R4予備試験口述再現(2日目・民事)
向かって右が主査(男性50-60代)、左が副査(男性40-50代)
(表面)A4紙一枚
(左側)事案 (右上)A→X売買 A→Y建物賃貸借 (右下)時系列に沿って箇条書きの事案
主査:事案を読み上げます。お手元の紙を見ながら、お聞きください。Xは、Aから、R3年1月1日(以下、日付は前後関係だけ揃えた適当なものです。)、本件土地を代金○○円で買い、代金を支払い、所有権移転登記を経由しました。その際、Xは、登記簿上、本件土地の所有権を制限するようなものが無いことは確認していましたが、実地調査は行いませんでした。その後、Xが、本件土地を見に行くと、本件土地上にYが建物を所有して住んでいました。Yに話を聞くと、どうやら、Aが、R2年8月1日に、Yに対し、本件土地を賃貸し(以下、「本件賃貸借契約」)、Aから本件土地の引渡しを受けた後、本件土地上に本件建物を建築し、R2年9月1日、建物所有権保存登記をしたようです。しかし、これ以上の詳しいことはわかりませんでした。Xは、本件土地は自分がAから購入したのであるから、Yに対し、本件土地の所有権に基づき、建物収去土地明渡しを求めています。
さて、弁護士Pは、Xから上記請求の依頼を受けました。あなたがPだとします。Yから主張されるであろう抗弁を考え、Yに対し事実関係の確認をしたいと思います。まず、Yから主張されるであろう抗弁はなんですか?
私:(事案が追いきれない・・・)占有権原の抗弁です。
主査:どのような占有権原ですか?
私:AY間の賃貸借契約に基づく占有権原です。
主査:では、それを踏まえて、Yに何を確認しますか?
私:(確信はないけどたぶんこれだろう)はい、本件賃貸借契約が建物所有目的であったかを確認します。
主査:それはなぜですか?
私:えー、はい、建物所有目的の土地の賃貸借は借地権として借地借家法の適用を受けます。そして、、、建物所有目的で、、、えー、土地上に建物が存在すれば、借地権は、借地借家法10条により、第三者にも対抗できるからです。
主査:建物所有目的と、土地上に建物が存在すればそれで足りますか?
私:えー、(なんだっけ・・・)えー、そうですね。足り、、、る、、かと思います
主査:建物の存在だけ、でですか
私:えー、えー、あ!失礼しました。建物についての登記が必要です。
(後記:振り返れば、このとき事案の紙にはちゃんとYが建物の登記をしていることは書いてあったので、それに目を通していればもっと早く思い出せたと思います。事案があまり頭に入ってこないのと、紙面の文字情報の多さに、自然と紙から目を遠ざけていました。)
主査:そうですね。<ここから先、紙には書いてなかった(と思います)。裏返す指示もなし>では、Pが確認したところ、本件賃貸借は、建物所有目的であったため、上記所有権目的での請求はとりやめました。しかし、さらに調査したところ本件賃貸借契約においては、AがYに対し、本件土地のYの住居の敷地としてのみ使用し、その他の目的では使用してはならない、という特約がありました。しかし、Yは、途中から、本件建物において民宿を営むようになり、現在も営んでいます。さて、Pとしては、どのような訴訟物でYに建物収去土地明渡請求をしますか?
私:((パニックで若干頭に入ってない。)賃貸がダメなら所有権か)えー、所有権に基づく妨害排除請求権としての土地明渡請求権です。
主査:?所有権・・・ですか?
私:あ、すみません、事案をもう一度伺ってもよろしいでしょうか?
主査:はい。(ゆっくりとくりかえす)
私:あ、あ、(途中で気づくが、一応最後まで聞く)失礼しました!賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権です!
主査:はい、それが考えられますね。この場合、Xは何を根拠にその訴訟物で請求しますか?法的根拠を教えてください。
私:(たしかに、賃貸借に飛びついたものの、、、、)えー---、さい、けん、しゃ、代位です(違うなあ)。
主査:債権者代位ですか?となると、Xは自己の債権として何を主張するのでしょうか?
私:(何でしょうね)えー、えー、そうですね、XAの売買は完了していますし、、、
主査:もう一度いいますね。(とても丁寧に繰り返してくださる)何か、XYが当事者となるような事情は考えられませんか?
私:えー、当事者、あ!売買してるので賃貸人の地位を得ていますから、自己の権利として権限外使用の解除が可能です。
主査:そうですね。では権限外使用とおっしゃいましたが、これを講学上何と言いますか?
私:なんと、、、えー、権限外、使用目的外、、、
主査:用法遵守義務違反と言います。知っていましたか?
私:はい。。。(いかん、焦ってる)
主査:あ、先ほどXが賃貸人の地位を得るとおっしゃいましたが、条文上の根拠を教えてください。
私:(あー--なんだっけ)えー--、60、、、6条の2です。
主査:法文を見てよいですよ。
私:失礼します!(体感5秒)失礼しました!605条の2第1項です!
