1度も刺さず器用に縫えてたのは、早いうちからハサミやいろんな道具を使わせていたからではないのか。

私が勝手に危ないと思ってた。自分の曖昧な記憶に合わせて、根拠もなく小学生くらいからかなと、勝手にそう決めていた。
ごめんよ娘。

夜中のヒミツの縫い縫いを終え、さぁ、もう一回ねんねの部屋に行くよというと、娘はスッと布団に入った。出来た喜びに満ち満ちながら、眠りについていた(母もそのまま寝落ちした)。



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