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書店業界の裏側 - 本社から見える出版業界の真実

はじめに

書店での経験を3年ほどしたあとに、本社の経営企画室に異動しました。休みは安定しましたが、日々のやりがいや面白さは書店時代の方が面白かったです。今回は本社側では何をしていたのか?を記事にしていきたいと思います。

本社での業務内容

私の部署の方では売上の管理、イベントの立案、システム周り(PC設定)を主に担当しておりました。一つ横の島では、出版社や取次との折衝を主にやっておりました。私の書店は二次取次もやってましたので、配本等も業務としてありました。

書店業界の仕組みと利益構造

取次の役割

取次とは、出版社から書店へ本をつなぐ会社です。出版社が一つ一つの書店にどれだけ本を配布するかを決めていたら時間がかかって仕方ありません。そこで取次が出版社からこの本を何冊渡すという数字をもらい、それを各書店にどれだけ割り振るかを決めています。

利益構造

  • 利益配分:製本会社(印刷会社)、出版社、取次、書店で約4分の1ずつ

  • 具体例:1000円の本の場合

    • 製本会社:250円

    • 出版社:250円

    • 取次:250円

    • 書店:250円 この利益率の低さが業界にお金が入ってこない理由になります。

利益構造と店舗運営の実態

朝全店舗の売上実績を集計して、一日がどれぐらいなのかを把握します。それの4分の1が利益かと思うと結構辛いです。イオン系だと売上もそこそこについてるのですが、イオン以外のところは本当に悲惨な状態でした。これどうやって採算合わすのだろうと不思議になってたところ、案の定赤字でやってる店舗なんかも多くありました。

商談と折衝の現場

出版社とは、この本が力を入れて売って欲しいという商談が月に一回ほどあります。配本の希望数を聞かれるのですが、現実的な数字を書くと怒られ、多すぎる数字を書いても怒られと書店側からはいい迷惑だったのが多かったです。

取次との折衝では、新店舗が出るときの利益率の交渉が重要です。74%にしてもらうとか73.5%にしてもらうとか、粗利率が上がるように折衝をしています。新規オープンで書籍を積み上げる際の支払い条件の交渉も重要な業務でした。

人員配置の現実

人員配置については、ジャンル毎に人を配置しないといけないので、そこそこバイトを入れる必要があります。雑誌・コミック・文庫・新書・児童書・学参・文芸・ビジネス・実用・人文等、大まかなジャンルごとに担当が必要です。この人数を確保しないと新刊が並ばない一方で、人件費は利益を圧迫するため、一人で2つの担当を持たせるなど、工夫が必要でした。

業界の課題と展望

私が働いていたのは電子書籍が出始めの頃で、少しずつ影響は受けていた感じですが、2025年の現在だと当時と比べたら売上が厳しくなってるという風の噂も聞いており、やはり影響はあるんだと思います。書店員でありながら、結構kindleを開始当初からこよなく愛してたので、本を買う回数は変わらないものの、紙の本を買う回数は減ったと思います。

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