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「サンガの価値を高める応援 スタジアムを熱狂空間に」サンガに感じた価値、教えてください ニッシンさんのスポンサー物語
オフシーズン企画、サンガのスポンサー企業様へのインタビュー「サンガに感じた価値、教えてください」の第3弾です。
「J1で戦うにはお金が必要で、スポンサーの皆さまのおかげで楽しませてもらっている。ありがたいなあ」
とのふんわりした気持ちは、皆さんお持ちかなと思います。
では、少し具体的な話に移るとどうでしょうか?
「サンガへのスポンサードで企業はどんなメリットがあるのか」
「そもそもスポンサードしてくれている企業はどんな企業なのだろうか」
「サポーターはどうすればスポンサー企業に貢献できるのか」
あたりを解像度高く捉えてたりできてますでしょうか。なかなか難しいのが正直なところかと。
(かく言う私もです)
サンガにとって大事な要素なのに、知っていそうで実は知らない。そんな情報をお伝えしつつ、スポンサー様の応援にも繋がる。
一粒で二度美味しい記事に仕上げました。
ぜひ最後まで読んでみてください。
第3弾は、サンガスタジアムのオープンで一躍スポットライトを浴びる亀岡市に代表工場を置く、株式会社ニッシンさん(以下「ニッシン」と表記)。
語り手は同社経営企画室(兼非公式スポンサーアクティベーション担当)のけんたろさんです。
さっそくどうぞ!
※インタビュー中は「けんたろさん=け」「わたし=デ」で表記しています
スポンサードの経緯、教えてください
「ニッシン」のこと、教えてください
デ:
本日はありがとうございます!
ニッシンさんが亀岡の会社であることや、けんたろさんの社員観戦ツアーを通じて「株式会社ニッシン」の存在を知っている方はある程度いらっしゃるのかなと。
一方で「ニッシンさんがどんな会社なのか」「なぜサンガへスポンサードしてもらっているのか」あたりは、詳しく知らない方が沢山いらっしゃると思います。
ついては、まずざっくりと会社概要やスポンサードの経緯などを教えていただけますか?
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け:
ニッシンを一言で表現すると、DENTAL Education COMPANYですね。
歯科教育系の製品を通じてトータルソリューションで歯科医療にかかわる方々のサポートをしている会社です。
お客様は全国の歯科大学・衛生士専門学校・歯科医院さんですが、代理店を通じて販売をしているいわゆるBtoB(企業が企業に対して商品を提供する)のビジネスです。
商品がニッチなため、ちょっとイメージしづらいかもしれません。
デ:
たしかに。パッとイメージが付かないですね…。
歯科系ですと、たとえばインプラントや矯正器具がパッと浮かぶのですが、そういった商品を扱っておられるとの理解でよいでしょうか?
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け:
難しいですよね笑
インプラント等、歯科で利用される素材そのものではなく、歯の「模型」であるのが特徴です。
歯科医院のスタッフの方が施術を練習するためのシミュレーターが商品です。美容師の方もマネキンで練習すると思いますが、それの歯科医院版と捉えてもらうと分かりやすいかもしれません。
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模型やシミュレーターだけでなく、教育用ソフトウェアや動画を組み合わせた教育ができる商品も揃えています。最近では「物はないけど歯を削っている感覚が伝わるVR」なんて製品もあります。
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デ:
なるほど!
模型のお話で「歯科」と「教育」のイメージが繋がりました。
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け:
会社の事業は大きく分けて2つあります。
一つ目が歯科材料を作って売っている事業。歯医者さんで歯形を取ったりする材料や入れ歯洗浄剤です。こちらは分かりやすいでしょうか。
もう1つが、主力事業なんですが「歯科模型」を作って売っている事業です。
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展開する事業の領域や範囲は「歯科教育サポートに関連するもの」ですね。歯科医療にかかわる方にとって、欠かすことのできない重要な要素である「学問」と「経験」の両面からサポートさせていただくのが、当社です。
デ:
歯科は歯科でも歯科「教育」が事業ドメインなのですね。
自分が治療する側の立場とすると、治療、特に歯を抜いたり削る失敗が許されない部分のトレーニングができる素材の有難みは想像しやすいなと思いました。
ビジネスの調子はいかがでしょうか?
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け:
おかげさまで順調です。特に主力商品である歯科模型では90%後半に近い日本国内のシェアがあります。
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日本国内だけでなく海外にも進出していて、東南アジアでは中国工場にタイオフィス、ヨーロッパではオランダ・中南米ではメキシコに子会社があります。
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近年では海外の売り上げが伸びており、昨年売上50億円を突破することができました。
スポンサードのきっかけ、教えてください
デ:
固い基盤があり、グローバル展開もしていて...。京都の企業であるのにお話を聞いて初めて知りました。ビジネスモデル上、広告宣伝が業績に直結しにくいと思いますが、どのような経緯でサンガのスポンサーになってもらったのでしょうか?
