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アンケセナーメンと矢車草の花束

その深い深い悲しみは
どこから来るものなのか定かではなかった。

虚無感と絶望、罪悪感。

物心ついた頃から、いやそれ以前から
どこからともなく湧き上がるそんな思いの中を揺蕩っていた。

その深く暗い穴はいつも、一番幸せなはずの瞬間に訪れた。

到底子供らしくない感覚だ。
だってそれらは、経験したことのない体験からしか
生まれはずがないものだったのだから。

貴方にも、あるだろうか。
どこから来るのか、いつから顕れたのか
定かではない感情が・・・。

だとしたらそれらは、過去の人生において体験している
魂の記憶なのかも知れない。

クリスタルと関わると、そんな魂の過去の記憶を再現することが起きる。
レムリアンシードには特にその傾向がある気がする。

私の3本目のレムリアンシードは、クリスタル研究家で著書も多数顕したメロディ女史のガレージセールから来たものだった。
掌にすっぽりと収まる小ぶりなファントムダウクリスタルでもある。

そんな特徴は後になって知ったのだが、この石は手元に届いた時、いや、届く前から不思議な流れが起きていた。


2011年11月11日。

もう少しであれから丁度10年になるわけだが、
あの日私は、その頃通っていた先生のセッションの日だった。

メニューはメロディ・クリスタルヒーリングの、パストライフアセンション。
過去世退行のワークだ。

クリスタルグリッドを身体の上に作り、プラクティショナーの誘導で過去世を視て行くのだが、
視るという行為が得意な人と苦手な人にはっきりと分かれるものでもある。

私はどうやら、得意な方だった。

クリスタルレイアウトによるエネルギーグリッドは意識の蓋を開けるのに最適で、私はこの日が3回目のセッションで少し慣れて来ていたことと、前述した通りフランス旅行を経て自己の変容が進んでいた認識があったことなどから、それまで避けていた大きなテーマに取り組もうとしていた。

一つがエジプトの過去の記憶。

そしてもう一つが、アトランティスだった。


先にエジプトの過去世を視て行くことにした。
(このワークでは自分で視る世界を指定する。)

意識のスクリーンに最初に映し出されたのは、薄暗い墓所のような
暗い石の部屋だ。

ふいに、ツタンカーメンという言葉が頭に入って来る。
そこはツタンカーメン王の墓室だった。

その証拠に、中央の石棺の上には青い矢車草の花束があるではないか。
それに気が付くと衝撃が走り、ビクリと身体が跳ね上がる。

矢車草の花束は、妻アンケセナーメンが手向けたとされている。
王墓が発掘された時にも尚その姿カタチを保っていたものだ。

それを私は見ていた。

それと共に私の視点は、アンケセナーメンと思われる女性がこの王墓にこっそりと毎晩の様にお忍びで訪れて泣いている姿を見ているのだった。


この視点は、一体誰のものなのか・・・?

そして私は誰なのだ???


そこを知ろうと意識を切り替えると、画面が変わり、私の視線は子供の目線になっていた。

大きな大人の男性に手を引かれて歩くのは、神殿の回廊。
そこで私は父親と思わしきその男性から、神殿の構造やピラミッドの抜け道、王墓の秘密の通路などを口述で教えられていた。

かくして私は石の建造物の秘密の部屋や抜け道をくまなく知る大人へと成長し、建築の長として設計の指示を振るう立場になっていた。


その彼が、ツタンカーメンの王墓へとアンケセナーメンを案内していた。
彼しか知らない秘密の通路を通り、悲しみにくれる彼女を連れて行くのだ。

それは幾夜となく続いたが、とうとう最後の夜が訪れる。
彼女が再婚する前夜だった。

今までご苦労。と、彼は王妃からスカラベを象った宝石を頂戴して
その秘密の時間は終わった。


彼はなぜ、アンケセナーメンを夫の墓所へと案内したのだろうか。

感情として伝わって来たのは、お可哀そうな王妃様・・・という思いだった。

彼は何か、知っていたのかも知れない。
ツタンカーメンが若くして命を絶つことになった何かを。
でも立場として、それは口外出来るものではなかったのだ。
その罪悪感が彼に秘密の通路を使わせた様に感じられた。


ピラミッドや神殿の構造を熟知する男。
彼は石工でもあり、アンケセナーメンのレリーフを掘っていた。

そしてあの石工集団が、後世フリーメイソンの発端となったのだろう。

私の初のエジプト退行の記憶は、ややほろ苦いものとなった。
この流れから続いてアトランティスの記憶へとアクセスして行く。


これは3本目のレムリアンシードが手元に来る前々日のお話。

続きのアトランティス編は、また次回。







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