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2022年11月消費者物価指数について考えてみます
日に日に物価の上昇を肌で感じるようになりました。
今まではあまり値段を気にせず買うことができましたが、最近は「えっ、こんなに高いんだ、なら止めよう」と思うことが増えました。
今までの値段だったら考えずに買っていた商品を買わなくなりました。
企業としては仕入れ値が上昇しているので価格に転嫁しなければならないのでしょうが、このままインフレが続いていって果たして景気は良くなるのでしょうか?
大手企業は賃上げを宣言していますが、この流れは中小企業まで行き渡るのでしょうか?そもそも大手企業の賃上げ宣言も全従業員に対してなのでしょうか?それとも一部の人に対してだけなのでしょうか?
様々な疑問の根源である物価の上昇について、総務省が発表した2022年11月の消費者物価指数をもとに考えていきたいと思います。
また、私は経済学者ではありません。ただの経済が好きなサラリーマンです。なので、解釈の仕方に誤りがあるかもしれません。ご了承ください。
2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)11月分 (stat.go.jp)
1.全体では前年同月比で3.8%の上昇
前年同月比で全体は3.8%の上昇、生鮮食品を除くと3.7%の上昇、生鮮食品とエネルギーを除くと2.8%の上昇です。ということは、エネルギーの上昇が全体を押し上げているんだなと読み取れます。
でも、お菓子やアイスの価格が2.8%の上昇だけで済んでいると感じますか?
1個100円だったお菓子が103円になった、高いなと感じていますか?もっと上がっているように感じるのが普通だと思います。私の感覚では100円のお菓子が110円~120円に上がっているように感じています。
2.消費者物価指数に占める食料の割合は22.3%
消費者物価指数=スーパーで購入する食料品の価格ではありません。
消費者物価指数は生活する中で購入する様々なモノやサービスを総合して指数化しています。ではどんなモノやサービスで構成されているのか?以下に主な構成要素を書き出してみます。
生鮮食品を除く食料・・・22.3%
家賃・・・・・・・・・・18.3%
教養娯楽関係費・・・・・ 9.6%
自動車等関係費・・・・・ 8.8%
水道光熱費・・・・・・・ 6.9%
上記5つのモノやサービスで全体の65.9%を占めています。
上記のうち、教養娯楽関係費と自動車等関係費とは何でしょうか?
教養娯楽関係費とは主にレジャー関係の支出です。旅行費や宿泊料、新聞や雑誌や書籍の購入もここに含まれます。
自動車等関係費とは自動車やバイクの購入や自動車保険が該当します。
3.上位5分類の前年同月比はどれくらいか?
では、上位5分類の消費者物価指数前年同月比を調べてみましょう。
生鮮食品を除く食料・・・ 5.9%
家賃・・・・・・・・・・ 0.0%
教養娯楽関係費・・・・・ 0.9%
自動車等関係費・・・・・ 1.1%
水道光熱費・・・・・・・14.6%
水道光熱費は原油価格の上昇により増加率が高いということが読み取れます。エネルギーを除く全体の増加率が1%下がることからもエネルギーによる消費者物価指数の上昇はとんでもないんだなと思います。
また、食料の上昇率も5.9%と非常に高い伸び率です。肌感覚である1割値上げまではいかないですが、かなり高い伸び率であることに違いはありません。
4.上位5分類に日常生活で遭遇する割合
そもそも上位5分類である食料や家賃など。
この5つの分類に対して私たちは日常どれくらい接していてどんな感覚を持っているのでしょう?
まず食料。これはほぼ毎日接しています。毎日三食とることが当たり前なので、買い物をしなければ食べるものが無くなります。買い物に行かなければなりません。
次に家賃。これはどうでしょうか?ライフステージの変化である結婚、出産、一人暮らし、転勤など、住まいを変える必要がある人は一定数います。
でも必要がある転居を除き、今のこの時期に家賃の増加が見込まれる引っ越しを考える人がどれくらいいるでしょうか?引っ越さない限り家賃のプラスマイナスはゼロです。となると家賃に接する機会は月に一度支払うということはありますが、あまり大きな影響はなさそうです。
教養娯楽関係費。これも物価高の今の時代に簡単に旅行に行こうなんて考えることは少ないかもしれません。しかもまだまだコロナは続いています。もちろん今まで三年間我慢していた旅行に行きたいという人はたくさんいます。でも無理して高いお金を払ってまで旅行に行くか?となると二の足を踏みます。
自動車等関係費。これは旅行以上に手が出ないかもしれません。しかも若者の車離れは加速しています。自分の車を持つことがステータスになった時代はとうに過ぎました。車でデートに行くという理想も今はもうありません。車を買って、維持費を払い、駐車場代を払う。そこまでの余裕は若者にはありません。
最後に水道光熱費。これも毎日発生します。支払いは月に一度ですが、利用は毎日です。なので食料と同様に身近に感じます。
5.最後に
日常生活で最も接する機会の多い、食料と水道光熱費の物価上昇が私たちの生活に大きな影響を及ぼしているということがわかりました。
消費者物価指数の全体の上昇率は3.8%です。しかし、食料は5.9%、水道光熱費は14.6%の上昇率です。このふたつの項目が消費者物価指数全体に占める割合は3割弱ですが、それは一年間トータルで見た場合の平均的な割合です。なのでこのふたつの物価上昇が消費者物価指数全体に及ぼす影響は2.4%ほどです。
しかし毎日の普通の生活において、食料と水道光熱費が占める割合は相当なものでしょう。金額でいうと家賃が大きなウエイトを占めているかもしれません。でも家賃は払って当たり前と考えているので、その意味では食料と水道光熱費は日常生活の6割くらいを占めているかもしれません。となると消費者物価指数全体を5%弱引き上げます。
統計結果と実際の感覚のずれはこのような点からも見えてきます。もちろん統計なので、誰かの思いが入り込んではいけません。なので平均的に機械的に算出せざるを得ません。しかしそれで良しとするのはこの数字を計算する公務員までです。この算出結果をもとにどう考えるか、どう行動するか、どう変えていくか。これをより多くの人が考えない限り、日本は良くなりません。労働者が搾取される時代が続いてしまいます。
国は様々な統計結果を公表しています。その結果をうのみにせずによく考えていきたいと思います。