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け:
サンガのスポンサーを始めたのは2022シーズンからです。サンガがJ1に上がるとともにシルバースポンサーになりました。
自分自身は海外サッカーや日本代表ばかり観ていたのですが、2020年のこけら落としを生で観戦して「これはスゴイものが亀岡に出来たぞ」となり、すっかりサンガにハマりました。
西京極には何度か行っていたのですが、サンガスタジアムの臨場感に完全にやられました。
そこから家族を引き入れ、親族を引き入れ、ご近所さんを引き入れ…の1年間布教活動をしているときに、社内で福利厚生の見直しがあり、そこでサンガのスポンサー案を提案した。そんな流れです。
デ:
なんと!スポンサードのきっかけもけんたろさんなのですか!
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け:
社内プレゼン頑張らせてもらいました笑
今では社内でもサンガの試合結果を追いかけたりしている人が増えたようで、私のサンガ好きも社内にバレたので、声かけてもらうことが増えました。
少しづつですが、社内のサッカーやサンガへの関心が高まりつつあるのを感じてます。
スポンサードの手応え、教えてください
観戦ツアーのこと、教えてください
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け:
本当に少しづつですが会社内にサンガで繋がった線が生まれつつあります。コミュニケーションのきっかけになったり 、他には「実は20年以上応援してて...」なんて話をもらったりしました。
デ:
それが観戦ツアーにも繋がったわけですね...!
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け:
はい、今年の4月に企画したアルビレックス新潟戦での観戦ツアーでは121名の応募がありました。実はこの時、社内に潜んでいた?サンガサポが、来場者プレゼントやクルー特典のタオルマフラーを進んで無償提供してくれて、60枚くらい集まりました。
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社員みんなでお揃いのポロシャツを作ったのも好評でした。
実は後日、他のスポンサーさんがスタジアムでそのシャツを見かけて「うちも作りたい」と言ってこられましたと、サンガの営業担当者さんから連絡がありました。
皆サンガ好きだなぁ。と。
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デ:
そこまでしていただいたのに、試合内容・結果共に×で...。
報われないけんたろさんの頑張りを見て悲しくなっていた記憶があります。
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け:
あまり見せ場のない、盛り上がりに欠ける試合で0-1の敗戦を食らってしまったときはどうしたものかと落ち込みましたが...。今回の東京ヴェルディ戦の企画でも103名の応募があり、びっくりでした。
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1回目はスタジアムに来ただけで楽しかったという人がほとんどでした。
僕は毎試合行くので慣れてしまって麻痺してますが、そもそもスタジアムにサッカーを見に行くこと自体、非日常なんですよね。
それが日常に変わったらこっちのもんなのですが…(どっちのもんや笑)
メリット活用の話、教えてください
デ:
スポンサード3年目でサンガのことが社内に浸透してきていることもあるかもしれません。
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け:
そうですね。でも、まだまだこのスポンサーのコンテンツを活かしきれていないと思っています。
例えばスポンサー専用席ですが、ヨーロッパや南米なんかではスポンサー席からサッカーを見るというのは大きなステイタスだと聞きました。
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海外展開している弊社でも、海外の大学教授や代理店の方が来日されることがよくあります。「海外の方に喜んでいただける場になるのではないか」と海外営業部じゃないけど勝手に思っています。
デ:
VIPにご招待できればとても喜んでもらえそうです...!
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け:
ですね。将来的にVIPで接待するためには、会社にもっとスポンサードの価値を感じてもらわないといけません。頑張らないとなあと。
たとえば…普段からスタジアムの会議室は良く使うのですが、新入社員の説明会や入社式をスタジアムで実施したり。色々な活用アイデアはあります。もっと沢山実施したいですね。これも総務管轄の話ではありますので勝手に思っているシリーズですが。
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デ:
スポンサードでよく聞く「採用」ので面で感じたメリットはありますか?
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け:
そういえば、看板を出すことで嬉しい効果がありました。
スタジアムの看板がきっかけで面接に来てくれた学生さんがいたと聞いています。
しかも1人2人じゃないんです。
ちなみに、選考結果にサンガサポであるかどうかはもちろん影響…しません笑
デ:
「おっ」とは思うきっかけにはなるものの、選考の結果となると話は別ですね笑
順番が前後してしまうのですが…。スポンサードで解決したい課題、いわゆる狙いのポイントはどこにあったのでしょう?
