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理系大学生の悪しきイメージとその実態

「放課後、一緒に図書館行って勉強しようよ。」

「・・・ !?」

無言で驚き耳を疑いたくなった
そして心に大学生活への不安が一気に立ち込み始める。

これは2022年の4月、僕がまだピチピチの大学1年生の頃の話だ。

今でも鮮明に覚えている、この日はオリエンテーション後初めての授業の日のことである。

私の入学した大学は国立の理系大学であり、「合コンで最も人気ない大学」としていじられている大学である。実際私も抱いていたイメージは「インキャ」や「メガネ」であり、大学まで入って勉強などする気など全くなかった私は正直この大学を蹴って某有名私立大学に行こうかと本気で悩んだこともあるぐらいだ。

結果的には、せっかく受かったんだからと、この大学に進学を決めた。心の中には、いうてイメージばかり先行していて実際そんなことないだろという願いにも似た淡い期待を持っていた。
その期待はすぐにでも裏切られることとなる。


話の始まりはオリエンテーションの日である。
オリエンテーションが午後から始まるということで、僕は高校時代の親友(Hくん)とお昼ご飯を食べることになった。

場所は有名油そば屋さん「歌志軒」。

その油そば屋さんは僕の大学のすぐ近くに位置していて学生で賑わっていた。僕とHは一緒に店の外で並んで気長に待っていた。

その時である。
学生集団が5名ほど、店の中から出てきた。

何気ない会話をしていた僕たちは、「2度見」の定義を完璧になぞるような
素晴らしい2度見したのち一気に顔を見合わせ、笑いを堪えつつ顔をしかめる。

H「とんでもないもの見ちゃったな、ホンモノじゃん」

その5名の学生集団のメガネ着用率は寸分の狂いもなく100%だった。

僕の心の淡い期待は一瞬で消え去り、鼓動が早くなる。
「ウワサは本当だったんだ」

空が曇っている。
オリエンテーションで出会った人たちと簡単な会話を済ませ帰宅した。
その日の記憶を早く消したいかのように僕はすぐに眠りにつこうとする。
明日は初の授業だ。


初の授業日、学生生活への一抹の不安と共に目が覚める。
僕はこの学校でキラキラした生活を送れるのだろうか・・・
幸い、前日のオリエンテーションで出会った人たちは、メガネ率もそこそこ低めでこれといってダメなところもない、喋りやすい方達であった。

オリエンで知り合った人たちと共に授業を受けた。
初めての授業は数学であり、久々の勉強でキツいところもあったが、紙派の僕は真面目にノートを手で取っていた。
何事もなく授業が終わり、みんなで帰ろうとしていた。
私はせっかく知り合ったのだから仲良くなろうと思い遊びに誘おうとしたその時、冒頭のシーンへ話は戻る。

図書館のイメージ

「放課後、一緒に図書館行って勉強しようよ」

まじか、まじなのか

おそらく心のうちは一緒だったのであろう、彼ももっと関係を深めたいと思って言ってくれたに違いない。
しかし目的は一緒でも手段が違った。それだけはダメだ。
なぜ久しぶりのキツい勉強を味わった後にまた勉強をしなければならないのか。

「すまん俺予定あるからさ、先帰るわ!」
もちろん予定などない。

ただ一刻も早くその場を離れたかった。
そして急遽親友Hに電話し会うことに。
誰かにこの一連のエピソードを聞いてもらいたかったのだ。


そして毎日の授業後、もちろん同じメンバーで一緒に帰ることになる。
初日と何も変わらない。
僕以外のみんなはそのまま図書館で一緒に勉強しにいくのだ。
僕は毎回そこにはついていかず、高校の友達と会って遊ぶ日々。
勉強も一人遅れていき、わからないところや答えを聞いていると何も提供できない罪悪感に苛まれ、さらに連絡が取りづらくなった。

結果的に僕は大学1年生の間は、オリエンであった人たちは疎遠のまま、大学で友達ができずに高校の友達とばかり遊んだり、飲み会をしていたのである。

勉強をついていけず、出席率もどんどん悪くなり、結果的に一年生の科目が原因で留年することになったのだった。
(まあこれは朝が起きれず遊んでばっかの私が悪いのだが)


2年生になった僕は正門付近を歩いていたとき、
授業終わりの1年生の会話が通りすがりに聞こえた。

「これからボウリング行かね?」
「いいじゃん!ダーツとかもやろうぜ」

僕は1年越しに無言で驚き耳を疑いたくなった。

もしかして全員ああいうわけじゃ無いのか?
ああ、変なイメージに囚われて勝手に諦めていたのは僕の方だったのかも。
勉強に誘われる文化が嫌なら、自分で遊びに誘えば、もしくは新しい関係を探しにいけばよかった。

僕は携帯を開き、最近サークルでできた知り合いにLINEをする。
「今日遊ばない?」

〜完〜


あとがき

この話は「らての大学って実際どんな感じなのー?」って聞かれた時によく使うエピソードでした。

あれから3年。
サークルを充実させることができ、大学の中ではそこそこ楽しめてるかなと思ったので急遽2年生のエピソード(ここはフィクションですが)を付け足してギリハッピーエンドっぽくしました。

大学では「遊びたい」と思っている高校生に僕は伝えたい。
「理系大学には来るな」

理系学部でも大学内に文系学生がいるならまだサークルなどでやりようがあるだろう。しかし頭がいい理系大学はそんな甘いところではない。
そもそも人数も少ないし女子も少ない。
当たり前だが遊ぶところではなく勉強するところなのである。

将来の日本の研究を担いたいとも思ってないが、別にやることないから
とりあえず勉強しとくという真面目の権化ばかり、怪物である。


単純に合わない人たちに合わせる努力を怠った自分が悪いのかもしれない。
2年生からは頑張って、大学の中では相当楽しんだ方だと思っている。
しかしあのかつて憧れていた大学生のキラキラ感はない。外を見れば馬鹿騒ぎしてる奴らがいる、あくまで井の中の蛙なのだ。

色々書いてきたが、そんなことは考えずに私は今日も自由に遊ぶ。
生粋のホモルーデンスなのだ。

※この話は我が校の学生を馬鹿にするものではありません。どちらかというとついていけなかった自分を卑下しているものです。

※物語は脚色されています

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