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カーナビ業界の裏側 - 商品企画として見た開発の実態

はじめに

今回はカーナビの商品企画をやっていたときの仕事について書こうかと思います。もうかれこれ20年以上の前の話になります。当時をベースに語りますのであらかじめご了承ください。

商品開発の年間スケジュール

カーナビは毎年1年に一回モデルチェンジを行っており、1年ぐらい前から企画が始まります。

  • 1月:来年度モデルの検討、仕様の検討を行う

  • 4月:設計部門へ情報展開、現実性の可否について判断

  • 5月:モデル確定

  • 6月:初版の仕様書完成

  • 11月:1次試作品完成

  • 3月:ライン組み立て

  • 4月:発表会

  • 5月:店頭販売開始

市販モデルと自動車メーカー向けの違い

T社、H社、M社などのナビも作っており、基本的には市販で新機能を搭載して反応を見て、来年度のT社に提案するのが本筋でした。ただし、T社などは他社との差別化を図りたいという所で、新機能を先に搭載することもあり、T社は選考している感じでした。

商品企画の実態

商品企画というのはやることが多岐にわたっており、縁の下の力持ち的な存在と聞いておりましたが、結構表舞台に立つことが多く花形と私は感じております。

主な業務内容:

  • 展示会でのブース対応

  • 設計や協業先とのやり取り

  • 仕様書の作成と確認(6月~11月が特に忙しい)

  • T社との週1回の仕様書ワーキング(名古屋出張)

  • 取扱説明書のチェック作業(納期が短く徹夜も)

  • 次期モデルの企画検討

  • 試作品の動作チェック

労働環境の実態

当時は若かったこともあり、残業が月100時間を超えるのは当たり前、一週間で45時間の残業をしたこともありました。働いている当時は死にたい等鬱になりかけたこともありましたが、今思えば一番充実した時期だったかなと思います。

商品企画職として必要なスキル

商品企画職として必要なスキルはコミュニケーション力です。折衝・調整する場面が多々あり、かけひきもありますので、そのあたりの能力は必要な能力となります。

技術的な知識は基礎知識は必要なものの経験を重ねることで覚えるスキルもありますので、年々日々勉強と思っていただいたほうが良いかと思います。

市場動向等のチェックは忙しいのですが、雑誌等を駆使して、最近のトレンドは読むようにしておりました。当時は課長が雑誌を回覧してくれており、昼休みに目を通すような形で、最近のトレンドを把握しておりました。

転職先としてのカーナビ業界

カーナビを作れる体力のある会社になるので、大企業になるかと思います。年収面は大企業なので問題ないかと思いますが、内定を勝ち得るには、相当な下地がないと採用してくれません。実績とやってきた業務内容が合致してないと厳しいかと思います。

現在カーナビ全体として、携帯電話に役割を取られている所もありますので、カーナビだからできることを突き詰めて考えていく必要があります。

まとめ

ブラックな企業だと思いますが、当時は残業の規制も今ほど厳しくなく、やればやるだけお金になっていましたので、当時の給料は同世代に比べても多かったかと思います。

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