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け:
もともとの狙いはもちろんありました。
スポンサーになるときに意識したのは
①企業イメージUP
②地域への貢献
③若い世代へ恩恵が受けられるもの
の3点ですね。
サンガスタジアムは、サンガのホームスタジアムであると同時に京都府のスタジアムでもあります。
イベントや幅広い年齢層のスポーツ大会の会場にもなりうるということで、そこに常設で看板が出せるというのは一般的に企業価値の向上につながるだろうと。
知名度がある会社ではないので「知ってもらう」ことに工夫も必要ですし。
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デ:
2つ目の地域貢献についてはいかがでしょうか?
「地域貢献」といっても色々あるかと思ってのご質問です。
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け:
スポンサーになった当時はというと語弊があるかもしれませんが、亀岡市の力の入れようがビンビンでした。9号線の横断幕や冬のイルミネーション、ラッピングバスに『危ないやろ!』と思う程多数の歩道に設置されたのぼり等、サンガ推しを頑張ってる感がすごくあって、その助けになれたらと思いました。
デ:
今でも支援の勢いは感じてますが、スタジアムオープン当初の亀岡市のサポートはすごかった記憶があります。3点目の「若い世代が恩恵を受けられるもの」は、どのような意図なのでしょうか?
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け:
手前味噌ながら、ニッシンは安定した基盤があり業績も順調で、働きやすさもある「良い会社」だと思っています。ただ、上に挙げた良さは長く勤めないと実感しにくいものばかりなんですね。
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言い換えると、入社すぐの若手や、これからニッシンで働きたいと志望する方に訴求できるポイントがありませんでした。そこで、若い世代に手応えがある形で福利厚生を実感してもらいたかったんです。
デ:
「会社の本当の良さ」はすぐに分かりにくいですよね。
コミュニケーション面で良い成果は出ていますでしょうか。
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け:
それはもう…と言いたいところですが、劇的に改善されたり手ごたえを得ているとまでは言えないですね。
「君もファンだったのか」「サンガの結果はどうだったのか」あたりが会社内で話題になることもありますが、浸透するのに時間はかかるのかなと。根気よく続けていきたいところです。
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デ:
他社のお話を聞いていても「社内コミュニケーション」は大きな課題です。即効性を求めて特効薬的な施策を打つと単発で終わってしまうため、確かなコンテンツをじっくり育てて、社内に広めていく。
サンガに限らないスポンサーアクティベーションの秘訣が見つかった気がします。
これからのこと、教えてください
スポンサーとしてのこれから
デ:
スポンサード3年目で少しづつ手応えを感じているところ。スポンサーとして今後どのように活用していきたいか…といったところは考えておられますか?
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け:
今後の目標としては、一従業員の立場なのであまり大きなことは言えませんが、とにかく長くスポンサーを続けること。これは地味に思われるかもしれませんが、やはり数百万円単位のお金を支出するというのはそれなりの費用対効果を求められるのが一般的ですよね。
デ:
福利厚生であれば「社内飲み会」「旅行補助」も選択肢になり、同じ金額ならどれだけ開催できるのか...といった話が出ても不思議ではないと感じます。
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け:
弊社の場合は、地域貢献や福利厚生の意味合いが強いのですが、それでもスポンサーを続けるためにはまず会社の事業が順調であることが大前提です。事業できちん収益を上げられるよう本業でも頑張りたいですね。
あとは、この観戦ツアーを社内の恒例行事にしたいです。よくある福利厚生よりも良い企画だなと上の人にも思ってもらわないと。
あと、社員観戦ツアーも2回目ですが、3回目4回目来てくれるかどうかはサッカーの内容によるところが大きいはずです。個人的にも会社の者としてもチームには期待したいところですね。
立場が違えばもっと見えてくるものも違うかもしれませんが、それは僕がエライさんになった時にということで笑
デ:
島耕作ぐらい肩書が変わっていくことを期待しております!笑
サポーターに期待すること
デ:
インタビューの最後に、スポンサー企業の担当としてサポーターに期待したいことをお聞きしたい。のですが。難しいですね。
「定期的に歯科模型を買ってください」というのも違う気がします。
