主観的な判断と客観的な考察の行き来
主観的な判断と客観的な考察を行き来する。
どういうことでしょうか?
主観的とは自分が個人的に思うことです。自分の思うことなので、性格だったり、経験だったり、考え方に左右されます。時には考え方が偏ることもあるので、主観的な考えばかりに引っ張られるのは好ましくありません。
でも、主観的な考えがないと直感が働きません。直感は間違うこともありますが、誰もが思いもつかないアイデアが出ることもあります。その可能性は大切にしたいです。
一方で、客観的とはだれが見てもそう思うことです。事実やデータを基にした分析は客観的になります。データは事実なのでそれが変わることはありません。その事実をもとにして客観的に考えることは次のステップに必ずつながります。なぜなら事実から始まっているからです。
小売業においての例で考えてみましょう。
自分はA商品が一番売れていると思っていたけれど、データを見るとB商品の方が売れている。でも、販売データを詳しく見ると、A商品は毎日売れている。B商品は毎日売れているわけではないが、売れたときの数量が多い。だからB商品の方が売れている。
これはデータを見なければわからないことです。主観的には毎日売れているA商品の方が売れていると思っていましたが、客観的にみるとB商品の方が売れていたということです。
ここで主観的な判断と客観的な考察を行き来させます。
売れていると思っていたA商品。確かに毎日売れていますが、一日当たりの売上数量は多くありませんでした。でも毎日売れているので需要はあります。それならば、一日当たりの売上数量を増やす取り組みをしてみよう。
反対に、最も売れているB商品。でも毎日売れているわけではありません。ならば、B商品が毎日売れるようにもっと目立たせよう。
このようにして主観と客観を行き来させることによって、A商品とB商品の売上がさらに増えていきます。今回のふたつの商品の売れ行きについて、1か月後にもう一度、データを調べてみます。思惑通りに売上が伸びたのか、そうではなかったのか。そしてまた新たな対策を打つ。この繰り返しです。
この活動は、企業においては当たり前に行われていると思う方がほとんどだと思います。でもそうなっていない会社も存在します。
役職が高い人、声の大きい人の意見が通ってしまう会社。
過去の経験則だけが正しいと思っている会社。
データをとっていない会社。
データをとっても活かしていない会社。
ぜひ主観と客観の行き来を繰り返してください。
ここで注意してほしいのは、
データを基にして考えればそれだけで良いのでは?
主観的な判断は必要でしょうか?
と考える方がいらっしゃると思います。
必要です。
主観的な意見がないと直感が働きません。人間の直感力というすばらしい力を信じてください。人間は直感の力で今までもたくさんのことを成し遂げてきました。AI技術によって人間が考えることを減らしても成り立つような時代になりました。それでも人間の直感はAI技術を超えることがあります。その力を信じましょう。
また、客観的なデータだけを見て判断するのでは考えに幅が生まれません。つまらない答えになってしまいます。つまらない答えでは、改善する意欲も減ってしまいます。働くのは人間です。楽しく働きましょう。
ぜひ直感的な判断と客観的な考察の行き来を楽しんでください。