主査:では、紙を裏返してください。
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(裏面)
土地賃貸借契約書
AとYは、本件土地を以下の約定で賃貸する旨合意する。
1.賃料 ○○円
2.期間 30年
3.Yは、本件土地を、Yが居住する建物を所有する目的で使用する。その他の目的で利用してはならない。
Aは、Yに対し、R2年9月1日、上記契約を締結し、これに基づき同月2日、本件土地を引き渡した。
しかし、Yは、R2年10月頃(AX売買後だったかも)から、本件賃貸借契約の特約に反し、本件建物の一部で民宿を営んでいる。そこで、X(Aだったかも)は、R3年9月1日、Yに対し、民宿利用をやめるよう求めた。R3年9月14日までに民宿利用をやめるよう催告する旨の内容証明郵便を送付し、これは同月2日にYのところに届いた。
しかし、R3年9月14日以降も、Yは民宿利用をやめなかった。そこで、Xは、Yに対し、R3年9月20日、本件賃貸借契約を解除する旨の内容証明郵便を送付し、これは同月21日にYのところに届いた。
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主査:では、この紙を見ながら、Xが主張すべき本件賃貸借契約の解除原因事実を抽出して読み上げてください。
私:(文字が入ってこない。。。)えー、AとYは、R2年、、、、えー本件賃貸借を締結した、えー
主査:解除原因だけで大丈夫ですよ。
私:はい、解除原因!えー、①AとYは、本件賃貸借契約締結の際、本件土地を、Yが居住する建物を所有する目的で使用し、その他の目的で利用してはならない旨合意した。②Yは、R3年9月1日、上記特約に違反し、本件建物の一部で民宿を営んでいた。③えー、Xは、Yに対し、R3年9月1日、R3年9月14日までに・・・あ、失礼しました!Xは、Yに対し、R3年9月2日、R3年9月14日を期限として民宿利用をやめるよう催告した。④R3年9月14日は経過した。⑤Xは、Yに対し、R3年9月20日、本件・・・あ、失礼しました。Xは、Yに対し、R3年9月21日、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。です。
主査:最後の段落の、「R3年9月14日以降も、Yは民宿利用をやめなかった。」という事情は、主張する必要はありませんか?
私:(「やめなかった」という文字だけみて)えー、な、い、と、、、思います。
主査:なぜですか?
私:えー、やめなかったというのは、消極的事実ですので、当事者間の公平を考え、やめたことをYが主張すべきだからです。
主査:民宿として利用したこと、と、しなかったこと、とどっちが証明しやすいですか?
私:失礼しました。利用したこと、です。(あ、解除時までの事情の継続か!)そのため、Xが、解除の意思表示時点で、Yの民宿利用していたことを主張する必要があります。
主査:はい。では倫理にいきます。あなたはYから依頼を受けた弁護士Qです。Yは、あなたに「Aは、自分が本件建物で民宿を営むことについて承諾した」と言いました。そこで、あなたは、Aに対し、Yの民宿利用を承諾をしたのかと尋ねました。すると、Aは、承諾した覚えはない、と答えました。すると、Yは、あなたに対し「Aに、『民宿利用を承諾した』と法廷で証言するよう頼んでほしい」と言いました。このYの依頼について、弁護士職務基本規程上、どのような問題が考えられ、あなたはこの依頼に対し、Aにどのように対応しますか。弁護士と依頼人との関係についての規程に基づいて答えてください。
私:えー、この場合、偽証の唆しとして、75条が問題になると思いますが、Aは承諾したか覚えてないと言っているので、、、偽証の唆しにあたるのか同かが問題となって、、、
主査:よく聞いてください。Aは、承諾した覚えはない、と言っていました。
私:あ、失礼しました。それであれば、偽証の唆しにあたりますので、75条違反の問題があります。
主査:はい、そのうえで、あなたはAに対してどのように対応しますか?それを聞いています。
私:すみません、もう一度事案を伺ってもよろしいでしょうか?
主査:(くりかえす)
私:あ、はい。すみません。そのようにAに頼むのは、偽証のそそのかしにあたるので、それはできないとYを説得します。
主査:説得してもYが応じなければどうしますか?
私:出来る限りの説得を試みますが、それでもダメであれば、信頼関係が損なわれたとして辞任します。
主査:はい。(副査に)何かありますか?
副査:あなた、訴訟物聞かれたの覚えてる?所有権に基づく妨害排除請求権とおっしゃってたけど。
私:(そうだったの?)はい。あ、口がすべりました。
副査:ほんとはなに?
私:はい、所有権に基づく返還請求権です。
副査:そうだよね。以上です。
私:ありがとうございました。
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紙の文字量が多く感じ、事案があまり頭に入ってこなかったのと、典型事例ではなさそう、というのとで、パニックになってしまいました。文字に起こしてよくよく読めば、答えられるけれども、準備していないストーリーは本当に頭に入ってきませんでした。
他の方も手続きや執行保全は聞かれなかったそうなので、最後までいったとは思います。そのため、58点はないと思いたいですが、59点かもしれません。