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け:
偉そうな言い方になりますが、僕のサポーターに求めることは、そのまま自分たちの思うままに突き進んでください。です。熱い応援でスタジアムをより素晴らしい非日常空間にしてもらえることが最大のスポンサーメリットなんじゃないかなって思ってます。
デ:
自社への特別な動きを求めるではなく、サンガをサポートする応援の高まりに期待したい。これはちょっと珍しいご意見かもしれません。
け:
サンガサポーターはもはやサンガだと思ってます。
ここ、エピソードを紹介させてください。
スポンサーの年間チケットを各試合ごとに社内で抽選した従業員に配るのですが、浦和レッズ戦が人気です。
たまたまデスクが隣の子に当たったので『何でレッズ戦にしたん?』って聞いたら『なんか応援スゴイって聞いたから』と。
観戦理由が「サッカーを見る」ではなく「サポーターの応援を見に行く」なんですよね。
前回の観戦ツアーでも僕の前の席の子はボールを見ずにサンガのゴール裏をずっと見てました。「めっちゃ楽しそうだね」と。アルビレックスのゴール裏がすごいなあなんて感想もありました。
一見さんが魅力を感じるのはサッカーだけでないと思うんです。
デ:
初観戦やライト層の方の印象に残るのは、サッカーではなく会場の雰囲気。イヤミでもなんでもなく、これは本当にそうだと思います。
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け:
そうなんです。そして、試合を構成するうえであの応援があるのとないのでは、盛り上がりが雲泥の差です。
スタジアム、演出、そして応援。
サポーターはお客さんを魅了できる存在です。
何でも良いんです。
旗の数や大きさがスゴイとか、声がめちゃくちゃ出てるとか、名物の被り物のおじさまがいるとか。魅了できることって何個あっても良いと思います。
サンガのゴール裏は十分に人を魅了する存在になっていると思うんです。
僕もその一部なので、もっと頑張ろうと思います。もちろん楽しみながら。
ちなみにN10あたりに陣取っているので「ゴール裏のサイドバック」を自称しています。来年は今振っているLフラを卒業してオリジナルな旗を振りたい願望があります。
あと、サンガサポーター大声選手権とかしてみたいですね笑
個人的な願望も語れたところで、サポーターの方へのメッセージとしたいと思います。
デ:
スポンサー企業のアクティベーション担当・ゴール裏のサポーターを両立するけんたろさんならではのお話、面白さはもちろんとても発見がありました。インタビューさせてもらった僕が楽しませていただいたくらいです。
本日はありがとうございました!
け:
まさかインタビューを受けるなんて思ってもみませんでした。貴重な経験になりました。
こちらこそ、ありがとうございました!
最後まで読んでくださった方にも感謝です!ありがとうございました。
さいごに
サンガに感じた価値、教えてくださいシリーズ。
初回と2回目はスポンサー企業の「社長」の方からのお話でしたが、立場変わって「サポーター&スポンサーアクティベーションの旗振り役」であるけんたろさんからのお話でした。
サポーターの熱い応援があり、スタジアムが熱狂する非日常空間となることの重要性。
老朽化した陸上競技場でガラガラのスタンドで試合をするチームのスポンサーは、間違いなく満足度が下がるはずです。
選手や監督がどれだけ良い試合をしても。
フロントスタッフがどれだけ頑張っても。
クラブが集客を頑張るのは、収益によるチーム強化が第一目的にせよ、結果としてスポンサーのためにもなる。
サポーターがゴール裏で声を張り上げるのは、チームを勝たせるためが第一目的にせよ、結果としてスポンサーのためにもなる。
プロスポーツクラブの経営は
①スポンサー収入
②チケット収入
③グッズ収入
の三要素に分かれるとよく言われます。
その三要素がそれぞれ独立しているのではなく、それぞれ繋がって連動して「京都サンガの価値が高まっていく」ことを、そしてその中心が試合の日のスタジアムであることを、改めて感じさせられたお話でした。
特段取ってほしいアクションはなく、普段の応援を頑張り「よりアツいサンガスタジアムを作ってほしい」がお願いとのことでしたので
ゴール裏の方々は引き続き飛び跳ねて声出しを頑張っていただきつつ
ゴール裏以外に席を取る方も、コールリーダーの呼びかけに応じて手拍子だけでも叩いたり、良いプレーに対する拍手で雰囲気を作っていけると良いのだろうなと感じました。
※汚いヤジや暴力がお客さんだけでなく、スポンサーの満足度やクラブそのものの価値すら下げる可能性がある愚行であることの重要性も再認識しつつ。本noteを見ている方に言う必要がない事な気はしますが…
あとは、歯医者さんで治療を受けているときに「これはけんたろさんが勤めるニッシンの歯形模型でトレーニングした人なのかな」を思い浮かべたりしつつ。マメに歯医者通うタイプの私は治療に集中できないかもしれない。
以上、久しぶりのスポンサー様インタビューnoteでございました。
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最後までご覧いただきありがとうございました!
このシリーズ、まだまだ続けていく予定ですので、引き続きよろしくお願いします!