資生堂プロフェッショナルの新たなブランド展開に注目が集まる
資生堂から切り離され、事業部ごと2022年にドイツのヘンケル社に売却された「資生堂プロフェッショナル」の躍進が続いています。
主力ブランドである「プリミエンス(PRIMIENCE)」と「サブリミック(SUBLIMIC)」、4年ぶりにオフライン開催された「BEAUTY CREATORS CONNECT 2024」の様子についてみていきましょう。
■「PRIMIENCE」がリニューアル
資生堂プロフェッショナルのヘアカラーブランドである「PRIMIENCE(プリミエンス)」が2024年8月にリニューアル。
これを記念して10月22日、東京・原宿にある原宿ラフォーレミュージアムにて理美容師やインフルエンサーを対象とした「プリミエンスフェス」が開催され、プリミエンスの世界観を体験できるコンテンツを楽しみました。
・13年ぶりのリニューアル
プリミエンスは資生堂プロフェッショナルが展開するヘアカラーブランドの一つで、リニューアルは実に13年ぶりとのこと。
スキンケア由来のテクノロジーにより、ヤツと潤いのあるなめらかな質感を保ちつつ、染色性と色持ちの高さを実現しているそうです。
また、新たなテクノロジーである「KAPネットワークシステム」により、髪内部の密度を高め、染料の定着を促進させるとしています。
これまで以上に深い発色ができるようになったそう。
クリームは全部で90色あり、バランスを取りつつも多彩なカラー表現を可能にしているのもプリミエンスの強みです。
・「水光肌カラー」とは?
プリミエンスはリニューアルに際して「水光肌(すいこうはだ)カラー」を打ち出しています。
水光肌とは、潤いによる透明感と内側から発光するようなツヤのある肌のことで、韓国では定番になりつつあるベースメイクのトレンドなのだそう。
理想的な水光肌を実現するため、プリミエンスではベースカラーを調整しているといいます。
・プリミエンスの世界観を楽しめるフェス会場
イベント会場にはプリミエンスのアイテムや「KAPネットワークシステム」をイメージしたボールプールやガシャポンが登場し、多くの人で賑わっていました。
また、歌手で起業家でもある板野友美氏や人気サロンLOAVEの佐脇正徳氏、齋藤愛氏をゲストに招いたトークショーも開催されるなど、体験型のコンテンツが楽しめるイベントになっていました。
■「SUBLIMIC」は5周年に
資生堂プロフェッショナルが扱うサロン専用のプレミアムヘア・スカルプケアブランドである「SUBLIMIC(サブリミック)」が2024年9月に発売5周年を迎えました。
これを機にロゴとビジュアルを刷新し、アジアプレミアムブランドとしてさらに強化していくとしています。
・ブランドメッセージ
サブリミックは新たなブランドメッセージとして「BEAUTY POWERED FROM WITHIN」を掲げています。
「髪の美しさは、内なる力の証。」とし、サブリミックが髪のポテンシャルを目覚めさせ、髪と頭皮が本来持つ健やかな美しさを育むとのこと。
サブリミックのプロモーションビデオは水をモチーフにした構成になっています。
これは美の根源は「水」であるとし、もちろん髪にも必要不可欠であるとの考えがシンプルに伝わる内容です。
また、5周年を機にブランドイメージである「BEAUTY POWERED FROM WITHIN」をテーマにした動画を公開するとのこと。
出演にはグローバルに活躍する5人のインフルエンサーを起用しています。
5人それぞれがサブリミックのテーマについて、自分の経験や信念とともに内面の成長を語るというストーリーをアップしており、短いながらも見ごたえのあるものに仕上がっています。
・サブリミックの特徴
髪質や髪の悩みにあわせてパーソナライズケアを提案するサブリミックには5つのラインがあります。
ラインごとに髪や頭皮へのアプローチ方法が異なり、効果的に髪本来の美しさを目覚めさせるそう。
◎AQUA INTENSIVE:ダメージヘア用
◎AIRY FLOW:くせ毛用
◎ADENOVITAL:エイジングヘア用
◎FUENTE FORTE:頭皮ケア用
◎LUMINOFORCE:カラーヘア用
これらに共通しているのが独自開発のテクノロジーです。
