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【02】地中障害物は避けたい|元フリーター建築士

仕事場の近くの工事現場では建物の解体工事(現場Aとします)が約1年以上進んでいます。ここには元々はRC造の6階建てくらいの学校が2棟ありました。

解体開始から約1年半が経過しているので、地面より上の建物は完全になくなっています。
解体が済んだらすぐに地上13階建てのビルの新築工事が始まります。

朝8:00に現場Aの横を通ると働く車(重機)が静かに立っていました。(写真は記事の一番下です、ごめんなさい)

これは何のための重機だ?

設計を始める前に見落としてはいけない地中障害物

正解はBG掘削機と言うドイツ製の機械のようです。

何に使われているかと言うと、元々建っていた建物の杭など地中の障害物を除却(スクリューで壊す?)するために使用しています。

新築工事が解体工事のすぐ後に続きますから、新築工事の杭工事の時元々建っていた建物の地中障害物が途中で邪魔していたら工事できませんよね。

だから、解体工事中に地中障害物を除却出来ていると後々の心配事が1つ減ります。

心配事が1つ減るとは、こういう事です。

建物の設計をする際に設計者は建物の形だけ考える立場ではありません。

設計の前に敷地を見たとき以下の状況を把握するようにしなければなりません。

・電気、ガス、給排水はどこから引く
・敷地の勾配はどうなっている
・車両動線はどうする
・敷地のどこが建物を建てるのに使えるか
・空地はどれだけ必要か

そしてもう一つ見落としてはいけないのが地中障害物の有無です。

新築工事が始めってから地中障害物が発見されると、様々な問題が生じ、ひいては損害につながります。私の経験から下の問題が起こります。

①障害物除却の時間がかかる事での工期の遅延→引き渡しの遅延→契約違反の恐れ
②除却工事追加による工事、処分費の増額
③除却ができないため建物位置の移動→計画変更→追加設計費、工事中断
④施主からの信用落ちちゃう

新築の企画をする際は当該敷地に過去にどのような建物が建っていたか?
その建物は地中基礎の大きさはどれくらいか?杭基礎か?

過去の履歴を想定をして、お施主さんとリスクを共有しないと後々苦労します。

私は①②④を経験したことがあります。
お施主さんが理解があるかただったので、追加費用は生じたものの工期はリカバリーできました。

解体工事、新築工事 一気通貫

話は現場Aに戻します。
この現場は解体工事も新築工事も設計も全てが1つのゼネコンで行われます。設計・施工ってやつです。
つまり解体工事中に新築の設計をしているので、新築工事時にリスクが出そうな事象は前もって解体工事中に取り除くよう連携できるのです。
設計・施工の1つの強みと行って良いでしょうか。

追加工事が出なければお施主さんも安心ですよね。

まとめ

今回は少し専門的な地中障害物について書きました。

設計事務所で活動している限り、設計は設計者、施工はゼネコンときっちり分かれて仕事をします。
なので、地中障害物が出てくるリスクはある程度抱えています。

設計中にすべてが解決するわけはありませんが、後々未知の情報が出てくることはなるべく避けたいです。設計者は過去の情報、建物の履歴を収集する事を忘れないようにしなければなりません。

設計・施工の現場で事前にリスクを潰せる現場であっても、予期しないうんと昔の埋設物が出てくる恐れもありますから、どんな現場でも基礎工事が終わるまでは一段落出来ないのが実情です。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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BG削孔機

BG掘削機

ドイツバウアー社製のBG掘削機というものらしい。BG=Bohr Geräte(ドイツ語で孔掘り機械の意)の頭文字だそうです。日本語だと「多機能大口径削孔工法」というようです。

物はBG-7(高さ15.8m)、またはBG-14(高さ20.5m)のどちらかではないでしょうか。

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