ウィズダフネは仲間と共に泥に塗れるDRPG。Wizardly Variants Daphne。
ドラクエモンスターズ3が終わったのですが、次にやるつもりで前々から期待していたメタファーや知恵のかりものをほっぽってWizardly Variants Daphne(以下ウィズダフネ)をプレイしています。凄く面白い。今はメタファーや知恵のかりものよりこっちが面白い。
ウィズダフネは陰鬱なダンジョンを少しずつ探索し地下深く潜っていくWizardlyらしい伝統的なDRPGです。ドワーフ、エルフ、人間、獣人が魔術師や騎士のような職業について魔物や罠の待ち受けるダンジョンに挑みます。ダンジョン探索は死と隣り合わせであり、魔物の奇襲を受ければパーティの半壊を覚悟する必要がある程、難易度は高めに設定されています。一撃一撃がデカい。
未知のダンジョンをマッピングしながら、今のリソースで更に奥に進むか引き返すかを慎重に判断しながら進む感じはまさにWizardly。そろそろ引き返そうと思った矢先に帰り道が閉ざされたりしてさあ!
本作はWizardlyシリーズには珍しく明確な主人公が存在し、ゲーム中は基本的に全て主人公の主観視点で展開します。主人公は時間を巻き戻す逆転の魔術によって蘇った屍人であり、自分が何者であるかを知るために逆転の魔術を使いながら奈落と呼ばれるダンジョンにまつわる事件に関わっていきます。ストーリーも緊張感と興味を惹く展開がテンポ良く用意されていて飽きさせません。
そしてこのゲームの特に優れている点は、仲間と過酷なダンジョン探索に挑んでいるという空気感を生み出す演出です。バトルの行動は主観視点で動く主人公と主人公視点からアクションを見る仲間たちで区別されていて、戦闘後には声を掛け合いながら一緒に先へと歩を進める仲間たちが描かれます。ここらへんは動画を見た方が伝わりやすいかもしれません。
ダンジョン探索を続ければ仲間の身体は血と汗と埃に汚れて愚痴をこぼし、街へ帰還した時には仲間に誘われて酒を酌み交わします。宿は無料の馬小屋以外を選びましょう。金を盗まれる心配が無くなりますし、何より身体が洗えます!
最初はキツいあたりの仲間たちも、探索を続ける内に次第に打ち解けていき、徐々にそのバックグラウンドを深く知ることができるでしょう。罠にかかる寸前に仲間が引き留めてくれたりするのが嬉しい。一方で性格の不一致で全く仲を深められないキャラもいたり。
シビアなストーリーとゲームバランス、仲間との時間。ウィズダフネではこれらが上手く演出されているため、冒険者気分を深く味わうことができます。ウィズダフネは仲間キャラを自分で一からメイクする形式では無いのですが、むしろそれが良い方に作用する構成になっていると感じます。
ところでWizardlyの伝統として、死んだキャラクターの蘇生に二回連続で失敗するとキャラが永久に失われる「キャラロスト」があります。
ウィズダフネはsteamでも提供されていますが、基本的にiPhoneやandroidで遊ぶスマホアプリとして想定されています。スマホアプリとして想定されているのもあって、旅をする仲間はガチャで獲得します。被ったキャラを重ねての凸ももちろん有り。そしてソシャゲ文脈のガチャとWizardly伝統のキャラロストが組み合わさればどうなるか。
そうです。ガチャで引いて育てまくった激レアキャラであろうが、蘇生に二連続で失敗すればロストするというハードな仕様になっています。運営型のゲームとしてはかなり珍しい仕様だと思います。
実際には様々な救済措置があるため、普通にプレイしていればまずロストすることは無いのですが、私はロストは確率云々ではなく「ロストが有り得るということ」それ自体に意味があると考えています。0.001%の確率で事故が起こるジェットコースターを想像してみてください。
バンバン人が死ぬストーリーと敵の一撃がデカいゲームバランス。そして空気感たっぷりに演出されて築かれる仲間への愛着と「それらが永久に失われ得る」という緊張感。久しく感じていなかったヒリヒリを味わいながら、今日も奈落に潜っています。
終わり。