髪本来の乱れのない、滑らかな形状に補正する「毛髪形状ケアテクノロジー」や、自ら潤う力を解明した「NMF(天然保湿因子)」、髪や頭皮にダメージを与える外的要因から守る「デイリーシールディングテクノロジー」がサブリミックのすべての製品に取り入れられています。
また、サブリミックでは“幸せな気持ち指数”を測定する技術を用いて開発された、明るく前向きな気持ちになれる香り「ポジティブエレメント」が採用されているのも特徴的です。
■「BEAUTY CREATORS CONNECT 2024」を開催
資生堂プロフェッショナルは2024年9月10日、東京・国立代々木競技場第二体育館において「BEAUTY CREATORS CONNECT 2024」を開催しました。
これまではBEAUTY CONGRESSとの名称で毎年実施してきましたが、11回目の開催となる2024年から名称を変更しています。
・アジア各国と地域から1,400人が参加
4年ぶりのオフライン開催となり、中国・香港・台湾・シンガポール・インドネシア・マレーシア・タイ・韓国といったアジア各国と地域から1,400人が参加しています。
「内なる美を呼び覚ませ Awaken Beauty From Within」をコンセプトとした、さまざまなコンテンツが用意されていました。
日本と中国のクリエイターが登場したヘアショー、2年に一度実施されるヘアフォトコンテスト「Beauty Innovator Award」のアジアチャンピオンの決定、テクニカルデモンストレーションなど、圧巻のステージに会場は熱気に包まれていました。
・注目を集めたビジネスセミナー
多くのコンテンツの中でも注目を集めたのが韓国ソウルの人気サロン「CHAHONG」のオーナー、チャ・ホン氏によるビジネスセミナーです。
チャ・ホン氏は経営者としても成功を収めた美容師。
オーナーを務める「CHAHONG」はソウルでも別格の存在感を放つ人気サロンで、20店舗以上展開しているそう。
そんなチャ・ホン氏は壇上にてサロンにおけるブランディング、2025年の美容業界について語りました。
チャ・ホン氏は2025年の美容業界について、中価格帯が消え、高価格帯と低価格帯の二極化となると予測しているそう。
高価格帯では非日常空間の提供、低価格帯ではコスト削減といった、サロンに求められるものがこれまで以上にはっきりするとし、これらを理解することが経営のポイントとなるとしています。
・サロンにとってパーマは重要で革新的な技術
チャ・ホン氏はサロン経営においてカラーよりもパーマに注力すべきとも語りました。
カラーと違い、パーマはセルフ施術がでず、価格もパーマの方が2倍も高い。
パーマをかけるなら必ずサロンに行かなくてはならないため、技術力の高さが重要になるとのこと。
チャ・ホン氏はパーマ技術に対して徹底したマニュアル整備を行い、スタッフの技術力アップにも注力していると語りました。
また、美容業界でAI化が進んでも美容師の価値は変わらないとしています。
美容師はお客様と直接交流することができるため、今後も必要とされる職業だといいます。
■資生堂プロフェッショナルの概要
◎社名:資生堂プロフェッショナル株式会社
◎本社:〒140-0002東京都品川区東品川2-2-8スフィアタワー天王洲14階
◎日本事業代表:ロラン・マルタン
◎設立:2004年10月1日
◎資本金:1億円
資生堂プロフェッショナルは理美容室やエステサロン向けの商品販売を行う会社です。
元々は資生堂のプロフェッショナル事業部門として、日本とアジアで展開していました。
2022年、資生堂は事業再構築の一環としてプロフェッショナル事業部を切り離し、ドイツのヘンケル社に売却することを決定。
売却が完了した2022年10月17日にはヘンケルジャパンの本社がある東京・品川のスフィアタワー天王洲へ移転しています。
とはいえ、株式の20%は資生堂が継続して保有しており、「資生堂プロフェッショナル(SHISEIDO PROFESSIONAL)」ブランドはライセンスとしてヘンケル社が商標権を使用しているとのこと。
資生堂プロフェッショナルはヘンケル社、資生堂の両社からサポートを受け、今後もグローバルな事業展開を進めていくことが予想されます。