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茶室とトートとヘマタイト

ヘマタイトとは赤鉄鉱。赤黒い鉄成分多めの石。
華々しくキラキラしたクリスタルではなく、とても地味である。

以前宇宙物理学や天文地理と言った自然科学を分かり易く教えて下さる方の講座で、地球の中心は鉄だと聞いたことがあるが、
ヘマタイトはそんな地球のコアに成分が似ているのだろう。
グラウンディングに適しているとされ、一説によると貧血にも良いとか。
鉄成分は保護の作用にも長けていると考えられるため、プロテクションや結界を張るにも良いとされている。

かく言う私もベッドの四隅にヘマタイトを配置しているし、セレナイトやブラックトルマリンとセットにして環境を整えると言うお作法を教わったこともあって、
肉体と霊体がどうにもズレがちな方にも良くお勧めするクリスタルだ。

今日はそんなヘマタイトのお話。

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パストライフアセンションと言うクリスタルグリッディングを用いて過去の記憶を可視化するワークは私の心を捉え、遂にそのワークを含むメソッドを習得することとなった。
それがメロディ・クリスタルヒーリングである。

通常クリスタルヒーリングと言うと何となくふんわりとした癒しのワークに聞こえるが、メロディ女史の提唱するワークはそれらとは大きく異なっていた。
アメリカ式と言えばそうなのだろう。
何が無くとも先ず第一に求められたのは、自己の内なるセルフとの邂逅と対話、和解。
内なる自己との繋がり無くして、メタフィジックな領域の探求など不可能と言うことだ。

言い換えれば、内なる己との繋がりこそが真の自己信頼であり、本当のグラウンディングなのであろう。
その繋がりによってパストライフ(過去世)の記憶も呼び覚ますことが可能となる。

クリスタルはそんな内なる旅の探求に欠かせない相棒で、
このメソッドでは自己の意識の拡大、フォーカシング、センタリングとグラウンディングなど役割やそれぞれのシチュエーションによって多数のクリスタルが登場した。

また深い意識探求ワークのためには誘導瞑想の技法も必要だったため、講座を受けた同期と集まって練習会を開いたり、モニターセッションを行ったりすることとなり、その中で自然と仲良くなった人たちで数人のグループが出来て行った。

Yちゃんは、その中の一人だった。

私の様に人生の途中で突如覚醒したタイプではなく、彼女は生まれつきのナチュラル天然系サイキックだ。
タイプは若干違うけれど彼女と私はどこか共通するものを視ることがあったり、何よりも初めて会った時の既視感がとても懐かしく親しみ易いものだった。
石を通じた出会いは自ずと、魂の繋がりがある者同士を引き合わせるのだろう。

そんなYちゃんと二人で、カードリーディングやメロディワークをして遊ぼうとなった時のこと。

彼女が当時住んでいた区の施設がとても綺麗でリーズナブルに借りられるというので、その日は区民会館の部屋を借りることにしていた。

二人で使うんだから広さはいらない。

彼女が予約してくれたのは茶室だった。

茶室を茶事以外の用途に貸し出してくれる区民会館は寛容だ。


私はワークに使ういくつかの石と共に、四つのヘマタイトを持参した。
ワークを行うための場を作ろうと、結界を張ろうと考えたのだ。

茶室の四隅にその小さなヘマタイトのタンブルを一つずつ配置すると
Yちゃんは興味深そうにしていた。

準備が出来ると私達はカードで遊んだり、お喋りしたり。
そしていよいよパストライフアセンションのワークをお互いに行うことにする。
二人で共通する過去の記憶を視たくて、お互いにエジプト行きを決めた。

