![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162224057/rectangle_large_type_2_8083351453509202deb71574eb868492.png?width=1200)
Photo by
mandheling
最後の席
大学の授業が終わると、僕は友人の圭太と一緒に講義室を出た。しかし圭太が教科書を忘れたことに気づき、二人は講義室に戻った。
部屋に戻ると、最後列の席に誰かが座っているのが見えた。黒髪の女性がうつむきながら何かを書いている。僕は不審に思いながらも、「遅くまで残ってる人もいるんだな」と思っていた。
教科書を拾い、部屋を出ようとすると、その女性が突然立ち上がり、無表情のまま僕たちに視線を向けた。驚いて動けなくなった二人に向かって、女性はこう言った。
「最後の席は、最後に帰る人が座るの。」
その瞬間、講義室の扉が激しく閉まり、辺りが真っ暗になった。気づけば、僕と圭太は講義室の最後列に座っていた。
「!?」
その後、誰も二人を見かけることはなかった。講義室の最後の席には、いつも見知らぬ誰かが座っていると言われている。
(解説)
「最後の席」に座る人は、言い換えればその講義室から二度と出られない運命にあるということ。
最初に講義室にいた黒髪の女性は、「最後の席」の呪いに囚われた存在であり、その役目を他の人に引き継ぐために主人公と圭太を「最後に帰る人」に仕立てたのだった。
つまり講義室で最後まで残ると、「最後の席」に座る呪いが降りかかり、その人自身が次の犠牲者になる。つまり主人公と圭太は講義室から出られることはなく、残りの人生をずっとここで過ごすことになる…。