読書ノート009 自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる
1 本書を手にとった動機
やったほうがいいとは思うけど自分には無理だろうな。
できるようになれば役に立ちそうだけど難しそうだな。
行動を起こしたい、起こしたほうがいいとは思っているけど自信がなくてできない、と思っていることがありませんか?私はよくあります。どうせ自分にはできない、とやらない言い訳を探してしまうんです。無意識のうちに。
とはいえ、そんなことでは自分の望む人生を手に入れることはできない、と頭ではわかっています。そこで、失敗を恐れず行動する力を身につけたいと思う私は、この「自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる マインドフルネスと心理療法ACTで人生が変わる」(ラス・ハリス著、岩下慶一訳、筑摩書房)に学ぶことにしました。
2 得られた気付き
2.1 自信や恐れに関する“神話”
本書では、自信や恐れに関して一般的に信じられている“神話”を覆すところから始まります。
例えば、「恐れは弱さの表れだ」とういことです。ドラマや映画に出てくる多くのヒーローは、とてつもない勇気を持ち、どんな強力な敵や悲惨なピンチにも恐れることなく立ち向かう姿が描かれています。こういう背景もあって、恐れを感じず立ち向かうことがかっこいいことという認識を、多くの方が持っているのではないでしょうか?
でも本当に恐れを感じない人間なんているのでしょうか?恐れとは原始時代から受け継がれてきた、人間にとって必要な機能なのです。もし、恐れを感じない個体がいたとしたら、おそらくその個体は敵に襲われたり、高いところから落下したり、急流に流されたり、火で焼けたりするなど、多くの危険にさらされて、生き残ることはできないでしょう。
恐れを感じること自体は正常であり、自信とは恐れのない状態のことではないのです。恐れそのものではなく、恐れに対する自分の態度のあり方が足を引っ張るのです。
他にも私達が信じてしまっているいくつかの”神話“をひっくり返すようなことが書かれていますが、この場ではここまでとしておきましょう。
2.2 思考と行動を切り離す~脱フュージョン~
恐れを感じるのは正常なことであり、ネガティブな思考が生まれるのも自然なことです。心は現状を変えたくないので、何か新しい行動を起こそうとすると、以下のような理由付けを行います。
~があるからできない。(障害)
自分には向いていないからできない(自己評価)
あの人は才能があるけど自分にはできない(比較)
どうせ失敗する気がするからできない(予期)
ではそのネガティブな思考とどう付き合えばよいのでしょうか?思考にとらわれることなく、客観視することです。
そのための具体的なテクニックとしていくつか挙げられていますが、例を挙げると「私は~という思考を持っている、と言ってみる」「思考を歌にしてみる」「思考を変な声で再生してみる」「思考がコンピュータの画面に映っているところを想像する」などです。一見、バカバカしくも見える方法ではありますが、気に入ったものがあれば是非試してみてください。
こうしてネガティブな思考から距離を起き、自分に問いかけてみます。
「その行動が、より豊かで満ち足りた、意味ある人生を創造するために役立つか?」
Yesであれば行動を起こすだけです。Noであればそもそもやる必要はありません。Yes,but…と心が言い始めたら、もう一度脱フュージョンしましょう。
2.3 価値
「その行動が、より豊かで満ち足りた、意味ある人生を創造するために役立つか?」
その問いに答えるためには、自分にとって本当に大切なものは何か、これを明確にしておく必要があります。本書では”価値“と表現されていますが、いわゆる価値観のようなものです。
本書では、成功という言葉を、自分の価値に沿って生きること、としています。価値に沿って生きていれば、結果として例え成果が出なくても、プロセスそのものを楽しむことができるし、失敗(成果が出ないこと)を受け入れ、そこから学びを得ることができます。自分を励ましながら前に進み続けることができるのです。
本書では、自分の価値の見つけ方として、マインド・リーディング・マシーンという、人の心が読める機械が発明された、と想像する方法が書かれています。愛する人(愛)、仕事上の重要な人(仕事)、遊びの上で重要な人(遊び)、自分の体(健康)などの心の声を聞き、その人たちが「自分のことをどう考えていてほしいか」を想像するのです。(実際にどう考えているかを予想するのではありません)こうすることで、愛、仕事、遊び、健康の4分野についての自分の価値を洗い出すのです。
なお、価値観の見つけ方はこの方法に限らず、他の本にもいろいろ書かれていますので、自分にあいそうなものを試してみましょう。もしくは複数試してみて、似たような結果になるかどうかを比較してみると、自分の価値観をより強固に認識することができるようになるかもしれません。
3 TO DO
もともと自分はネガティブな思考にとらわれやすい傾向があったと思います。自分は行動力がない、と自分で決めつけてしまっていました。そんな私ですので、脱フュージョンのテクニックを身につけることができれば、飛躍的に成長できるのではないかと思っています。
一見バカバカしくも見えるテクニックたちでしたが、かんたんに実践できますし、誰にみられるわけでもありません。ネガティブな思考が浮かんできたときは、それに曲をつけて歌にしてやろうと思います。
そして、自分の価値を明確にすることに関しては、他の本でも書かれており、既に取り組んでいますが、自分の取っている行動が価値に沿ったものかどうか、折に触れて自問自答することを続けていきたいと思います。