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「夜明けの花園」ー理瀬シリーズ短編集

恩田陸さんの作品の中で「麦の海に沈む果実」という作品がある。
ゴシック・ミステリと呼ばれていて、全寮制の学園が舞台で私はとても魅了された。水野理瀬という女の子が主人公で、他の登場人物が中心に描かれる作品もあり、これらを「理瀬シリーズ」と呼んでいる。ネット上で時系列に沿った読む順番のお薦めリストも出ていて、私も参考にして読んだ。中には短編作品もあり、いつかまとめてほしいなー
と思っていたら出来ました。
短編集。
やや小ぶりで、北見隆さんの装画・装丁でとても世界観が表現されている。


湿原の広がる北の地にある学園。お金持ちだが訳ありの生徒たちがひっそりと暮らしている。学園の中で生徒がいなくなることもあるのだ。逃げ出しているのか、それとも…。
緊張感と得体のしれない恐怖感。そういったものを感じながら生徒たちは学園生活を送っているのだった。


この「夜明けの花園」には理瀬と彼女の周りの人物たちの物語が六編収められている。

・理瀬と将来を約束されたヨハンの話
・校長の謎に迫る過去の話
・理瀬の子どもの頃の話
・学園で出会う黎二と麗子の話
・優秀な聖の話
・大人に成長した理瀬の話

個人的には謎の人である校長の話がおもしろかった。なるほど、と疑問に思っていたことの答えがあってすっきりした。
黎二と麗子の話は切なくなる。それぞれの母親との衝撃的な確執が語られ、これが本編に影響を与えていく。理解が深まるので、ぜひ読んでほしい作品だ。





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