MOTHER3。ヨクバとネズミについて。
初めて遊んだMOTHERは兄がNINTENDO POWERで書き込んできたMOTHER2でした。その後遡ってファミコンで1をプレイし、3は発売日に買ってリアルタイムでプレイしました。MOTHER1は寂しいゲームで、2は騒がしいゲームで、3は苦いゲームです。
1の発売当時はむしろ賑やかな方だったのかも知れませんが、私はPSが盛り上がっている時期に遡ってプレイしたので、簡素な中に表現されたやたらパースの効いた室内や、やたら広いフィールドに薄ら怖さを感じていました。そしてラストダンジョンとしてふさわしい厳しさの、寂しい寂しいホーリーローリーマウンテン。山小屋でのアナとのダンス。
一番楽しいのはMOTHER2で、一番好きなのはMOTHER1で、一番心に突き刺さっているシーンはMOTHER3のヨクバとネズミのエピソードです。折に触れて何度も思い出すのはこのシーンばかりです。
昨夜のニンテンドーダイレクトでは、Nintendo Switch Onlineの追加パック、ゲームボーイアドバンスでMOTHER3が遊べるようになることが発表されました。
ここからはMOTHER3のストーリーに関するネタバレが含まれます。
MOTHER3はシリーズ三作の中でも暗いトーンを持つ作品です。衝撃の展開や割り切れない結末、解釈が分かれる描写が多く盛り込まれています。
ヨクバは紛れもなくMOTHER3における悪役です。物語を通じて行われるその所業には同情の余地はなく、性格にも好感を持てるようなところは描かれていません。笑い声も気持ち悪いし。元々は世界の命運を握るマジプシーと呼ばれる種族の最後の一人だったことが明らかになっても、やはり許してやろうという気持ちになるのは難しいでしょう。
しかしそのヨクバを打ち倒した後、彼の自室を訪れた時、ヨクバの帰りを待つ一匹のネズミがいるのです。
ヨクバがクソ野郎であることは紛れのないことです。満場一致。しかしまた一方で、このネズミにとってヨクバ(ロクリアさま)が優しい人であったこともまた紛れもないことです。私はどんな顔をすればいいのでしょうか。敵側にも敵側なりの正義が、とかとはまた違う割り切れなさ、分かち難さについては何度も考えてしまいます。
終わり。