最初に私の誘導によるYちゃんの探求ワーク。
その後交代して、Yちゃんの誘導による私の探求を行うこととなる。

Yちゃんは自分が巫女として生きた時代のシーンを回想していた。
そして私はその後の時代に、彼女たちが封印した秘密を何とか復活させようとする男性の姿を視た。

彼は、トートと呼ばれる存在に支配され、服従していた。

トートは神と言う雰囲気ではなく、悪魔でもなかった。
もっと大きくて、時間とか空間、次元を超越した意識存在と言った感じだ。

私の過去の記憶として存在するおやじ姿の男性は、そんな意識存在を怖れ敬い、支配されて言いなりになっていた。

現実では茶室で寝ているだけの私にも、その存在は大きな恐怖として感じられる。
その意識は次第に大きく強くなり、私はその大きく重苦しいエネルギーにまるで自分が呑み込まれてしまいそうな恐怖と圧力に気おされてワークを続行することが出来なくなった。

「 どうしよう? トートがここに降りて来ちゃったんだけど・・・」 

茶室で寝ている今の私に、時空を超えてその存在が繋がって来たのだ。
Yちゃんも動揺する。

それはとても怖ろしかった。

しかし初心者若葉マークの私達にはそれをどうにかする術はまだ無く、辛うじて茶室に、今に、意識を戻して繋がりを断ち切ることでしか、このワークを終わらせることが出来なかった。

呆然自失の私達を後目に、茶室の利用時間は終わりに近づいていた。


慌てふためいて後片付けをして石を仕舞い、茶室を退散する。
入り口で振り返って見ると、狭く薄暗い茶室はとてもとても怖ろしい場所に感じられた。

そんなこんなで本当に冷や汗をかくような体験をして、
過去世退行なんて、簡単に行うものではないなぁと思いつつ岐路に着く。
中途半端に面白半分で魔法を使ってしまった魔法使いの弟子みたいだ。

ぱっくりと口を広げた暗くて深い意識の世界。
その入り口に立つ初心者マークの自分はとても小さく途方に暮れる。

その夜、Yちゃんから連絡があった。

「ねぇ、あの茶室の四隅に結界張った石、ちゃんと回収して来た?」

!!!!!!!

あーーーーーーー!!!!!  

忘れてた!!!!!!


トートの出現にパニックになった私は、すっかりヘマタイトのことを忘れていたのだ。

「 やっぱりー!!! えーーーー私が回収して来るのイヤだなぁ・・・ 」

と渋るYちゃん。

「なんか超怪しい人だと思われるじゃん!!!!」

うん、そりゃそうだ。
茶室の四隅に石を置く人なんて私達以外にいないだろう・・・。
スマン・・・忘れてたよ・・・。

「 だいたいさー、あの結界ってどういう役に立ったワケ? 逆効果だったんじゃないのー?! 」 

Yちゃんに言われて私は思い出した。
ヘマタイトが保護として結界となるケースもあれば、宇宙へぶっ飛ばされるケースもあったのだ。

ヘマタイトは、その人のコアにグラウンディングすることを助ける。
だから地球を通り越して宇宙へグラウンディングするのが自然な人だっているということで、私達もまた、魂のコアなパートを占めるエジプトの記憶へと繋がったのかも知れない。


Yちゃんは翌日、渋々区民会館を再び訪れてこっそりと茶室を覗いたが、四隅のヘマタイトは既に回収されている様子で見当たらなかったらしい。

そこで益々渋々受付で尋ねると、

「 あー! あの部屋の四隅に黒い石を置いて行った方ね!!!」 

と、大声で言われたのだとか(笑)

受付のおばちゃん4人に囲まれて。

忘れ物帳にも、『 黒い石 四つ』と書かれていたとか。

区民センターのおばちゃんは仕事が早かった。


大声で石のことを言われ、受付のおばちゃん達4人に囲まれてアヤシイ者を視る目に耐えつつ石を回収してくれたYちゃんからは、
「 も―暫くあそこは使えないから! 」と言われてしまった。

そりゃそうだ・・・スマン。。。


その後私は改めて、もっと安全なシチュエーションでトートと対峙することとなったのだが、それはまた別のお話。


皆さんも結界を張ったら、ちゃんと最後の後始末までしましょうね。

今日はこれにて。


橙香

https://www.celestialcave.com/



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